「お部屋をスッキリおしゃれに見せたい!」「まるで映画館みたいに、壁掛けテレビで迫力ある映像を楽しみたい!」そんな風に考えて、テレビの壁掛けに憧れを抱いている学生さんや、新生活を始める社会人の方も、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、インターネットで「テレビ 壁掛け やめとけ」とか「壁掛けテレビ 後悔」「失敗談」なんて言葉を目にすると、「えっ、そんなに大変なの?」「本当にうちでもできるのかな…」と、急に不安な気持ちになってしまいますよね。これって、一体どういうことなのでしょうか?
この記事では、テレビの壁掛け設置を検討されている皆さんに向けて、なぜ安易な気持ちで決めてしまうと後悔に繋がってしまうことがあるのか、その具体的な理由を7つ、そして、それでも壁掛けテレビを実現したいと強く願う方のために、どんな点に注意して、どう賢く進めれば良いのかを、私なりに詳しく、そして分かりやすく解説していきたいと思います。決してテレビの壁掛けそのものを全面的に否定したいわけではないんですよ。ただ、そのスタイリッシュな見た目の裏には、知っておいてほしい大切なことがあるんです。
この記事でお伝えしたいこと
- テレビ壁掛けってどんなもの?基本的なメリットとデメリット
- なぜテレビの壁掛け設置を「やめとけ」と言われることがあるのか、具体的な7つの理由
- それでもテレビを壁掛けにしたい場合に後悔しないための賢い準備と注意点
- テレビ壁掛けで失敗しないための最終チェックポイント
テレビ壁掛けってどんなもの? その魅力と知っておくべきこと
まずは、「テレビの壁掛け」がどんなもので、どんなメリットやデメリットがあるのか、基本的なところから一緒におさらいしてみましょうか。
「壁にテレビを取り付けるだけでしょ?」とシンプルに考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は色々な方法や注意点があるんですよ。
テレビ壁掛けの概要 – 省スペースでおしゃれな視聴環境
テレビの壁掛けとは、その名の通り、専用の金具を使ってテレビを壁面に取り付ける設置方法のことです。従来のテレビ台の上に置くスタイルとは異なり、テレビがまるで壁の一部になったかのようにスッキリと収まるのが大きな特徴ですよね。
壁掛けにすることで、以下のようなメリットが期待できます。
- 省スペース:テレビ台が不要になる、あるいは小さなものにできるため、お部屋を広く使えます。特にワンルームやリビングが狭いお部屋では、大きなメリットになります。
- デザイン性の向上:配線をうまく隠せば、生活感がなくなり、非常にスッキリとしたおしゃれな空間を演出できます。まるでモデルルームのようになることも。
- 視聴位置の自由度:テレビの高さを自分の目線に合わせて自由に調整できるため、ソファに座った時やダイニングテーブルからなど、最適な位置で視聴しやすくなります。(ただし、一度設置すると変更は大変です。)
- 安全性(耐震性)の向上:適切に設置されていれば、テレビ台に置くよりも安定し、地震などの揺れによる転倒リスクを軽減できると言われています。小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安心感が増しますね。
こうしたメリットから、新築やリフォームのタイミングで壁掛けテレビを導入したり、お部屋の模様替えの一環として検討したりする方が増えているようです。
壁掛けテレビの種類と設置方法 – DIYから業者依頼まで
テレビを壁掛けにするための金具には、いくつかの種類があります。
- 固定式(フラット式):テレビを壁にぴったりと固定するタイプ。最も薄く設置できますが、角度調整はできません。
- 角度調整式(チルト式):上下方向に角度を調整できるタイプ。少し高い位置に設置する場合や、床に座って見上げる場合などに便利です。
- アーム式(スイング式・関節式):壁からテレビを引き出したり、左右に角度を振ったりできるタイプ。視聴位置の自由度が最も高いですが、壁への負担が大きく、金具自体も高価になる傾向があります。
設置方法としては、大きく分けて「自分でDIYする」か「専門業者に依頼する」かの二通りがあります。
- DIYでの設置:ある程度の工具や知識があれば、自分で設置することも可能です。費用を抑えられるのがメリットですが、壁の構造を理解していなかったり、取り付けが不適切だったりすると、テレビ落下の危険性や壁の破損に繋がるため、細心の注意が必要です。
- 専門業者への依頼:電気工事業者やリフォーム業者、あるいはテレビ壁掛け専門の業者に依頼する方法です。費用はかかりますが、壁の状況判断や適切な金具選び、確実な取り付け、配線処理などを任せられるため、安心感があります。
どちらの方法を選ぶにしても、壁の種類(石膏ボード、コンクリート、木壁など)や強度、テレビの重量、配線の処理方法などを事前にしっかりと確認することが非常に重要になってきます。
多くのテレビメーカーや壁掛け金具メーカーのウェブサイトでは、適合する金具の検索や、設置に関する基本的な情報が提供されていますので、参考にしてみると良いでしょう。例えば、パナソニックの「薄型テレビ 壁掛け設置について」のページなどでは、設置のイメージや注意点が紹介されていますよ。
憧れの壁掛けテレビ、でも現実は…?
「壁掛けテレビにしたら、お部屋が広くなって、おしゃれで、毎日映画館気分!」そんな素敵なイメージを抱きますよね。確かに、うまく設置できれば、その理想は実現できるかもしれません。
でも、その憧れの裏には、意外と見落としがちな手間やコスト、そして「こんなはずじゃなかった…」という後悔に繋がる可能性も潜んでいるんです。
例えば、配線をどうやって隠すのか、将来テレビを買い替える時はどうするのか、賃貸の場合は壁に穴を開けても大丈夫なのか…考え始めると、色々な疑問や不安が出てくるのではないでしょうか。
次の章では、こうした壁掛けテレビの「理想と現実のギャップ」や、なぜ安易に「やめた方がいい」と言われることがあるのか、具体的な理由を7つ、詳しく掘り下げていきたいと思います。憧れだけで突っ走ってしまう前に、ぜひ知っておいてほしい大切なことなんです。
ここが問題!テレビ壁掛けはやめた方がいい7つの理由
それでは、ここからが本題です。なぜ、おしゃれで省スペースという大きなメリットがあるはずのテレビ壁掛けが、時として「やめとけ」「後悔した」と言われてしまうことがあるのでしょうか。その具体的な理由を7つ、詳しく解説していきますね。
これらは、テレビ壁掛けを検討する上で必ず直面する可能性のある、現実的な課題です。ご自身の状況や価値観と照らし合わせながら、じっくりと考えてみてください。
【理由1】設置場所の制約と壁へのダメージ! – 賃貸物件では特に要注意
テレビを壁掛けにするということは、当然ながら壁に何らかの加工が必要になる場合がほとんどです。これが、まず最初の大きなハードルになります。
壁の種類と強度
テレビを安全に支えるためには、壁に十分な強度が必要です。日本の住宅で多い石膏ボードの壁の場合、そのままネジを打ってもテレビの重さに耐えられず、最悪の場合、テレビが落下してしまう危険性があります。そのため、壁の内部にある柱(間柱)や補強材に金具を固定するか、あるいは専用のアンカーを使って壁自体を補強する必要があります。
壁の構造が分からないまま安易に設置しようとすると、大事故に繋がりかねません。自分で判断できない場合は、専門家に見てもらうのが賢明です。
賃貸物件での制約
特に賃貸住宅にお住まいの場合、壁に穴を開けることは原状回復義務の観点から、原則としてNGとされていることが多いです。無断で壁に大きな穴を開けてしまうと、退去時に高額な修繕費用を請求される可能性があります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、故意・過失による損傷は借主負担とされています。壁掛けテレビのための穴あけは、これに該当する可能性が高いと言えるでしょう。
もちろん、大家さんや管理会社に事前に相談し、許可を得られれば設置可能な場合もありますが、その場合でも退去時の原状回復の範囲や費用について、書面で確認しておくことが不可欠です。また、最近では「ディアウォール」や「ラブリコ」といった、壁に穴を開けずに柱を立ててテレビを壁掛け風にするDIYパーツも人気ですが、これらも設置場所やテレビの重量によっては安定性に注意が必要です。
「賃貸だけど、どうしても壁掛けにしたくて、大家さんに内緒でやっちゃった。退去の時、壁の補修費用で敷金じゃ足りなくて、追加で10万円くらい払う羽目になった…。おしゃれだったけど、高くついたなぁ。」(賃貸経験者の嘆き、架空)
持ち家であっても、一度壁に穴を開けてしまうと、その跡は簡単には消えません。将来的にテレビの位置を変えたくなった時に、穴が残ってしまうことも覚悟しておく必要がありますね。
【理由2】配線処理が超絶面倒! – 見た目の美しさと現実の格闘
壁掛けテレビの魅力の一つは、配線が隠れてスッキリ見えることですよね。でも、この「配線を隠す」という作業が、実は想像以上に大変で、頭を悩ませるポイントなんです。
テレビには、電源コードの他に、アンテナ線、HDMIケーブル(レコーダー、ゲーム機、サウンドバーなど)、場合によってはLANケーブルなど、複数のケーブルを接続する必要があります。これらのケーブルが壁からだらーんと垂れ下がっていたら、せっかくの壁掛けも台無しですよね。
配線を隠す主な方法としては、
- 壁の中に配管を通す(壁内配線):最もスッキリと美しく仕上がりますが、壁の内部構造によっては施工が難しかったり、大掛かりな工事が必要になったりします。電気工事士の資格が必要な場合もあります。
- 配線モールやカバーを使う:壁の表面に、ケーブルをまとめて隠せるモールやカバーを取り付ける方法です。比較的簡単にDIYできますが、どうしてもモール自体が見えてしまうため、壁内配線ほどのスッキリ感は得られません。色やデザインを選ばないと、かえって目立ってしまうことも。
- テレビの裏に隠す:テレビ本体の裏側にうまくケーブルをまとめて隠す方法ですが、ケーブルの数が多い場合や、テレビと壁の隙間が少ない固定式の金具の場合は難しいです。
特に、壁内配線は見た目は最高ですが、将来的にケーブルを追加したり、交換したりするのが非常に困難になるというデメリットもあります。新しいゲーム機を買ったけどHDMIケーブルが足りない、なんて時に、また壁工事が必要になるかもしれません。
「壁掛けにしたのはいいけど、結局、配線がごちゃごちゃしてて全然おしゃれじゃない…」「配線モールを貼ったけど、なんか安っぽく見えちゃう…」そんな後悔の声も少なくないのです。

見た目の美しさを追求するなら、設置前の入念な配線計画と、場合によっては専門業者への依頼が不可欠と言えるでしょう。
【理由3】一度設置したら位置変更がほぼ不可能! – レイアウトの自由度が激減
テレビ台の上にテレビを置くスタイルなら、気分転換にちょっと位置を変えたり、部屋の模様替えでテレビの場所を移動したりするのも比較的簡単ですよね。
しかし、壁掛けテレビの場合、一度設置場所を決めて壁に固定してしまうと、その後にテレビの位置を気軽に変えることは、ほぼ不可能に近いと言っていいでしょう。
「やっぱりもう少し右に寄せたかったな…」「ソファの位置を変えたら、テレビの高さが合わなくなった…」「隣の部屋にテレビを移動したいけど…」
そんな風に思っても、壁掛けテレビの場合は、また壁に穴を開け直したり、金具を付け替えたりといった大掛かりな作業が必要になります。元の場所には穴が残ってしまいますし、費用も手間もかかります。
特に、
- 生活スタイルの変化:結婚や出産、子供の成長などで、部屋の使い方が変わる可能性。
- 家具の買い替えや配置換え:新しいソファや棚に合わせて、テレビの位置も変えたくなること。
- 視聴スタイルの変化:以前はソファで見ていたけど、最近はダイニングテーブルから見ることが多くなった、など。
といった将来的な変化を考えると、テレビの位置が固定されてしまうことのデメリットは意外と大きいかもしれません。
「おしゃれさ」を優先して壁掛けにしたけれど、結果的に部屋のレイアウトの自由度が大幅に失われてしまい、かえって不便を感じるようになってしまった…というケースもあり得るのです。
壁掛けテレビを設置する際には、本当にその位置で長期間問題ないのか、将来的な部屋の使い方も含めて、じっくりとシミュレーションすることが大切ですね。アーム式の金具を選べば、ある程度の角度調整は可能ですが、壁からの根本的な位置変更はやはり難しいです。
【理由4】意外とかかる初期費用と手間 – 金具代+工事費+α
「テレビ台を買うより安上がりかも?」と、費用面でのメリットを期待して壁掛けテレビを検討する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には意外と初期費用がかかるケースが多いんです。
壁掛けに必要な主な費用としては、
- 壁掛け金具代:テレビのサイズや重量、金具の種類(固定式、角度調整式、アーム式)によって価格は大きく異なりますが、数千円~数万円程度が一般的です。信頼性の低い安価すぎる金具は、安全性に問題がある可能性もあるので注意が必要です。
- 設置工事費(業者に依頼する場合):壁の状況や配線処理の方法、テレビのサイズなどによって費用は変動しますが、一般的には2万円~5万円程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。壁内配線や壁の補強工事が必要になると、さらに高額になることも。
- 工具代(DIYする場合):電動ドリル、下地センサー、水平器など、DIYで設置する場合には、ある程度の工具を揃える必要があります。持っていなければ購入費用がかかります。
- 配線モールやカバー代:配線を隠すためにモールなどを使用する場合、その購入費用もかかります。
これらの費用を合計すると、「ちょっと良いテレビ台が買えるくらいの金額になってしまった…」なんてことも十分にあり得るのです。
また、費用だけでなく、設置にかかる手間と時間も考慮しなければなりません。
DIYで設置するなら、壁の構造を調べたり、適切な金具を選んだり、正確に位置決めをして穴を開けたりと、かなりの時間と労力が必要です。業者に依頼する場合でも、見積もりを取ったり、日程調整をしたり、工事に立ち会ったりといった手間がかかります。
「思っていたよりお金も時間もかかって、なんだか疲れちゃった…」とならないように、事前にしっかりと費用と手間を把握しておくことが大切ですね。
【理由5】テレビの買い替え時が面倒くさい! – 金具の互換性と再設置の手間
テレビは家電製品ですから、いつかは寿命が来たり、もっと新しい高機能なモデルに買い替えたくなったりする時が来ますよね。
テレビ台に置いている場合は、古いテレビを下ろして新しいテレビを乗せるだけで済みますが、壁掛けテレビの場合、この買い替えが意外と面倒な問題を引き起こすことがあるんです。
- VESA規格の確認と金具の互換性:テレビを壁掛け金具に取り付けるためのネジ穴の位置は、「VESA規格」という国際標準規格で定められていることが多いです。しかし、新しいテレビのVESA規格が、今使っている壁掛け金具と合わない(例えば、ネジ穴の位置が違う、テレビのサイズや重量が金具の対応範囲外など)可能性があります。その場合、壁掛け金具ごと交換しなければならなくなります。
- 金具の交換・再設置の手間と費用:もし金具ごと交換するとなると、また壁から古い金具を取り外し、新しい金具を取り付けるという作業が必要になります。壁の穴の位置も変わるかもしれませんし、業者に依頼すれば再度工事費もかかります。
- テレビの大型化・重量化への対応:最近のテレビはどんどん大型化・高画質化していますが、それに伴って重量も増える傾向があります。今の壁掛け金具や壁の強度が、将来買い替えるかもしれない大型テレビに対応できるとは限りません。
「新しいテレビを買ったはいいけど、今の壁掛け金具に付かないなんて知らなかった…」「また壁工事が必要になるなんて、面倒くさいなぁ…」そんな事態に陥る可能性があるのです。
テレビの寿命は一般的に7~10年程度と言われています。その間に、テレビの技術もどんどん進化していきます。将来のテレビ買い替えのことまで見据えて、壁掛けにするかどうか、どんな金具を選ぶかを考える必要があるんですね。
汎用性の高い金具を選んだり、ある程度将来のテレビサイズの変化に対応できるような設置場所を選んだりといった工夫も、少しは役立つかもしれません。
【理由6】周辺機器の置き場所に困る – レコーダー、ゲーム機、サウンドバーはどうする?
テレビを壁掛けにしてスッキリさせたはいいけれど、「あれ?ブルーレイレコーダーはどこに置こう?」「ゲーム機を繋ぎたいけど、置き場所がない…」「サウンドバーを置いたら、結局ごちゃごちゃしちゃった…」そんな周辺機器の置き場所問題に直面する方は少なくありません。
テレビ台があれば、その上にレコーダーやゲーム機を置いたり、棚の中に収納したりできますが、壁掛けにしてテレビ台をなくしてしまうと、これらの機器の置き場所を新たに確保する必要が出てきます。
考えられる対策としては、
- 壁掛け専用のシェルフや棚を取り付ける:テレビの下や横に、レコーダーなどを置ける小さな棚を設置する方法です。ただし、これも壁に穴を開ける必要があったり、結局物が増えてスッキリ感が損なわれたりする可能性があります。
- テレビの裏に隠せる小型の機器を選ぶ:最近は、HDDレコーダー機能付きのテレビや、スティック型のストリーミングデバイスなど、テレビ周りをシンプルにできる製品もあります。
- 床に直接置く、あるいはローボードを設置する:結局、床に機器を置いたり、低いテレビボードを置いたりすることになるかもしれませんが、それでは壁掛けにした意味が半減してしまうかもしれません。
- サウンドバーの設置場所:迫力ある音響を楽しみたいとサウンドバーを導入する場合、その設置場所も考える必要があります。テレビの下の壁に取り付けるのか、あるいは別途棚を設けるのか。配線も増えますよね。
「テレビ周りをスッキリさせたい!」という当初の目的が、周辺機器のせいで達成できなくなってしまうのは、なんとも残念な話です。
壁掛けテレビを計画する際には、テレビ本体だけでなく、接続する予定の周辺機器の数や種類、サイズ、そしてそれらの配線をどう処理するのかまで、トータルで考えてレイアウトを計画することが非常に重要になってきます。

【理由7】耐震性への過信は禁物! – 不適切な設置による落下リスクも
「壁掛けテレビは地震に強いって聞いたから安心!」そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。確かに、適切に設置されていれば、テレビ台に置くよりも転倒のリスクは低減されると言われています。
しかし、それはあくまで「適切に設置されていれば」の話です。
以下のような場合、壁掛けテレビの耐震性は期待通りに発揮されず、むしろ危険な状況を招く可能性すらあります。
- 壁の強度が不足している:石膏ボードのみの壁に、適切な補強をせずに重いテレビを取り付けている場合、地震の揺れで壁ごと崩れたり、金具が抜け落ちたりする危険性があります。
- 金具の取り付けが不十分・不適切:ネジの締め付けが甘かったり、柱や間柱にしっかりと固定されていなかったりすると、揺れによって金具が外れてテレビが落下する可能性があります。
- 金具の耐荷重を超えている:使用している壁掛け金具が、テレビの重量に対応していない場合、金具自体が破損する恐れがあります。
- アーム式の金具の可動部分の緩み:アーム式の金具は、可動部分のネジが緩んでいると、地震の際に大きく揺れてテレビが壁に衝突したり、最悪の場合落下したりするリスクがあります。定期的な点検が必要です。
実際に、不適切な設置が原因でテレビが落下したという事故の報告も、数は多くないものの存在します。万が一、大きな地震の際にテレビが落下してきたら、大怪我に繋がる可能性も否定できません。
「自分でDIYしたけど、ちゃんと付いてるかちょっと不安…」「安い金具を買ったけど、大丈夫かな…」そんな少しでも不安がある場合は、専門業者に点検してもらうか、より安全な方法で再設置することを検討すべきです。
耐震性を期待して壁掛けにするのであれば、その設置方法と品質には最大限の注意を払う必要があります。「なんとなく大丈夫だろう」という安易な考えは、非常に危険だということを覚えておいてくださいね。
それでもテレビを壁掛けにしたいあなたへ – 後悔しないための賢い準備と対策
ここまで、テレビの壁掛け設置について、注意しておきたいポイントや、「やめとけ」と言われることがある理由を詳しくお話ししてきました。もしかしたら、「やっぱり壁掛けはやめておこうかな…」「思っていたより大変そうだな…」と、少し気持ちが揺らいでしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、これらの課題やリスクを理解した上で、それでも「どうしても壁掛けテレビのスタイリッシュな空間を実現したい!」「省スペースのメリットは捨てがたい!」という強い想いをお持ちの方も、きっといらっしゃると思います。その気持ちは、とてもよく分かりますし、実現できれば素晴らしい住環境になりますよね。
そんな皆さんに向けて、この章では、テレビの壁掛け設置で後悔しないために、どんな準備が必要で、どんな点に注意して進めていけば良いのか、具体的なアドバイスをお伝えしたいと思います。
本当に壁掛けが必要か?目的とライフスタイルを再確認
まず、何よりも大切なのは、「なぜ自分はテレビを壁掛けにしたいのか?」という目的と、ご自身の現在の、そして将来のライフスタイルを再確認することです。
なんとなく「おしゃれだから」「流行っているから」といった曖昧な理由だけで進めてしまうと、後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性が高まってしまいます。
以下の点を、もう一度じっくりと考えてみてください。
- 壁掛けにする最大の目的は何か?(省スペース? デザイン性? 安全性? 視聴位置の最適化?)
- その目的は、壁掛け以外の方法では達成できないか?(例えば、壁寄せタイプのテレビスタンドや、薄型でスッキリしたデザインのテレビ台など)
- 現在の住環境(持ち家か賃貸か、壁の構造など)は、壁掛けに適しているか?
- 将来的に引っ越す可能性は? その場合、壁掛けテレビはどうするのか?
- 家族構成やライフスタイルは、今後変化する可能性があるか?(結婚、出産、子供の成長、同居など)
- テレビの視聴スタイルは?(主にリビングで見るのか、寝室や子供部屋にも欲しいのか)
- 予算はどれくらいかけられるか?(金具代、工事費、周辺機器の買い替えなども含めて)
これらの点を具体的に検討することで、自分にとって本当に壁掛けテレビが必要なのか、そして、もし設置するならどんな点に注意すべきかが見えてくるはずです。
例えば、「とにかく部屋を広く使いたいワンルーム暮らしで、持ち家だから壁工事も問題ない」という方と、「賃貸で、数年後には引っ越す予定だけど、おしゃれな部屋にしたい」という方とでは、最適な選択肢や注意すべき点が大きく異なってきますよね。
勢いで決めてしまう前に、一度立ち止まって冷静に考える時間を持つことが大切ですよ。
壁の種類と強度の確認は絶対! プロの判断を仰ぐ勇気も
テレビを安全に壁掛けするためには、設置する壁の種類と強度を正確に把握することが、何よりも重要です。【理由1】でも触れましたが、ここを疎かにすると、テレビ落下の危険性や壁の破損といった重大なトラブルに繋がりかねません。
自分でDIYする場合でも、業者に依頼する場合でも、以下の点は必ず確認しましょう。
- 壁の材質は何か?(石膏ボード、コンクリート、木壁(合板)、土壁など)
- 石膏ボードの場合、その厚みは?
- 壁の内部に柱(間柱)や補強材はあるか? その位置は正確に把握できるか?(下地センサーなどを使って確認)
- 設置したいテレビの重量と、壁掛け金具の重量を合わせた総重量はどれくらいか?
- その総重量に対して、壁の強度は十分に耐えられるか?
特に石膏ボードの壁に設置する場合は、柱や間柱に直接ネジで固定するのが基本です。もし適切な位置に柱がない場合は、壁の裏側に補強板を入れたり、専用のアンカーを使ったりといった補強工事が必要になります。
これらの判断は、専門的な知識や経験がないと難しい場合が多いです。もし少しでも不安があるなら、無理に自分で判断しようとせず、建築士やリフォーム業者、信頼できる壁掛け設置業者といったプロに相談し、診断してもらうことを強くおすすめします。
費用はかかるかもしれませんが、安全には代えられません。「たぶん大丈夫だろう」という安易な憶測は禁物です。
賃貸物件の場合は、まず大家さんや管理会社に壁掛け設置の可否と条件(壁への加工、原状回復など)を確認するのが第一歩ですね。
配線計画は入念に!「隠す」だけでなく「将来性」も考慮
見た目のスッキリ感を大きく左右する配線処理。【理由2】でも触れましたが、ここは壁掛けテレビの満足度を決定づける重要なポイントと言っても過言ではありません。
設置前に、以下の点を考慮して入念な配線計画を立てましょう。
- 接続する機器の種類と数:テレビ、レコーダー、ゲーム機、サウンドバー、ストリーミングデバイスなど、現在接続したい機器だけでなく、将来的に追加する可能性のある機器もリストアップしておきましょう。
- 必要なケーブルの種類と本数、長さ:電源ケーブル、アンテナ線、HDMIケーブル、LANケーブルなど、それぞれの機器に必要なケーブルの種類と本数、そしてテレビと機器の設置場所に応じた適切な長さを把握しておきます。
- 配線を隠す方法:壁内配線にするのか、配線モールを使うのか、あるいは他の方法を考えるのか。それぞれのメリット・デメリット、費用、施工の難易度を比較検討しましょう。
- コンセントの位置と数:テレビや周辺機器の電源を取るためのコンセントが、適切な位置に十分な数あるか確認しましょう。足りない場合は、延長コードを使うか、コンセントの増設工事が必要になることも。
- 将来のケーブル交換や追加の容易性:特に壁内配線にする場合は、将来的にHDMIケーブルの規格が変わったり、新しい機器を追加したくなったりした時に、簡単にケーブルを交換・追加できるような工夫(例えば、太めの配管を通しておく、点検口を設けておくなど)をしておくと安心です。
新築やリフォームのタイミングで壁掛けテレビを導入する場合は、設計段階から電気工事業者やハウスメーカーとしっかりと打ち合わせをし、最適な配線ルートやコンセント位置を計画するのが理想的です。
既存の住宅で後から壁掛けにする場合は、どこまで美しく、かつ将来的なメンテナンス性も考慮して配線を処理できるか、専門業者とよく相談しながら進めましょう。
「見た目さえ良ければいい」ではなく、「長く快適に使える」配線計画を目指したいですね。
テレビのサイズ・重量と金具の選定 – VESA規格と将来の買い替えも視野に
壁掛け金具は、テレビを安全かつ快適に視聴するために非常に重要なパーツです。以下の点に注意して、適切な金具を選びましょう。
- テレビのサイズと重量への適合:必ず、お持ちのテレビ(あるいは購入予定のテレビ)のインチサイズと重量に対応した金具を選んでください。金具の耐荷重を絶対に超えないようにしましょう。
- VESA規格の確認:テレビの背面にあるネジ穴の間隔は、VESA規格という国際標準で定められています。テレビと金具のVESAマウントインターフェースが一致しているか、必ず確認してください。(例:200x200mm, 400x400mmなど)
- 金具の種類:
- 固定式(フラット式):壁からの出っ張りが最も少なく、スッキリ見えますが、角度調整はできません。
- 角度調整式(チルト式):上下の角度調整が可能です。少し高い位置に設置する場合や、視聴位置によって角度を変えたい場合に便利です。
- アーム式:前後左右に可動範囲が広く、視聴位置の自由度が最も高いですが、壁への負担が大きく、金具自体も高価で重量があります。壁の強度が特に重要になります。
ご自身の視聴スタイルや設置場所に合わせて、最適な種類を選びましょう。
- 安全性・信頼性:極端に安価な金具や、メーカー不明の金具は、品質や安全性に問題がある可能性があります。できるだけ、信頼できるメーカーの製品で、PSEマーク(電気用品安全法)やSGマーク(製品安全協会)などが付いているものを選ぶと安心です。
- 将来のテレビ買い替えへの対応:【理由5】でも触れましたが、将来テレビを買い替える際に、新しいテレビにも使えるように、ある程度幅広いサイズやVESA規格に対応できる汎用性の高い金具を選んでおくというのも一つの考え方です。ただし、あまりに先のことを考えすぎても難しいので、バランスが大切ですね。
金具選びに迷ったら、テレビメーカーの推奨品や、壁掛け金具専門メーカーのウェブサイトで適合検索をしてみたり、販売店の専門スタッフに相談してみたりするのが良いでしょう。

DIYか業者依頼か?それぞれのメリット・デメリットを理解して判断
テレビの壁掛け設置を自分で行う(DIY)か、専門業者に依頼するかは、非常に悩ましい問題ですよね。それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で、ご自身のスキルや状況に合わせて判断しましょう。
DIYで設置する場合
- メリット:
- 設置費用を大幅に抑えられる。
- 自分の好きなタイミングで作業できる。
- 達成感がある。
- デメリット:
- 壁の構造判断や正確な位置決め、水平出しなど、専門的な知識と技術、そして適切な工具が必要。
- 取り付けが不適切だと、テレビ落下の危険性や壁の破損に繋がる。全て自己責任となる。
- 配線処理を自分で行う必要がある。
- 時間と手間がかかる。
- 失敗した場合のリカバリーが大変。
専門業者に依頼する場合
- メリット:
- 壁の状況判断から適切な金具選び、確実な取り付け、きれいな配線処理まで、専門的な知識と技術で安全かつ美しく仕上げてくれる。
- 万が一の事故やトラブルに対する保証が付いている場合がある。
- 時間と手間を大幅に節約できる。
- 自分では難しい壁内配線なども依頼できる。
- デメリット:
- 設置費用が高額になる。(数万円~)
- 業者選びが難しい(信頼できる業者を見つける必要がある)。
- 日程調整や工事の立ち会いが必要。
「費用を抑えたいからDIYで!」と安易に考えるのは危険です。特に、壁の構造に自信がない方や、電気工事に関する知識がない方、重いテレビを扱うのが不安な方は、無理をせずに専門業者に依頼するのが賢明な判断と言えるでしょう。
業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりを取り、実績や評判、保証内容などを比較検討して、信頼できるところを選ぶようにしてくださいね。
周辺機器の配置と配線もセットで計画する
【理由6】でも触れましたが、壁掛けテレビを設置する際には、テレビ本体だけでなく、ブルーレイレコーダー、ゲーム機、サウンドバー、ストリーミングデバイスといった周辺機器の置き場所と、それらの配線をどうするかも、必ずセットで計画するようにしましょう。
「テレビだけ壁にかけてスッキリしたけど、他のものがごちゃごちゃして結局意味がなかった…」なんてことにならないように、以下の点を具体的に考えてみてください。
- どの周辺機器をどこに置くか?(テレビの下に壁付けシェルフを設ける? 既存のローボードを流用する? テレビの裏に隠せる小型機器を選ぶ?)
- それぞれの機器とテレビをどう接続するか?(必要なHDMIケーブルの本数や長さは? 電源はどこから取る?)
- 配線をどうやって隠すか?(壁内配線にするなら、それらの機器からのケーブルも考慮に入れる。配線モールを使うなら、モールの太さや色、ルートをどうするか。)
- リモコンの操作性は問題ないか?(レコーダーなどを隠してしまうと、リモコンの赤外線が届かなくなる可能性も。その場合は、IRリピーターなどの対策が必要になることも。)
理想は、テレビ周りに置く機器を最小限にし、できるだけワイヤレス接続などを活用して、ケーブル類を減らすことです。最近では、Wi-Fi経由で映像を伝送できる機器や、テレビ自体に録画機能やストリーミング機能が内蔵されているモデルも増えていますので、そういったものを選ぶのも一つの手ですね。
配線計画は、一度壁掛けを設置してしまうと後から変更するのが難しい場合が多いので、できるだけ最初の段階で、完璧に近い計画を立てておくことが、後悔しないための秘訣ですよ。
【総括】テレビ壁掛けで後悔しないために – やめた方がいい理由の再確認
さて、今回はテレビの壁掛け設置について、「やめとけ」と言われることがある理由を中心に、その魅力と注意点、そしてもし導入する場合の賢い準備や対策について、詳しくお話ししてきました。
お部屋をスッキリとスタイリッシュに見せてくれる壁掛けテレビですが、その一方で、設置場所の制約、配線処理の難しさ、位置変更の困難さ、そして意外とかかる費用や手間など、乗り越えなければならない課題も少なくないことをご理解いただけたでしょうか。
最後にもう一度、テレビの壁掛け設置を慎重に考えるべき理由をまとめておきますね。
- 理由1:設置場所の制約と壁へのダメージ!
壁の強度確認が必須で、賃貸物件では特に注意が必要です。 - 理由2:配線処理が超絶面倒!
見た目の美しさを追求するには、入念な計画と手間がかかります。 - 理由3:一度設置したら位置変更がほぼ不可能!
将来のレイアウト変更の自由度が大幅に失われます。 - 理由4:意外とかかる初期費用と手間
金具代や工事費、工具代など、思った以上に出費がかさむことがあります。 - 理由5:テレビの買い替え時が面倒くさい!
金具の互換性や再設置の手間、費用が発生する可能性があります。 - 理由6:周辺機器の置き場所に困る
レコーダーやゲーム機などの配置と配線もセットで計画しないと、結局ごちゃつきます。 - 理由7:耐震性への過信は禁物!
不適切な設置は、逆にテレビ落下の危険性を高めることもあります。
これらの点をしっかりと理解し、ご自身のライフスタイルや住環境、そして何よりも「テレビを壁掛けにすることで何を実現したいのか」という目的を明確にした上で、それでも「挑戦したい!」という強い想いがあるのなら、その決断を応援したいと思います。その際には、この記事でお伝えしたような準備や対策をしっかりと行い、後悔のない、快適でスタイリッシュなテレビ視聴環境を実現してくださいね。
大切なのは、憧れやイメージだけで判断するのではなく、メリットもデメリットも全て理解した上で、ご自身にとって本当に価値のある選択をすることです。
この記事が、皆さんのより良いお部屋作りと、快適なAVライフの、ささやかなお手伝いになれば、私も心から嬉しく思います。