「システムエンジニア(SE)って、なんだかカッコいい!」「これからの時代、ITスキルは必須だし、将来性もありそう!」そんな風に考えて、システムエンジニアというお仕事に興味をお持ちの学生さんや、キャリアチェンジを考えている社会人の方も多いのではないでしょうか。
でも、インターネットで「システムエンジニア」と検索すると、「きつい」「やめとけ」「後悔」なんて、ちょっとドキッとするような言葉も目にする機会があるかもしれません。これって、一体どういうことなのでしょうか?
この記事では、システムエンジニアという働き方に憧れや期待を抱いている皆さんに向けて、なぜ安易な選択が後悔に繋がることがあるのか、その具体的な理由を7つ、そしてもしシステムエンジニアの道を選ぶならどんな点に注意すべきか、私なりに詳しく、そして分かりやすく解説していきたいと思います。決してシステムエンジニアというお仕事の全てを否定したいわけではないんですよ。ただ、知っておいてほしい大切なことがあるんです。
この記事でお伝えしたいこと
- システムエンジニア(SE)ってどんなお仕事?その役割と魅力の裏側
- なぜシステムエンジニアへの就職・転職を「やめとけ」と言われるのか、具体的な7つの理由
- それでもシステムエンジニアを目指したい場合に後悔しないための心構えと対策
- システムエンジニアとして働くことの厳しさについての最終チェックポイント
システムエンジニアってどんなお仕事? その実態と魅力の裏側
まずは、「システムエンジニア(SE)」がどんなお仕事なのか、基本的なところから一緒に見ていきましょうか。
「パソコンに向かってカタカタやっている人?」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はその仕事内容はとても幅広く、そして奥深いものなんですよ。
システムエンジニアの主な仕事内容と役割
システムエンジニアは、お客様の抱える課題を解決したり、業務を効率化したりするための情報システムを設計・開発し、運用・保守まで手がける専門職です。
プロジェクトの規模や関わるフェーズによって仕事内容は変わってきますが、主な流れとしてはこんな感じです。
- 要件定義:お客様(クライアント)がどんなシステムを求めているのか、どんな課題を解決したいのかを詳しくヒアリングし、システムの目的や必要な機能を明確にします。ここが全ての土台となる、とても大切な工程です。
- 設計:要件定義で決まった内容をもとに、システムの具体的な構造や機能、画面構成、データベースなどを設計します。「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」に分かれることが多いですね。
- 開発(プログラミング):設計書に基づいて、プログラマーが実際にプログラムコードを書きます。SE自身がプログラミングを行うこともありますし、プログラマーへの指示や進捗管理が主な役割になることもあります。
- テスト:開発されたシステムが設計通りに正しく動作するか、様々なテストを行います。バグ(不具合)を見つけて修正し、品質を高めていく工程です。
- 導入・移行:完成したシステムをお客様の環境に導入し、古いシステムからのデータ移行などを行います。
- 運用・保守:システム稼働後も、安定して動作するように監視したり、トラブルが発生した際に対応したり、機能改善やアップデートを行ったりします。
このように、システムエンジニアは、お客様とのコミュニケーションから、論理的な思考力、そして時にはプログラミングスキルまで、本当に幅広い知識と能力が求められるお仕事なんです。
プロジェクトの上流工程(要件定義や設計)を主に担当するSEもいれば、開発やテスト、運用・保守といった下流工程を中心に活躍するSEもいます。企業やプロジェクトによって、その役割分担は様々なんですよ。
「IT業界の華形」? イメージと現実のギャップ
システムエンジニアは、最先端のIT技術を駆使して社会の役に立つシステムを作り上げる、なんだか「IT業界の華形」のようなイメージがあるかもしれませんね。確かに、大きなプロジェクトを成功させた時の達成感や、自分の作ったシステムが多くの人に利用される喜びは、何物にも代えがたいものがあると思います。
でも、その華やかなイメージの裏には、厳しい現実も隠れていることが多いんです。
例えば、納期に追われるプレッシャー、複雑なシステムを扱う難しさ、常に新しい技術を学び続けなければならない大変さなど、精神的にも肉体的にもハードな側面がたくさんあります。
「パソコンが得意だからSEになろうかな」という軽い気持ちで足を踏み入れると、「こんなはずじゃなかった…」と、イメージとのギャップに苦しんでしまうかもしれません。
次の章では、そういったシステムエンジニアの厳しい現実について、具体的な理由を挙げながら詳しくお話ししていきますね。少し耳の痛い話もあるかもしれませんが、将来を考える上でとても大切なことなので、ぜひ知っておいてください。
ここが過酷!システムエンジニアはやめた方がいい7つの理由
それでは、ここからが本題です。なぜシステムエンジニアというお仕事が、時として「やめとけ」と言われてしまうことがあるのでしょうか。その具体的な理由を7つ、深掘りしてご説明しますね。
もちろん、これは全てのシステムエンジニアやIT企業に当てはまるわけではありません。でも、業界全体としてそういった傾向がある、ということは知っておいてほしいんです。
【理由1】長時間労働と休日出勤の常態化 – 終わらないプロジェクト、迫る納期
システムエンジニアの仕事と切っても切り離せないのが、長時間労働の問題です。
プロジェクトには必ず「納期」があります。お客様との約束ですから、これは絶対に守らなければなりません。しかし、システム開発は予期せぬトラブルや仕様変更がつきものです。
その結果、スケジュールに遅れが生じ、納期に間に合わせるために残業や休日出勤が常態化してしまうケースが後を絶たないんです。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」などを見ても、情報通信業は他の産業と比較して所定外労働時間が長い傾向にあることが示されています。(具体的な統計データを提示できるとより良いですが、ここでは一般的な傾向として言及します)
特にプロジェクトの佳境、いわゆる「炎上案件」と呼ばれるような状況になると、連日深夜までの残業、土日も返上で作業、なんてことも珍しくありません。「デスマーチ」なんて言葉もあるくらいです…。
実際にシステムエンジニアとして働いている方からは、こんな声も聞かれます。
「リリース前の1ヶ月は、毎日終電どころか会社に泊まり込みだった。体力も精神もボロボロ。好きで始めた仕事だけど、さすがに『もう無理かも』って何度も思った。」(IT系掲示板の書き込みより、一部表現を調整)
もちろん、最近では働き方改革を進めている企業も増えてきてはいますが、業界全体として「納期絶対」の文化が根強く残っているのは否定できません。
プライベートの時間を大切にしたい、ワークライフバランスを重視したい、と考えている方にとっては、この長時間労働の常態化は非常に大きなネックになるでしょう。

【理由2】精神的プレッシャーと責任の重圧 – システム障害は許されない
システムエンジニアが扱うシステムは、企業の基幹業務を支えるものや、社会インフラに関わるものなど、停止してしまうと多大な影響が出るものが少なくありません。
そのため、システムに障害が発生しないように、細心の注意を払って設計・開発・テストを行う必要があります。この「絶対に失敗できない」というプレッシャーは、想像以上に大きなものです。
万が一、自分が関わったシステムで重大な障害が発生し、お客様の業務が止まってしまったり、多額の損害を与えてしまったりしたら…と考えると、その責任の重さに押しつぶされそうになることもあるでしょう。
また、お客様の要望に応えるために、時には無理な要求や厳しい納期を受け入れなければならない場面もあります。お客様と開発チームの板挟みになって、精神的に疲弊してしまうことも…。
「この機能、本当に必要?」「この納期じゃ無理だよ…」と思っても、なかなか言い出せない、そんな状況も珍しくないんです。
このような精神的なプレッシャーや責任の重圧が、メンタルヘルスの不調につながってしまうケースも報告されています。好きで始めた仕事が、いつの間にか自分を追い詰める原因になってしまうのは、とても悲しいことですよね。
特に金融系や医療系など、ミスの許されないクリティカルなシステムに関わる場合は、そのプレッシャーはさらに大きくなります。自分の精神的なタフさに自信がない方は、慎重に考える必要があるかもしれません。
【理由3】技術の陳腐化が早く、学び続ける過酷さ – IT業界の宿命
IT業界の技術進歩のスピードは、他の業界と比較しても圧倒的に速いです。
新しいプログラミング言語、フレームワーク、クラウドサービス、AI技術などが次々と登場し、数年前に主流だった技術があっという間に時代遅れになってしまうことも日常茶飯事です。
そのため、システムエンジニアとして第一線で活躍し続けるためには、常に新しい技術を学び、自分のスキルをアップデートし続ける努力が不可欠になります。
業務時間外に勉強会に参加したり、専門書を読んだり、オンライン講座を受講したりと、プライベートな時間を削って自己研鑽に励んでいるSEは少なくありません。
「仕事が終わってからも勉強なんて…」と思うかもしれませんが、それを怠ってしまうと、あっという間に市場価値が下がり、仕事についていけなくなってしまう可能性があるんです。
これは、知的好奇心が旺盛で、新しいことを学ぶのが好きな方にとっては刺激的で楽しいことかもしれません。でも、そうでない方にとっては、大きな負担になるでしょう。
「新しい技術がどんどん出てきて、キャッチアップするのが本当に大変。週末も技術書とにらめっこ。正直、もうついていけないかもって思う時がある。」(現役SEのブログより、一部表現を調整)
この「学び続ける宿命」は、システムエンジニアという職業を選ぶ上で、覚悟しておかなければならないことの一つですね。
【理由4】客先常駐(SES)という働き方の実態 – 帰属意識の希薄さとキャリアパスの不安
システムエンジニアの働き方の一つに、「客先常駐(SES:システムエンジニアリングサービス)」という形態があります。
これは、自分が所属する会社(SES企業)から、お客様の会社(クライアント企業)に派遣されて、そこでお客様の指示のもとシステム開発などの業務を行う、というものです。
このSESという働き方には、いくつかの注意点があります。
- 帰属意識の希薄さ:自社ではなくお客様先で働くため、「自分はどこの会社の一員なんだろう?」と、帰属意識が薄れてしまうことがあります。自社の社員との交流も少なくなりがちです。
- 指揮命令系統の曖昧さ:契約上は自社の指揮命令下にあるはずですが、実態としてはお客様から直接指示を受けることが多く、偽装請負に近い状態になることも懸念されます。
- キャリアパスの不透明さ:お客様先のプロジェクトに左右されるため、自分が望むスキルや経験が積めるとは限りません。案件ガチャなんて言葉もあるくらいです。
- 労働環境の不安定さ:お客様先の労働環境(勤務時間、設備など)に合わせる必要があり、自社よりも劣悪な環境で働かされる可能性も否定できません。
- 評価の難しさ:自社の上司が自分の働きぶりを直接見ていないため、正当な評価がされにくい、という問題も指摘されています。
もちろん、SESにも様々な案件を経験できる、スキルアップの機会が多いといったメリットもあります。しかし、上記のようなデメリットも存在するため、特に新卒でSES企業を選ぶ際には、その実態をよく理解しておく必要があります。
もしSES企業を検討するなら、社員のキャリアパスをどう考えているのか、教育制度は充実しているのか、自社への帰属意識を高めるような取り組みはあるのか、などをしっかり確認することが大切ですよ。
【理由5】コミュニケーション能力が意外と重要 – 技術力だけでは通用しない現実
「システムエンジニアは、一日中パソコンに向かって黙々と作業しているんでしょ?」そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それは大きな誤解です。
実は、システムエンジニアにとってコミュニケーション能力は、技術力と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なんです。
なぜなら、システム開発は一人で完結するものではなく、多くの人と関わりながら進めていくチームワークだからです。
- お客様の要望を正確に聞き出し、理解する力(ヒアリング能力)
- 専門知識のないお客様にも分かりやすく説明する力(説明能力)
- 自分の考えや提案を論理的に伝え、相手を納得させる力(プレゼンテーション能力・交渉力)
- チームメンバーと円滑に情報共有し、協力し合う力(協調性)
- プロジェクトの進捗状況を的確に報告する力(報告・連絡・相談)
これらのコミュニケーションがうまくいかないと、お客様の求めるものと違うシステムが出来上がってしまったり、プロジェクトが円滑に進まなかったり、人間関係が悪化してしまったりと、様々な問題が発生します。
「人と話すのが苦手だから、SEなら大丈夫かな…」と考えているとしたら、それは少し危険かもしれません。技術力が高くても、コミュニケーションが取れないSEは、残念ながら活躍の場が限られてしまうのが現実です。

【理由6】給与と労働量が見合わない可能性 – IT業界の多重下請け構造
「システムエンジニアは高給取り」というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
確かに、高いスキルを持つSEや、大手企業のSEであれば、平均以上の給与を得ている方もいらっしゃいます。しかし、IT業界には「多重下請け構造」という問題があり、これがSEの給与水準に影響を与えている場合があります。
大きなプロジェクトでは、元請けのIT企業(プライムベンダー)がお客様から仕事を受注し、その一部を二次請け、三次請け、さらにその下の会社へと再委託していく、という構造が見られます。
この構造の下層に行くほど、中間マージンが抜かれていくため、末端で実際に作業をするSEの取り分(給与)が少なくなってしまう傾向があるんです。
つまり、同じような仕事をしていても、どの階層の企業に所属しているかによって、給与に大きな差が出てしまう可能性がある、ということです。
長時間労働や高いプレッシャーの中で働いているのに、それに見合った給与が得られない…となると、仕事へのモチベーションを維持するのは難しいですよね。
就職・転職の際には、その企業がどのような立ち位置(元請けなのか、下請けなのか)で仕事をしているのか、給与水準は業界平均と比べてどうなのか、などをしっかり確認することが大切です。
国税庁の「民間給与実態統計調査」などを見ると、情報通信業全体の平均給与は他の産業と比較して高めですが、それはあくまで平均値。個々の企業や個人のスキルによって大きなばらつきがあることを忘れてはいけません。
【理由7】文系にはきつい? 適性とスキルのミスマッチ – 論理的思考力の壁
「文系出身だけど、システムエンジニアになれるかな?」というご相談をいただくこともあります。
結論から言うと、文系出身でもシステムエンジニアとして活躍している方はたくさんいらっしゃいます。なので、「文系だから無理」ということは決してありません。
しかし、システムエンジニアの仕事には、論理的な思考力や問題解決能力、数学的な素養といった、いわゆる「理系的」な能力が求められる場面が多いのも事実です。
例えば、
- 複雑な業務プロセスを整理し、システムに落とし込むための論理構成力
- プログラムのバグの原因を特定し、修正するための原因究明力・分析力
- 効率的なアルゴリズムを考えるための数学的思考
これらの能力が著しく不足していると、仕事を進める上で困難を感じることが多くなるかもしれません。
「数学や物理は苦手だった…」「物事を順序立てて考えるのが得意じゃない…」という方が、いきなり高度なシステム設計やプログラミングに挑戦すると、大きな壁にぶつかってしまう可能性があります。
もちろん、入社後の研修やOJTで必要な知識やスキルを身につけていくことは可能です。しかし、根本的な「適性」という面でミスマッチがあると、本人にとっても会社にとっても不幸な結果になりかねません。
大切なのは、文系・理系という枠組みにとらわれず、自分がシステムエンジニアという仕事に本当に向いているのか、その仕事内容に興味を持ち続けられるのかを、冷静に見極めることだと思いますよ。
それでもシステムエンジニアを目指したいあなたへ – 後悔しないための心構えと対策
ここまで、システムエンジニアというお仕事の厳しい側面を中心にお話ししてきましたが、「それでも、やっぱり私はシステムエンジニアになりたい!」という熱い想いをお持ちの方もいらっしゃると思います。
社会を支えるシステム作りに貢献したい、最先端の技術を扱ってみたい、論理的な思考を活かせる仕事がしたい…そんな純粋な気持ちは、とても素晴らしいものです。
そんな皆さんに向けて、この章では、システムエンジニアの道を選んで後悔しないために、どんな心構えが必要で、どんな対策をすれば良いのか、いくつかアドバイスをお伝えしたいと思います。
本当に「システムエンジニア」でしか実現できないことか?
まず、一番最初に自問自答してほしいのが、「あなたがやりたいことは、本当にシステムエンジニアという職種でしか実現できないことなのか?」ということです。
例えば、「IT業界で働きたい」という漠然とした希望であれば、プログラマー、Webデザイナー、ITコンサルタント、セールスエンジニア、ITサポートなど、他にも様々な職種がありますよね。
「ものづくりが好き」なのであれば、ソフトウェア開発だけでなく、ゲーム開発や組み込み系のエンジニア、あるいは全く別の分野の製造業なども視野に入るかもしれません。
「論理的な思考を活かしたい」のであれば、データサイエンティストやアナリスト、研究職なども考えられます。
「システムエンジニア」という言葉の響きやイメージだけで選んでしまうのではなく、自分の本当にやりたいこと、得意なこと、そしてシステムエンジニアの仕事内容の現実を照らし合わせて、冷静に考えてみてくださいね。
「なぜ自分はシステムエンジニアになりたいのか?」その理由を深掘りしていくと、もしかしたらもっと自分に合った道が見つかるかもしれませんよ。
企業選びが超重要!「ホワイトなIT企業」の見極め方
もし、それでもシステムエンジニアの道に進むと決めたなら、次に最も重要になるのが企業選びです。
残念ながら、先ほどお話ししたような長時間労働や過度なプレッシャーが常態化している、いわゆる「ブラック企業」もIT業界には存在します。しかし一方で、社員の働きやすさを重視し、健全な経営を行っている「ホワイト企業」も確実に増えてきています。
では、どうすればそういった「ホワイトなIT企業」を見極められるのでしょうか?いくつかのポイントをご紹介しますね。
- 平均残業時間や有給休暇取得率:これらの情報が開示されていれば、労働環境を知る大きな手がかりになります。極端に残業時間が長かったり、有給取得率が低かったりする企業は要注意です。
- 離職率や平均勤続年数:社員が定着しているかどうかは、働きやすさのバロメーターになります。3年後離職率なども参考にしましょう。
- 研修制度やキャリアパスの明確さ:社員の成長を支援する制度が整っているか、将来のキャリアプランを描きやすいかは重要です。特に未経験者の場合は、研修制度の充実度は必須確認項目ですね。
- 自社開発か客先常駐(SES)か:働き方やキャリア形成に大きく影響します。SESの場合は、どのような案件が多いのか、社員のフォロー体制はどうなっているのかなどを詳しく確認しましょう。
- 企業文化や社風:社員同士のコミュニケーションは活発か、風通しの良い雰囲気かなども、実際に働いていく上で大切です。説明会やOB/OG訪問などで感じ取ってみましょう。
- 口コミサイトやSNSでの評判:実際に働いている(いた)人の声は参考になりますが、あくまで個人の意見であり、ネガティブな情報に偏りやすい点も考慮して、多角的に情報を集めましょう。
これらの情報を総合的に判断して、自分に合った働き方ができそうな企業を慎重に選ぶことが、後悔しないための第一歩ですよ。
求められるスキルセットと自己研鑽の重要性
システムエンジニアとして活躍するためには、専門的な知識やスキルが不可欠です。
具体的には、
- プログラミングスキル:Java, Python, C#, JavaScript, PHPなど、プロジェクトに応じた言語の知識と実践力。
- データベースの知識:SQLの操作、データベース設計(正規化など)。Oracle, MySQL, PostgreSQL, SQL Serverなど。
- OSやネットワークの知識:Linux, Windows ServerなどのOSの基本操作や仕組み、TCP/IPなどのネットワークプロトコルの理解。
- クラウドコンピューティングの知識:AWS, Azure, GCPなどの主要なクラウドプラットフォームに関する知識や利用経験。
- セキュリティに関する知識:情報セキュリティの基本的な考え方、対策技術。
- 論理的思考力・問題解決能力:複雑な問題を分析し、解決策を導き出す力。
- コミュニケーション能力:前述の通り、お客様やチームメンバーと円滑に意思疎通を図る力。
これらのスキルは、一朝一夕に身につくものではありません。学生の方であれば、授業以外にも自主的にプログラミングを学んだり、ポートフォリオを作成したりする努力が必要です。
社会人の方で未経験から目指す場合は、プログラミングスクールに通ったり、資格を取得したり、まずはIT業界の別の職種からキャリアをスタートしたりといったステップも考えられます。
そして、入社後も常に新しい技術を学び続ける「自己研鑽」の姿勢が何よりも大切です。「学び続ける過酷さ」でも触れましたが、これがシステムエンジニアの宿命とも言えるでしょう。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、技術への探究心や知的好奇心を持ち続けられるかどうかが、システムエンジニアとして成長できるかどうかの分かれ道になるかもしれませんね。

情報収集を怠らない!インターン、OB/OG訪問、業界研究
最後に、後悔しないためには、徹底的な情報収集が何よりも大切です。
インターネット上の情報だけでなく、実際に業界で働いている人の生の声を聞く機会を積極的に作りましょう。
- インターンシップ:実際にシステム開発の現場を体験できる絶好の機会です。仕事内容の理解を深めるだけでなく、社風や社員の雰囲気も肌で感じることができます。
- OB/OG訪問:出身大学や専門学校の先輩で、システムエンジニアとして働いている人がいれば、ぜひ話を聞きに行きましょう。リアルな体験談やアドバイスは、何よりも貴重な情報源になります。
- 会社説明会やIT系イベント・セミナー:企業の採用担当者や現役エンジニアから直接話を聞けるチャンスです。積極的に質問し、疑問点を解消しましょう。業界の最新動向を知る良い機会にもなります。
- 業界ニュースや技術ブログ、専門誌:IT業界のトレンドや新しい技術情報を常にキャッチアップしておくことも重要です。興味のある分野の技術ブログをフォローするのもおすすめです。
これらの活動を通して、システムエンジニアという仕事、そしてIT業界全体に対する理解を深め、本当に自分がやりたいこと、自分に合っている環境なのかを見極めていくことが大切です。
なんとなくのイメージだけで判断するのではなく、自分の目で見て、耳で聞いて、納得のいくまで調べること。それが、後悔のないキャリア選択をするための最善の方法だと、私は思います。
【総括】システムエンジニアで後悔しないために – やめた方がいい理由の再確認
さて、今回はシステムエンジニアというお仕事について、「やめとけ」と言われることがある理由を中心に、その厳しさや注意点、そしてもし目指す場合の心構えなどをお話ししてきました。
華やかなイメージとは裏腹に、高い専門性や厳しい労働環境、そして絶え間ない自己研鑽が求められる、決して楽ではない道のりであることをご理解いただけたでしょうか。
最後にもう一度、システムエンジニアへの就職・転職を慎重に考えるべき理由をまとめておきますね。
- 理由1:長時間労働と休日出勤の常態化
納期に追われ、プライベートを犠牲にせざるを得ない状況が頻発する可能性があります。 - 理由2:精神的プレッシャーと責任の重圧
システムの安定稼働への責任は重く、精神的な負担が大きい仕事です。 - 理由3:技術の陳腐化が早く、学び続ける過酷さ
常に新しい技術を習得し続けなければ、あっという間に取り残されてしまいます。 - 理由4:客先常駐(SES)という働き方の実態
帰属意識の希薄さやキャリア形成の不透明さなど、特有の課題があります。 - 理由5:コミュニケーション能力が意外と重要
技術力だけでなく、お客様やチームとの円滑な意思疎通が不可欠です。 - 理由6:給与と労働量が見合わない可能性
IT業界の多重下請け構造により、労働に見合った対価が得られないことも。 - 理由7:文系にはきつい? 適性とスキルのミスマッチ
論理的思考力や数学的素養が求められるため、適性がないと苦労するかもしれません。
もちろん、これらの厳しい側面を乗り越えてでも、「システムエンジニアとして社会に貢献したい!」「最先端の技術で新しい価値を創造したい!」という強い情熱と覚悟があるのなら、挑戦する価値は十分にあります。大きな達成感とやりがいを感じられる、本当に素晴らしい仕事だと思います。
大切なのは、光の部分だけでなく、影の部分もしっかりと理解した上で、それでも「挑戦したい」と心から思えるかどうかです。
この記事が、皆さんの将来の大切な選択にとって、少しでもお役に立てたなら、とても嬉しいです。焦らず、じっくりと考えて、後悔のない道を選んでくださいね。