社会保険労務士はやめとけ!資格取得で失敗しないための6つの深刻な理由

やめとけ

「社会保険労務士」、略して「社労士」という資格について、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?企業の「人」に関する専門家、労働法や社会保険のエキスパート、難関国家資格を突破した法律家…そんな、ちょっと堅実で頼りになる存在を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。

会社の総務や人事に関わる方や、将来的に独立開業を目指したい方にとっては、非常に魅力的な資格に映るでしょう。でも、インターネットで「社会保険労務士」と検索してみると、「社労士 やめとけ」「社労士 後悔」「社労士 食えない」なんて、少し気になる言葉も一緒に表示されることがあるんです。

「え、そんなに大変なの?安定していそうな資格なのに、何か問題があるの…?」と、不安に感じてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。一体どうして、そんな声があがってしまうのでしょう?

この記事では、社会保険労務士という資格と職業について、なぜ一部で「やめとけ」と言われてしまうのか、どんな点に注意しないと資格取得後やキャリアの途中で後悔につながってしまうのか、その理由を一つひとつ丁寧に、そして皆さんに分かりやすくご説明していきたいと思います。

もちろん、社会保険労務士には素晴らしい魅力や社会的な意義がたくさんあります。でも、今回はあえて「やめとけ」と言われる側面から、皆さんが将来の大きな決断をする際に、後で「こんなはずじゃなかった…」と肩を落とすことがないよう、お手伝いができれば嬉しいです。キャリアに関わる大切な選択ですから、じっくりと考えていきましょうね。

この記事でお伝えしたいこと

  • 社会保険労務士の基本的な仕事内容、資格取得までの道のり、そして一般的な魅力
  • なぜ社会保険労務士が「やめとけ」と言われるのか、その具体的な6つの理由
  • 社会保険労務士を目指す上で知っておくべき潜在的なリスクや厳しい現実
  • それでも社会保険労務士を目指したいと考えた場合に、後悔を避け、賢明な判断をするための注意点と心構え
  • ご自身の適性や価値観に、社会保険労務士という道が本当に合っているのかを見極めるためのヒント

  1. 社会保険労務士とは?その概要と魅力
    1. 社会保険労務士の仕事内容
    2. 社会保険労務士になるには
    3. 社会保険労務士の一般的な魅力
  2. 社会保険労務士はやめとけと言われる6つの深刻な理由
    1. 【理由①】試験合格までの道のりが極めて長く険しく、挫折しやすいから
    2. 【理由②】独占業務だけでは食べていくのが難しいという厳しい現実
    3. 【理由③】開業しても顧客獲得と営業が想像以上に大変で心が折れることも
    4. 【理由④】企業内社労士は必ずしも専門性を十分に活かせるとは限らないから
    5. 【理由⑤】常に法改正を追いかけ、学び続ける覚悟がなければ時代遅れになるから
    6. 【理由⑥】仕事内容が地味で泥臭く、時に強い精神力も求められるから
  3. それでも社会保険労務士を目指すなら?後悔しないための賢い選択と心構え
    1. 【ポイント①】なぜ社労士になりたいのか、その「原動力」となる明確なビジョンと強い意志を持つ
    2. 【ポイント②】試験の難易度と合格後の現実(特に開業の厳しさ)を正しく理解する
    3. 【ポイント③】自分に合った学習方法と、それを継続できる環境を戦略的に構築する
    4. 【ポイント④】+αの強みや専門分野を意識して磨き、他者との差別化を図る
    5. 【ポイント⑤】人脈形成とコミュニケーション能力を、合格前から積極的に高める意識を持つ
  4. 社会保険労務士を目指す上での「やめとけ」理由総括

社会保険労務士とは?その概要と魅力

まずはじめに、「社会保険労務士って、具体的にどんなことをするの?」「どうやったらなれるの?」という方のために、社会保険労務士の基本的なところからご説明しますね。

その専門性や社会的な役割、そして資格取得の大変さを知ることは、今回のテーマを理解する上でとても大切なんです。

社会保険労務士の仕事内容

社会保険労務士(社労士)は、労働関連法令や社会保険諸法令に基づく書類作成や手続代行、そして企業の人事労務管理に関するコンサルティングを行う「人」と「労務」の専門家です。

「社会保険労務士法」に基づく国家資格者なんですよ。

社労士の仕事は、法律で定められた独占業務と、それ以外の業務に分けられます。主なものは以下の通りです。

  • 1号業務(手続代行業務):労働社会保険(健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険など)に関する申請書等の作成及び提出代行。例えば、社員の入退社に伴う資格取得・喪失手続き、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届など、企業にとって煩雑な事務手続きを代行します。
  • 2号業務(書類作成業務):就業規則、労働者名簿、賃金台帳といった、法律で作成が義務付けられている帳簿書類の作成。
  • 3号業務(相談・指導業務、コンサルティング業務):人事労務管理に関する相談に応じ、適切なアドバイスや指導を行います。具体的には、賃金制度の設計、労働時間管理、ハラスメント対策、メンタルヘルス対策、採用・教育研修、解雇・退職に関するトラブル対応、助成金の活用提案など、その範囲は非常に広いです。この3号業務が、近年ますます重要視されています。

これらの業務を通じて、企業が法令を遵守し、健全な経営を行えるようにサポートするとともに、働く人々が安心して能力を発揮できるような職場環境づくりに貢献するのが、社労士の大きな役割です。

活躍の場も様々です。

  • 開業社労士:独立して自分の事務所を構え、複数の企業と顧問契約を結んだり、スポットで業務を請け負ったりします。
  • 勤務社労士(企業内社労士):一般企業の人事部や総務部などに所属し、その企業の人事労務管理を担当します。
  • 社会保険労務士法人:複数の社労士が集まって設立された法人で、大規模な案件や専門性の高い業務に対応します。

社会保険労務士になるには

社会保険労務士になるためには、年に一度実施される国家試験「社会保険労務士試験」に合格し、さらに2年以上の実務経験を積むか、または全国社会保険労務士会連合会が実施する事務指定講習を修了する必要があります。

まず、この社会保険労務士試験には、誰でも受験できるわけではなく、一定の受験資格が定められています。主なものとしては、

  • 大学、短期大学、高等専門学校(5年制)を卒業した者
  • 行政書士資格を有する者
  • 労働社会保険諸法令に関する一定期間以上の実務経験を有する者

などがあります(詳細は全国社会保険労務士会連合会試験センターの情報を必ず確認してください)。

試験の難易度は非常に高く、合格率は例年6~7%程度で推移しています。これは、司法書士や行政書士といった他の法律系難関資格と比較しても、決して易しい数字ではありません。

合格に必要な勉強時間は、一般的に800時間から1,000時間以上と言われており、働きながら合格を目指す場合は、1年以上の長期的な学習計画が必要になります。試験科目は、労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法、そして労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識と、非常に広範囲にわたります。

晴れて試験に合格した後も、すぐに社労士として登録できるわけではなく、前述の実務経験または事務指定講習の修了という要件を満たし、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録されて、初めて社労士として活動できるようになるんです。

社会保険労務士の一般的な魅力

そんな厳しい道のりを乗り越えて社会保険労務士になった方々には、どのような魅力があるのでしょうか。一般的に言われるメリットをいくつか挙げてみますね。

  • 専門性の高さと社会的ニーズの安定性:「人」に関する問題は、どんな企業にとっても避けて通れない重要な課題です。労働法や社会保険制度は複雑で頻繁に改正されるため、専門家である社労士のニーズは常に安定していると言えます。
  • 独立開業の道が開かれている:資格を取得し、経験を積めば、自分の裁量で仕事ができる独立開業という選択肢があります。成功すれば高収入も夢ではありません。
  • 企業の人事労務に深く関与できるやりがい:企業の成長を「人」の面からサポートし、働きやすい職場環境づくりに貢献できることは、大きなやりがいにつながります。
  • 身につけた知識が自分自身の生活にも役立つ:労働法や年金、健康保険といった知識は、自分自身や家族の生活を守る上でも非常に役立ちます。
  • 社会貢献性の高さ:適正な労務管理を通じて、労働者の権利を守り、企業の健全な発展を支援することは、社会全体の利益に繋がる意義深い仕事です。

これらの魅力に惹かれて、多くの方が社会保険労務士を目指すんですね。しかし、その華やかなイメージの裏には、見過ごせない大変さや厳しさも隠れているんです。


社会保険労務士はやめとけと言われる6つの深刻な理由

さて、ここからが本題です。社会保険労務士の概要と魅力をご理解いただいたところで、なぜ一部で「社会保険労務士はやめとけ」という、ちょっと心配になるような声があがってしまうのか、その具体的な理由を6つに絞って、詳しくご説明していきたいと思います。

これらの理由を知っておくことは、皆さんが社会保険労務士という道を検討する上で、非常に重要になってくるはずです。

【理由①】試験合格までの道のりが極めて長く険しく、挫折しやすいから

社会保険労務士になるための最初の、そして最大の関門である社会保険労務士試験。これが、想像以上に長く、そして険しい道のりであり、多くの受験生が途中で挫折してしまうという厳しい現実があります。

「難関国家資格」という言葉の重みを、身をもって知ることになるでしょう。

先にも触れましたが、合格率は例年わずか6~7%程度。これは、100人受けても6~7人しか合格できないという、非常に狭き門です。

合格に必要な勉強時間は、一般的に800時間から1,000時間以上とされていますが、実際にはこれよりも多くの時間を費やしている合格者が多いと言われています。働きながら、あるいは家事や育児と両立しながら勉強する場合、1年で合格するのは至難の業で、2~3年、あるいはそれ以上の期間を要することも珍しくありません。

この長期間にわたる受験勉強は、精神的にも、時間的にも、そして経済的にも大きな負担となります。

  • 膨大かつ広範な試験範囲:労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法など、主要な労働・社会保険関連法規を網羅的に学習する必要があります。それぞれの法律が複雑で条文も多く、さらに法改正も頻繁に行われるため、常に最新の情報をキャッチアップし続けなければなりません。
  • 記憶力と理解力の両方が求められる:細かい数字や用語、判例などを正確に記憶するだけでなく、それぞれの制度の趣旨や関連性を深く理解し、応用できるレベルまで高める必要があります。単なる丸暗記では太刀打ちできません。
  • モチベーション維持の難しさ:先の見えない長い戦いの中で、モチベーションを維持し続けるのは非常に困難です。「本当に合格できるのだろうか」「周りの人は楽しそうなのに、自分だけなぜこんな苦労を…」といった不安や焦りが、常につきまといます。
  • 時間的制約:社会人受験生の場合、仕事が終わった後や休日に勉強時間を確保しなければなりません。家族との時間やプライベートな時間を大幅に犠牲にすることになります。
  • 経済的負担:専門の予備校や通信講座を利用する場合、その費用は数十万円単位でかかります。また、何度も受験を繰り返せば、その分費用もかさんでいきます。

実際に、毎年多くの受験生が、この厳しい試験の壁に跳ね返され、夢を諦めています。「自分ならやれる!」という強い意志も大切ですが、この試験の難易度と、それに伴う負担の大きさを甘く見てはいけません

人生の貴重な時間を数年間も捧げる覚悟と、それを支えるだけの環境、そして何よりも不屈の精神力があるのか、冷静に自己分析する必要があるでしょう。「やめとけ」と言われる最大の理由の一つが、この試験の過酷さにあることは間違いありません。

【理由②】独占業務だけでは食べていくのが難しいという厳しい現実

晴れて社会保険労務士試験に合格し、登録を済ませて社労士として活動できるようになったとしても、それで安泰というわけではありません。

特に独立開業を目指す場合、社労士の独占業務である1号業務(手続代行)や2号業務(帳簿書類作成)だけで、安定して高収入を得るのは年々難しくなってきている、という厳しい現実があります。

その背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 手続き代行業務の単価低下とコモディティ化:近年、安価な料金で手続き代行を請け負う社労士事務所や、クラウド型の労務管理ソフト(HRテック)が登場し、手続き業務の価格競争が激化しています。また、行政手続きの電子化も進んでおり、企業が自社で手続きを行うハードルも下がりつつあります。これにより、従来社労士の主要な収入源であった手続き代行業務の単価が下落したり、仕事そのものが減少したりする傾向が見られます。
  • AI(人工知能)による代替リスク:定型的な書類作成やデータ入力といった業務は、AIによって自動化されやすい分野と言われています。将来的には、1号・2号業務の多くがAIに代替される可能性も否定できません。
  • 社労士数の増加による競争激化:全国社会保険労務士会連合会のデータによると、社労士の登録者数は年々増加傾向にあり、2023年3月末時点で約4万5千人を超えています(社会保険労務士白書 – 全国社会保険労務士会連合会)。競争相手が増えれば、当然、顧客獲得はより一層難しくなります。

こうした状況の中で、社労士が生き残り、さらに発展していくためには、独占業務だけに頼るのではなく、3号業務である人事労務コンサルティングの能力を高め、付加価値の高いサービスを提供していくことが不可欠になっています。

例えば、企業の経営課題に深く踏み込み、人材育成、組織開発、働き方改革、複雑な労使紛争の解決といった、高度な専門知識と経験、そしてコミュニケーション能力が求められる分野で力を発揮できなければ、その他大勢の社労士の中に埋もれてしまうかもしれません。

「社労士になったけど、手続き業務だけじゃ全然儲からない。顧問料も値切られるし、ソフトを使えば誰でもできるって思われがち。やっぱりコンサルとか、もっと専門的な知識がないと厳しい世界だね。」(開業数年の社労士のブログより)
「AIに仕事奪われるって話、他人事じゃないと思う。単純な書類作成はもうダメだよね。社労士としてどうやって価値を出していくか、真剣に考えないと。」

「資格さえ取れば、あとは仕事が向こうからやってくる」という甘い考えは通用しません。社労士として成功するためには、常に自己研鑽を続け、時代の変化に対応し、自分ならではの強みを磨いていく必要があるのです。

この現実を理解せずに資格取得だけを目指すと、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

【理由③】開業しても顧客獲得と営業が想像以上に大変で心が折れることも

社会保険労務士の魅力の一つとして「独立開業できる」という点がよく挙げられますが、実際に開業して事務所を軌道に乗せるのは、想像以上に大変な道のりです。

資格を持っているからといって、自動的にお客さんが来てくれるわけでは決してありません。

開業社労士として成功するためには、社労士としての専門知識や実務能力はもちろんのこと、それ以外にも多くのスキルや努力が求められます。

  • 営業力・マーケティング能力:自分の事務所やサービスを企業に知ってもらい、興味を持ってもらい、そして契約してもらうためには、積極的な営業活動や効果的なマーケティング戦略が不可欠です。ホームページ作成、セミナー開催、SNS活用、異業種交流会への参加、既存顧客からの紹介など、様々な方法でアピールしていく必要があります。しかし、こうした営業活動が苦手な社労士も少なくありません。
  • コミュニケーション能力・交渉力:経営者や人事担当者と信頼関係を築き、彼らの抱える課題やニーズを的確に引き出し、それに対する最適な解決策を提案し、納得してもらうためには、高度なコミュニケーション能力や交渉力が求められます。
  • 人脈形成:同業の社労士、税理士や弁護士といった他士業、経営者団体、金融機関など、幅広い人脈を築いておくことは、顧客紹介や情報交換、業務提携といった面で非常に重要になります。しかし、人脈は一朝一夕にできるものではありません。
  • 経営能力:事務所の運営には、会計処理、資金繰り、スタッフの採用・育成など、経営者としての能力も必要です。
  • 精神的なタフさ:開業当初は、なかなか顧客が見つからず、収入も不安定で、孤独感や不安に苛まれることもあるでしょう。そうした困難な時期を乗り越えるためには、強い精神力と忍耐力が必要です。

実際に、開業したものの、なかなか顧客を獲得できずに苦労したり、数年で廃業してしまったりする社労士も少なくないと言われています。「士業は先生業だから、黙っていても仕事が来る」というのは、もはや過去の話なのかもしれません。

「人と話すのが苦手だから、黙々と書類作成だけしていたい」というタイプの方や、「営業なんてやったことがないし、できる自信がない」という方にとっては、独立開業は非常に高いハードルとなるでしょう。専門知識があることと、それをビジネスとして成功させることは、全く別の能力が必要だということを、肝に銘じておく必要があります。

「念願の社労士事務所を開業したけど、最初の半年はほとんど仕事がなかった。毎日ホームページ更新したり、交流会に参加したりしたけど、契約に繋がらなくて本当に心が折れそうになったよ。営業ってこんなに大変なんだって痛感した。」(開業社労士の体験談より)

もし独立開業を目指すのであれば、資格取得のための勉強と並行して、あるいは合格後すぐにでも、営業やマーケティング、コミュニケーションに関するスキルを磨く努力を始めるべきです。

「資格さえあれば何とかなる」という考えは捨てましょう。

【理由④】企業内社労士は必ずしも専門性を十分に活かせるとは限らないから

「独立開業は難しそうだから、企業の中で社労士として働きたい」と考える方も多いでしょう。確かに、企業の人事部や総務部などで勤務する「企業内社労士(勤務社労士)」という働き方もあります。

しかし、この場合も、必ずしも自分の社労士としての専門性を十分に発揮できる環境とは限らない、という点に注意が必要です。

企業内社労士に期待される役割や業務範囲は、企業規模や業種、そしてその企業の人事労務に対する考え方によって大きく異なります。

  • 専門性を活かせる場合:労働法や社会保険に関する高度な知識を活かして、就業規則の改定プロジェクトを主導したり、複雑な労務問題の解決に取り組んだり、新しい人事制度の設計に深く関わったりと、専門家として大きな裁量を持って活躍できる企業もあります。特に、法務部門が充実していない中小企業や、労務リスクへの意識が高い企業などでは、社労士資格を持つ人材が重宝される傾向にあります。
  • 専門性が活かせない場合:一方で、社労士資格を持っていても、実際には人事・総務部門の一担当者として、給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きといったルーティン業務が中心となり、資格がなくてもできるような仕事ばかり任される、というケースも少なくありません。会社によっては、「社労士資格を持っているからといって、特別な仕事があるわけではない」というスタンスのところもあるでしょう。
  • 資格手当や昇進への影響が限定的:企業によっては、社労士資格に対して資格手当が支給されることもありますが、その額は数千円から数万円程度と、あまり高額ではないことが多いようです。また、資格を持っていることが、必ずしも昇進や給与アップに直結するとは限りません。あくまで、実務能力や会社への貢献度が評価されるのが一般的です。

「せっかく難関資格を取ったのに、その知識を活かせる場面が少ない…」「もっと専門的な仕事がしたいのに、雑務ばかりでやりがいを感じられない…」といった不満を抱えてしまう企業内社労士もいるかもしれません。

もちろん、企業内で働くことには、安定した収入や福利厚生、組織の一員としての安心感といったメリットもあります。しかし、もしあなたが「社労士としての専門性をとことん追求したい」「自分の知識やスキルで会社を大きく変えたい」といった強い思いを持っているのであれば、入社前にその企業が社労士資格を持つ社員にどのような役割を期待しているのか、専門性を活かせる風土があるのかなどを、しっかりと見極める必要があります。単に「社労士資格者募集」という求人情報だけを鵜呑みにするのは危険です。

「企業内社労士として転職したけど、前の会社の人事とやってることはあんまり変わらない。資格手当は月5千円だけだし、もっと専門的な仕事ができると思ってたのになあ…。」(企業内社労士のSNS投稿より)

企業内社労士を目指す場合も、その企業で本当に自分のやりたいことができるのか、キャリアプランと合致しているのかを慎重に検討することが、後悔しないための重要なポイントになりますね。

【理由⑤】常に法改正を追いかけ、学び続ける覚悟がなければ時代遅れになるから

社会保険労務士が扱う労働法規や社会保険制度は、非常に頻繁に改正が行われます

働き方改革関連法、女性活躍推進法、育児・介護休業法の改正、年金制度の改正、健康保険法の改正…など、毎年のように新しい法律が施行されたり、既存の法律が大きく変わったりしています。また、新しい判例や行政通達なども日々出てきます。

社労士は、これらの最新情報を常に正確にキャッチアップし、理解し、そしてそれを実務に的確に反映させていかなければなりません。

もし、法改正の情報を知らなかったり、誤った解釈をしてしまったりすれば、顧客企業に不利益を与えてしまったり、法令違反を助長してしまったりする可能性があり、専門家としての信頼を失墜させてしまいます。

そのため、社会保険労務士には、資格取得後も、常に学び続けるという強い意欲と、そのための時間を確保する努力が不可欠です。

  • 官公庁の発表資料のチェック:厚生労働省や日本年金機構などのウェブサイトを定期的に確認し、最新の法改正情報や通達などを入手する。
  • 専門書や専門雑誌の購読:法改正の解説書や、実務に役立つ専門誌などを読み込み、知識をアップデートする。
  • 研修会やセミナーへの参加:社労士会や民間の研修機関が実施する研修会やセミナーに積極的に参加し、専門家から直接指導を受けたり、他の社労士と情報交換をしたりする。
  • 自主的な勉強会:同業の社労士仲間と勉強会を開き、最新情報の共有や事例研究などを行う。

こうした継続的な学習は、休日や業務時間外に行わなければならないことも多く、時間的にも経済的にも負担となることがあります。「資格を取ったから、もう勉強は終わり」というわけにはいかないのです。

むしろ、資格取得後こそが、本当の学びのスタートと言えるかもしれません。

「社労士の仕事って、本当に勉強が終わらない。毎年毎年、何かしら法律が変わるから、そのたびに勉強し直し。お客様に間違ったこと言えないし、プレッシャーだよ。」
「法改正のキャッチアップが大変すぎて、最近はもう情報追うだけで精一杯。これをずっと続けていくのかと思うと、ちょっと気が遠くなる時もある。」(現役社労士のブログより)

もし、あなたが「一度覚えた知識でずっと仕事をしていきたい」と考えるタイプの方や、「新しいことを学ぶのがあまり好きではない」という方であれば、社会保険労務士という仕事は少し辛く感じるかもしれません。

常に知的好奇心を持ち、変化を恐れずに学び続けることができる人でなければ、時代の変化に取り残され、専門家としての価値を維持していくのは難しいでしょう。

【理由⑥】仕事内容が地味で泥臭く、時に強い精神力も求められるから

「法律の専門家」と聞くと、何となく華やかで知的な仕事をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、社会保険労務士の日常業務は、意外と地味で泥臭い作業が多いのも事実です。

そして、時には強い精神力が求められるような、タフな場面に遭遇することもあります。

例えば、以下のような側面があります。

  • 書類作成・手続き業務の多さ:1号業務や2号業務では、膨大な量の申請書や届出書、帳簿書類などを作成し、行政機関に提出するという事務作業が中心となります。正確性が求められる細かい作業であり、根気と集中力が必要です。「人と話すより、黙々と作業する方が好き」という方には向いているかもしれませんが、クリエイティブな仕事をしたい方には物足りないかもしれません。
  • 労使トラブルへの対応:解雇、残業代未払い、ハラスメントといった労使間のトラブルに関する相談を受けたり、その解決に向けて企業側と従業員側の間に入って調整したりすることもあります。感情的になりやすいデリケートな問題であり、双方の言い分を冷静に聞き、法律に基づいて公平かつ円満な解決を目指すためには、高度なコミュニケーション能力と強い精神力、そして時には板挟みになるストレスに耐える力が必要です。
  • 企業の厳しい現実との直面:顧問先の経営状況が悪化したり、リストラを行わなければならなくなったりと、企業の厳しい現実に直面することもあります。そうした中で、経営者の苦悩に寄り添いつつも、法的に問題のない対応をアドバイスしなければならないという、難しい立場に立たされることもあります。
  • 常に「正確さ」と「責任」が求められるプレッシャー:社労士の仕事は、企業の経営や従業員の生活に直接影響を与えるものです。小さなミスが大きな問題に発展することもあるため、常に正確な情報に基づいて、責任ある判断と行動をしなければならないというプレッシャーがあります。

「困っている人を助けたい」という正義感や使命感は非常に大切ですが、それだけでは乗り越えられない、現実的な厳しさや、時には理不尽さを感じるような場面もあるということを理解しておく必要があります。

ドラマに出てくるような、常に華やかで格好良い仕事ばかりではないのです。

もし、あなたが「人と争うのは苦手」「精神的にあまり強くない」「細かい事務作業は嫌い」といったタイプであれば、社会保険労務士の仕事は、想像以上にストレスフルに感じるかもしれませんね。

以上が、「社会保険労務士はやめとけ」と言われることがある主な6つの理由です。どれも、社労士という資格や仕事が持つ特性からくるものであり、決して軽い気持ちで受け流せるものではない、ということがお分かりいただけたでしょうか。


それでも社会保険労務士を目指すなら?後悔しないための賢い選択と心構え

ここまで社会保険労務士の厳しい側面や、「やめとけ」と言われる理由について詳しくお話ししてきましたが、「うーん、やっぱり社労士になるのは大変そうだから、諦めた方がいいのかな…」と、少し気持ちが揺らいでしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、お待ちください! 社会保険労務士という資格や職業が持つ、企業の「人」を支え、社会をより良くしていくという大きなやりがいや社会的な意義は、決して色褪せるものではありません。困難な道のりだからこそ、それを乗り越えた先には、大きな達成感と、専門家としての確かなキャリアが待っている可能性も十分にあります。

大切なのは、社会保険労務士という道の「光」と「影」の両面を正しく理解し、その上で、ご自身の価値観や目標、そして覚悟と照らし合わせて、本当に自分にとって進むべき道なのかを真剣に考えることです。

そして、もし「それでも私は社会保険労務士を目指したい!」という強い意志をお持ちなのであれば、後悔しないために、いくつかの重要な心構えと準備が必要です。ここでは、そのためのヒントをいくつかご紹介しますね。

【ポイント①】なぜ社労士になりたいのか、その「原動力」となる明確なビジョンと強い意志を持つ

まず何よりも大切なのは、「なぜ自分は社会保険労務士になりたいのか?」その動機や目的を、誰に何を言われても揺るがないくらい、明確に、そして深く自分の中に持つことです。先にお話ししたように、社会保険労務士になるまでの道のりも、なってからの仕事も、決して楽なものではありません。

試験勉強の辛さ、開業の難しさ、法改正への対応、時には厳しい労使問題への直面など、幾度となく壁にぶつかったり、心が折れそうになったりすることもあるでしょう。そんな時、自分を支え、再び立ち上がらせてくれるのは、「それでも自分は、企業の健全な発展と働く人々の幸せのために貢献したいんだ!」という、その仕事に対する純粋な情熱や使命感なんです。

  • 「働く人が正当に評価され、安心して能力を発揮できる社会を作りたい」
  • 「中小企業の経営者を、人事労務の面から親身にサポートしたい」
  • 「複雑な法律を分かりやすく解説し、困っている人を助けたい」
  • 「専門知識を活かして、社会の不正や不平等をなくす一助となりたい」

動機は人それぞれで構いません。しかし、それが「なんとなく安定してそうだから」「独立して儲かりそうだから」といった表面的な理由だけであれば、厳しい現実に直面した時に、簡単に見失ってしまうかもしれません。

自分自身の内から湧き出る、本物の「誰かのために」という思いや、「この分野を極めたい」という知的好奇心を見つけ出すことが、長い戦いを乗り越えるための最初の、そして最も重要なステップです。

【ポイント②】試験の難易度と合格後の現実(特に開業の厳しさ)を正しく理解する

社会保険労務士を目指すと決めたら、あるいはまだ迷っている段階だとしても、その道のりの厳しさ、特に試験の難易度と、合格後に独立開業する場合の現実について、甘い見通しは捨てて、正しく理解しておくことが非常に重要です。「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信は禁物です。

  • 試験情報のリサーチ:予備校の合格体験談だけでなく、不合格体験談や、複数回受験して合格した人の声、独学で苦労した人の話など、様々な角度からの情報を集めましょう。試験範囲の広さ、科目ごとの難易度、必要な勉強時間、そして何よりも「なぜ多くの人が不合格になるのか」その理由を分析することが大切です。
  • 開業社労士のリアルな声を聞く:もし独立開業を考えているなら、実際に開業している社労士のブログやSNS、セミナーなどに触れ、成功談だけでなく、苦労話や失敗談、集客の難しさ、収入が安定するまでの期間など、リアルな情報を収集しましょう。華やかな成功事例の裏には、多くの努力と困難があることを理解する必要があります。
  • 業界の動向を把握する:社労士の数の推移、報酬の相場、AI化の波、法改正の影響など、社労士業界を取り巻く環境がどのように変化しているのか、客観的なデータや専門家の分析なども参考にしましょう。

情報収集の際には、一時的な感情や希望的観測に流されず、できるだけ客観的で信頼性の高い情報源を選ぶように心がけてください。

そして、集めた情報を基に、「それでも自分はこの道に挑戦する価値がある」と確信できるかどうか、自問自答することが大切です。

【ポイント③】自分に合った学習方法と、それを継続できる環境を戦略的に構築する

社会保険労務士試験という長丁場の超難関試験を突破するためには、自分に最も合った学習方法を選び、そしてそれを最後までやり遂げられる学習環境を、戦略的に構築することが不可欠です。気合や根性だけでは、なかなか太刀打ちできません。

  • 学習スタイルの選択

    予備校通学:体系的なカリキュラム、質の高い講師陣、学習仲間との切磋琢磨、自習室などの環境が魅力ですが、費用が高く、時間的な拘束もあります。
    通信講座:自分のペースで学習でき、費用も比較的抑えられますが、自己管理能力とモチベーション維持が鍵となります。
    独学:費用を最も抑えられますが、教材選びから学習計画、疑問点の解消まで全て自分で行う必要があり、相当な意志の強さと効率的な学習ノウハウが求められます。

    ご自身の性格、ライフスタイル、予算、そしてこれまでの学習経験などを考慮して、最適なスタイルを選びましょう。
  • 具体的な学習計画の立案:合格目標年度から逆算し、各科目の学習順序、1日に確保できる勉強時間、週・月単位での進捗目標などを具体的に計画します。ただし、計画通りに進まないことも想定し、適宜修正できる柔軟性も持ち合わせましょう。
  • 集中できる学習場所の確保:自宅、図書館、カフェ、予備校の自習室など、自分が最も集中して勉強に取り組める場所を複数確保しておくと良いでしょう。
  • モチベーション維持の工夫:SNSで同じ目標を持つ仲間と繋がったり、短期的な目標を設定して達成感を味わったり、合格後の自分の姿を具体的にイメージしたりと、自分なりのモチベーション維持方法を見つけましょう。
  • 家族や周囲の理解と協力:特に社会人受験生や、家庭を持つ方にとっては、長期間の受験勉強に対する家族や職場の理解と協力が不可欠です。事前にしっかりと話し合い、応援してもらえる環境を作ることが大切です。

「いつか合格できればいいや」という甘い考えでは、いつまで経っても合格にはたどり着けません。限られた時間の中で最大限の学習効果を上げるためには、戦略的なアプローチと、それを支える環境づくりが何よりも重要になるのです。

【ポイント④】+αの強みや専門分野を意識して磨き、他者との差別化を図る

社会保険労務士の数が増え、競争が激化している現代において、単に「社労士資格を持っています」というだけでは、なかなか他者との差別化を図るのが難しくなってきています。

そのため、資格取得後、あるいは受験勉強中から、自分ならではの「+αの強み」や「専門分野」を意識して磨いていくことが、将来的に成功するための重要な鍵となります。

  • 得意分野・専門分野の確立
    • 特定業種特化:例えば、医療・介護業界、IT業界、建設業界など、特定の業種に精通し、その業界特有の人事労務問題に強い社労士を目指す。
    • 特定テーマ特化:メンタルヘルス対策、ハラスメント防止、助成金申請支援、就業規則作成・見直し、人事評価制度構築、外国人雇用、年金相談など、特定のテーマに深く精通し、その分野の第一人者を目指す。
  • 周辺スキルの習得
    • ITスキル:クラウド型労務管理ソフトの導入支援、RPAを活用した業務効率化提案、データ分析など、ITスキルを身につけることで、より付加価値の高いサービスを提供できます。
    • 語学力:英語や中国語などの語学力を活かして、外資系企業や外国人労働者を多く抱える企業のサポートを行う。
    • コンサルティング能力:単に法律の知識を伝えるだけでなく、企業の経営課題を深く理解し、具体的な解決策を提案・実行できるコンサルティング能力を磨く。
    • コーチング・カウンセリングスキル:経営者や従業員の悩みに寄り添い、その能力を引き出すコーチングやカウンセリングのスキルを身につける。

これらの「+αの強み」は、一朝一夕に身につくものではありません。ご自身の興味関心やこれまでの経験、そして市場のニーズなどを考慮しながら、長期的な視点で戦略的にスキルアップを図っていく必要があります。「自分は何で顧客に選ばれるのか」「自分にしかできない価値提供は何か」を常に自問自答し続ける姿勢が大切です。

【ポイント⑤】人脈形成とコミュニケーション能力を、合格前から積極的に高める意識を持つ

社会保険労務士として成功するためには、専門知識だけでなく、良好な人間関係を築き、円滑なコミュニケーションを取る能力が非常に重要になります。これは、独立開業する場合だけでなく、企業内社労士として働く場合にも共通して言えることです。

  • 受験仲間との繋がり:試験勉強中は、同じ目標を持つ仲間と情報交換をしたり、励まし合ったりすることで、モチベーションを維持しやすくなります。そして、合格後もその繋がりは貴重な財産となり、仕事上の情報交換や、時には業務提携に発展することもあります。
  • 先輩社労士との交流:社労士会や勉強会、セミナーなどに積極的に参加し、既に活躍している先輩社労士から、実務のノウハウや営業のコツ、業界の動向などを学ぶ機会を持ちましょう。メンターとなってくれるような存在を見つけられると心強いですね。
  • 他士業との連携:税理士、弁護士、行政書士、中小企業診断士といった他士業の方々と連携することで、顧客に対してより幅広いサービスを提供できるようになります。積極的に交流の場を持ち、信頼関係を築いておくことが大切です。
  • 顧客とのコミュニケーション:顧客である経営者や人事担当者の話を丁寧に聞き、彼らが抱える課題や悩みに真摯に寄り添い、専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明し、納得感のある提案をする。こうしたコミュニケーション能力が、顧客からの信頼を得て、長期的な関係を築くための鍵となります。

特に独立開業を目指す場合、人脈がそのまま仕事に繋がるケースも少なくありません。「自分は人付き合いが苦手だから…」と内にこもっていては、なかなか道は開けません。合格前から、意識してコミュニケーション能力を磨き、積極的に人と関わっていく努力をすることが、将来の成功の礎となるでしょう。

これらのポイントを押さえて、覚悟と準備を持って臨めば、社会保険労務士という道は、きっとあなたにとって大きな成長と達成感、そして何よりも、企業の「人」を支え、社会に貢献できるという、かけがえのないやりがいをもたらしてくれるはずです。

大切なのは、情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考え、自分で決断し、そしてその決断に責任を持つことなんですね。


社会保険労務士を目指す上での「やめとけ」理由総括

さて、ここまで社会保険労務士について、「やめとけ」と言われてしまう理由や、それでも社会保険労務士という道を選ぶ場合に後悔しないための心構えや準備について、詳しくお話ししてきました。

最後に、今回の内容をまとめて、皆さんがこの「人」と「労務」の専門家というキャリアについて考える上で、本当に大切なことは何なのか、おさらいをしておきましょう。

今回の記事でお伝えしてきた、「社会保険労務士はやめとけ」と一部で言われることがある主な理由は、以下の6点でしたね。

  • 理由①:試験合格までの道のりが極めて長く険しく、挫折しやすい
    合格率の低さ、膨大な勉強時間、広範な試験範囲は、想像を絶する厳しさです。
  • 理由②:独占業務だけでは食べていくのが難しいという厳しい現実
    手続き業務の単価低下やAI化の波、競争激化により、コンサル能力が不可欠です。
  • 理由③:開業しても顧客獲得と営業が想像以上に大変で心が折れることも
    資格だけでは仕事は来ず、営業力やマーケティング能力、人脈がなければ成功は困難です。
  • 理由④:企業内社労士は必ずしも専門性を十分に活かせるとは限らない
    ルーティン業務が中心になることもあり、資格が待遇に直結しない場合もあります。
  • 理由⑤:常に法改正を追いかけ、学び続ける覚悟がなければ時代遅れになる
    頻繁な法改正への対応と、絶え間ない自己研鑽が専門家としての価値を維持する鍵です。
  • 理由⑥:仕事内容が地味で泥臭く、時に強い精神力も求められる
    書類作成の多さや労使トラブル対応など、華やかなイメージとは異なる現実があります。

これらの理由だけを見ると、「やっぱり社会保険労務士になるのは、自分には向いていないかもしれない…」と、一歩踏み出すことをためらってしまうかもしれません。でも、どうか忘れないでください。

これらの厳しい側面は、社会保険労務士という仕事が、企業の根幹を支え、働く人々の生活を守るという、非常に重要で責任ある役割を担っていることの裏返しでもあるということを。

どんな専門職も、その専門性を維持し、社会に貢献し続けるためには、相応の努力と困難が伴います。そして、その困難を乗り越えた先にこそ、真のやりがいと達成感が待っているのではないでしょうか。

社会保険労務士という道を選ぶか否か、その最終的な判断をする上で最も重要なのは、インターネット上の誰かの「やめとけ」という言葉や、あるいは「魅力的な資格だ」という表面的な情報にただ流されるのではなく、

  1. まず、ご自身が「なぜ社会保険労務士になりたいのか」「社会保険労務士になって、社会や企業、働く人々のために、どんな貢献をしたいのか」という、心の底から湧き出る「志」と「情熱」の源泉を、深く、そして正直に見つめ直すこと。
  2. 次に、社会保険労務士という資格や職業に関する情報を、そのやりがいや魅力、そして同時に、その仕事に伴う厳しさや課題、現実的な側面について、信頼できる多様な情報源から、時間をかけて真摯に学ぼうと努めること。
  3. そして、そこで得た知識と、ご自身の価値観(何を大切にして働きたいか)、適性(粘り強さ、コミュニケーション能力、学習意欲、倫理観など)、そして現実的な状況(時間的・経済的制約、家族の理解など)を冷静に照らし合わせ、本当に自分にとって挑戦する価値のある道なのか、覚悟を持って判断すること。
  4. 最後に、もし挑戦すると決めたならば、その決断に誇りと責任を持ち、あらゆる困難を乗り越えるための周到な準備(質の高い学習計画、心身の健康管理、必要なスキルの習得など)と、決して諦めない強い意志を持って、全力で取り組むこと。

これらのステップを一つひとつ真摯に踏んでいくことが、後悔のない選択をするための、そして、もし社会保険労務士という道を選んだ場合に、その道を力強く、そして意義深く歩んでいくための、何よりの力になるのだと、私は信じています。

社会保険労務士は、確かに簡単な道ではありません。しかし、複雑な法律を駆使して企業の労務問題を解決に導き、経営者からは「ありがとう、助かったよ」と感謝され、従業員からは「安心して働けるようになった」と喜ばれる、そんな場面に立ち会えることは、何物にも代えがたい、大きな喜びと誇りを与えてくれるはずです。

「やめとけ」という言葉は、時に私たちを慎重にさせ、立ち止まって考えるきっかけを与えてくれます。しかし、その言葉の裏にある本質を見抜き、リスクを理解した上で、「それでも自分はこの道で、社会の役に立ちたい」と心から思えるのであれば、その声はもはや障害ではなく、むしろより深く、より真剣に自分の将来と向き合うための貴重な道しるべとなるのではないでしょうか。

この記事が、皆さんの社会保険労務士という職業に対する理解を少しでも深め、そして何よりも、皆さんお一人おひとりが、ご自身の未来について真剣に考え、後悔のない決断をするための一助となれたなら、これほど嬉しいことはありません。皆さんの熱意と努力が、より良い社会を築く力となることを、心から応援しています!

UTA

会社員。営業職で着実に成果を上げ、年収は本業と副業合わせて1,X00万円。副業は投資とライティング。妻と小学生の娘と3人暮らし。休日は家族サービスと自己研鑽に励む。趣味は映画鑑賞。

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やめとけ