大学職員はやめとけ|「楽で安定」は幻想?後悔する7つの理由

やめとけ

こんにちは。皆さんは「大学職員」というお仕事に、どのようなイメージをお持ちでしょうか?アカデミックな雰囲気のキャンパスで働き、夏休みも長くて、定時で帰れる安定した仕事…そんな風に、穏やかで恵まれた職場を想像される方も多いかもしれませんね。

実際に、就職や転職を考える際に、人気の選択肢の一つとして名前が挙がります。ですが、インターネットで「大学職員」と検索してみると、「やめとけ」「つまらない」「後悔」といった、少し気になる言葉も一緒に表示されることがあります。これは一体、どうしてなのでしょうか?

この記事では、その華やかなイメージの裏に隠された大学職員という仕事のリアルな姿と、「やめとけ」と言われる理由について、一つひとつ丁寧に解き明かしていきたいと思います。憧れだけで目指す前に、ぜひ知っていただきたいお話です。

この記事でお伝えしたいこと

  • 大学職員の仕事とは?「楽で安定」イメージの裏側にある仕事内容
  • なぜ大学職員は「やめとけ」と言われるのか?7つの深刻な理由
  • それでも大学職員を目指したい人が後悔しないための心構え
  • 大学職員という職業を選ぶ前に考えるべきことの総括

大学職員とは?「楽で安定」イメージの裏側にある仕事内容

まず、大学職員がどのようなお仕事なのか、基本的なところからご説明させてくださいね。一口に「大学職員」と言っても、その働き方は様々で、皆さんが想像する姿はほんの一面に過ぎないかもしれません。

国立大学法人と私立大学職員の違い

大学職員は、大きく分けて「国立大学法人」の職員と、「私立大学」の職員に分かれます。この二つは、身分や給与体系、働き方が大きく異なるんですよ。

  • 国立大学法人の職員:以前は国家公務員でしたが、現在は「みなし公務員」という扱いです。給与や待遇は公務員に準じており、安定していますが、給与水準が急激に上がることはありません。全国の国立大学間で異動があることも特徴です。
  • 私立大学の職員:学校法人が運営する民間企業の一員、という位置づけです。給与や福利厚生は、その大学の経営状況によって千差万別。有名大規模大学では非常に高待遇な一方、小規模な大学では厳しいケースもあります。

「大学職員は高給」というイメージは、主に一部の有名私立大学のケースが広まったものなんです。この違いを知らないまま、「どこでも高給」と考えてしまうのは少し危険かもしれませんね。

仕事は多岐にわたる「部署ガチャ」の現実

大学職員の仕事は、皆さんが想像する窓口での学生対応だけではありません。大学という巨大な組織を運営するために、非常に多岐にわたる部署が存在します。

部署の分類主な業務内容
学生支援系学生課、キャリアセンター、国際交流課など。
履修相談、奨学金、部活動支援、就職支援、留学生サポートなど。
研究支援系研究推進課、産学連携課など。
研究費の管理、外部資金の獲得支援、研究成果の広報など。
管理・運営系総務課、人事課、財務課、広報課など。
大学全体の運営、教職員の労務管理、予算管理、入試広報など。
学部事務室各学部に配置され、その学部の教員や学生のサポート全般を担当。

問題は、どの部署に配属されるかによって、業務内容や忙しさ、関わる相手が全く異なるということです。これを「部署ガチャ」と呼ぶ人もいます。数年おきにジョブローテーションで全く違う部署へ異動することも多く、専門性を一貫して高めていくのが難しい構造になっているんです。

大学職員はやめた方がいい!勧められない7つの理由

それでは、ここからが本題です。なぜ、安定していて魅力的に見える大学職員が「やめとけ」と言われてしまうのでしょうか。その理由を7つに分けて、詳しく見ていきましょう。

【理由①】成長実感なき「何でも屋」。専門スキルが身につかないキャリアの停滞

大学職員の業務は、非常に幅広く、悪く言えば「何でも屋」になりがちです。数年ごとのジョブローテーションは、様々な業務を経験できるというメリットがある一方で、一つの分野の専門家になりにくいという大きなデメリットがあります。

例えば、人事の仕事を3年経験してようやく慣れてきた頃に、次は研究支援課へ異動、その次は学生課へ…ということが頻繁に起こります。これでは、人事のプロフェッショナルにも、研究支援のプロフェッショナルにもなれません。

「気づけば入職10年。色々な部署を経験したけど、じゃあ自分の専門は何?と聞かれたら何も答えられない。『大学運営業務』という、その大学でしか通用しないスキルしか身についていないことに気づいて愕然としました。」(現役大学職員 Aさん)

もし将来、転職を考えた時に「自分には市場価値のあるスキルがない」と気づく…。そんなキャリアの停滞に陥ってしまうリスクがあるんです。自己成長を実感しにくい、潰しが効かない仕事だということは、覚悟しておく必要があるかもしれません。

【理由②】閉鎖的な組織文化と根強い年功序列

大学は、企業と違って利益を追求する組織ではないため、良くも悪くも競争原理が働きにくい環境です。その結果、変化を嫌い、前例踏襲を重んじる保守的な組織文化が根強く残っていることが少なくありません。

「昔からこうやってきたから」「波風を立てたくない」という空気が支配的で、新しいアイデアや業務改善の提案をしても、なかなか受け入れられないことが多いんです。

意欲のある若手職員が、こうした硬直した組織文化に失望し、やりがいを見失ってしまうケースは後を絶ちません。「出る杭は打たれる」という言葉が、これほど似合う職場も珍しいかもしれませんね。

また、年功序列の風潮が非常に強いため、能力や成果が給与や昇進に直結しにくいです。どんなに頑張っても、勤続年数が長い人が優先される。この仕組みは、安定と引き換えに、働く人のモチベーションを少しずつ削いでいくんです。

【理由③】「先生」と呼ばれる教授陣との特殊な人間関係

大学職員が日常的に関わる相手は、学生だけではありません。もう一つの重要な相手が「教員」、つまり大学の先生方です。この教員との関係構築が、大学職員の仕事で最もストレスフルな部分だ、と語る人は少なくありません。

大学において、主役はあくまで教育と研究を担う教員です。職員は、そのサポート役という位置づけになります。そのため、どうしても力関係が生まれやすく、理不尽な要求をされることも…。

例えば、自分の研究分野では第一人者でも、事務手続きやパソコン操作には疎い、という先生もいらっしゃいます。そうした先生方の「秘書」のような役割を、職員が担わなければならない場面も多々あるのです。

プライドが高く、独特の価値観を持つ教員たちの「ご機嫌うかがい」に、精神をすり減らしてしまう職員は本当に多いんですよ。教員と学生、そして上司との板挟みになり、調整役として苦労することも日常茶飯事です。

【理由④】少子化の直撃。安定神話の崩壊と将来性への不安

「大学は潰れない」という安定神話は、もはや過去のものです。ご存知の通り、日本は深刻な少子化に直面しており、18歳人口は年々減少し続けています。

これは、大学経営にとって死活問題です。特に、学生からの授業料収入に経営の多くを依存している私立大学にとっては、定員割れが経営破綻に直結します。文部科学省の調査でも、定員割れをしている私立大学は全体の半数近くにのぼるという厳しい現実があります。(出典:文部科学省 令和3年度以降の定員管理に係る調査の結果について

今は経営が安定している大学でも、10年後、20年後はどうなっているかわかりません。ボーナスカットや給与の引き下げ、最悪の場合は統廃合や倒産のリスクもゼロではないのです。

「安定」を求めて大学職員になったのに、常に経営状況に怯えなければならない…。そんな未来が待っている可能性も、十分に考えておく必要があります。

【理由⑤】理想と現実のギャップ。「学生のため」に働けないジレンマ

「学生の成長をサポートしたい」「未来を担う若者の役に立ちたい」そんな素敵な志を持って大学職員になる方は、本当に多いと思います。それはとても尊いことです。

しかし、現実はどうでしょうか。日々の業務は、窓口でのクレーム対応、膨大な量の書類作成、教員との会議の根回し、予算獲得のための事務作業…。学生と直接関わる時間よりも、こうした裏方の調整業務に追われることの方が圧倒的に多いんです。

「もっと学生一人ひとりと向き合って、彼らの夢を応援するような仕事がしたかった。でも実際は、パソコンの画面と、機嫌の悪い先生の顔ばかり見て一日が終わります。『これは本当に学生のためになっているんだろうか』と、毎日自問自答しています。」(転職を考える大学職員 Bさん)

高い理想を抱いて入った人ほど、この現実とのギャップに苦しみます。「学生のため」というやりがいを感じられず、ただ組織の歯車として働いている感覚に陥ってしまう。これも、「やめとけ」と言われる大きな理由の一つなんですね。

【理由⑥】部署による労働環境の格差(部署ガチャ)の過酷さ

先ほど「部署ガチャ」という言葉をご紹介しましたが、この格差は本当に深刻です。同じ大学、同じ給料なのに、配属先によって天国と地獄ほども労働環境が違うことがあるんです。

  • 楽な部署(当たり):比較的定型業務が多く、定時で帰れる。学生や教員との関わりも少ない。
  • 大変な部署(ハズレ):入試やオープンキャンパス担当の広報課、大規模なイベントを運営する部署、複雑なクレーム対応が多い学生課などは、土日出勤や残業が常態化していることも。

どの部署に配属されるかは、完全に運次第です。「楽そうだから」という理由で大学職員を選んだ人が、いきなり激務部署に配属され、数年で心身を病んでしまう、というケースも決して珍しくありません。

この予測不能なリスクは、安定した働き方を求めている人にとって、非常に大きな問題だと言えるでしょう。

【理由⑦】「楽で高給」は一部の有名私大だけという給与格差

繰り返しになりますが、「大学職員=高給取り」というイメージは、全ての大学に当てはまるわけではありません。むしろ、それはごく一部の、経営体力のある有名私立大学に限った話です。

多くの地方私立大学や、国立大学法人の給与は、決して世間一般で言われる「高給」のレベルには達しません。もちろん、公務員に準じる安定した給与はいただけますが、「楽してたくさん稼ぎたい」という動機で目指すには、あまりにも現実と乖離しています。

自分の出身大学や、イメージだけで「きっと給料も良いだろう」と安易に判断するのは危険です。その大学の経営状況や、公表されている職員の平均給与などを、事前にしっかりとリサーチすることが不可欠です。

それでも大学職員を目指すあなたへ|後悔しないための心構え

ここまで、大学職員という仕事の厳しい側面をたくさんお話ししてきました。もしかしたら、イメージが大きく変わってしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。

ですが、もし、これらの困難を理解した上で、それでも「大学という場で働きたい」という気持ちが揺るがないのであれば、その思いは本物だと思います。そんなあなたが後悔しないために、ぜひ心に留めておいてほしいことを3つお伝えします。

【心構え①】「なぜ大学で働きたいのか」を誰よりも深く考える

「安定してそうだから」「楽そうだから」という動機では、必ず壁にぶつかります。そうではなく、「なぜ、一般企業ではなく、大学という組織でなければならないのか」、その答えを自分の言葉で語れるようにしておくことが、何よりも大切です。

「高等教育を通じて社会に貢献したい」「〇〇という学問分野の発展を支えたい」といった、明確でブレない軸があれば、日々の地味な業務や理不尽な人間関係も、大きな目的のためのプロセスだと捉えることができるはずです。

【心構え②】OB/OG訪問や説明会でリアルな情報を徹底的に集める

大学の採用パンフレットに書かれているのは、当然ながら良い面ばかりです。本当に知りたいのは、その裏側にあるリアルな情報ですよね。そのためには、実際にその大学で働いている方から、直接話を聞くのが一番です。

OB/OG訪問や、大学が開催する職員採用説明会に積極的に参加し、「一番大変なことは何ですか?」「職員と教員の関係はどうですか?」「若手の意見は通りやすいですか?」といった、少し踏み込んだ質問をしてみてください。そこで得られる生の情報が、あなたの判断を助けてくれるはずです。

【心構え③】「大学職員」ではなく「教育業界のプロ」を目指す

キャリアの停滞を防ぐためには、意識を少し変えてみることが有効かもしれません。「この大学の職員」として働くのではなく、「日本の教育業界を支えるプロフェッショナル」になる、という視点を持つんです。

例えば、担当する業務に関連する資格を取得したり、他の大学の動向を研究したり、積極的に外部の研修に参加したり…。そうして身につけた知識やスキルは、その大学でしか通用しないものではなく、どこへ行っても役立つあなたの財産になります。そうすれば、万が一の時にも、自信を持って次のキャリアへ進むことができるでしょう。

「大学職員はやめとけ」と言われる理由の総括

今回は、大学職員という仕事について、その華やかなイメージの裏にある厳しい現実と、「やめとけ」と言われる理由を詳しく解説させていただきました。

大学職員を安易に勧めることができない理由のまとめ

  • 理由①:ジョブローテーションにより専門性が身につかず、「何でも屋」になってしまいキャリアが停滞するから。
  • 理由②:変化を嫌う保守的な組織文化と、成果が報われにくい年功序列が根強いから。
  • 理由③:主役である教員との特殊な力関係の中で、理不尽な要求や調整業務に疲弊することが多いから。
  • 理由④:少子化の影響を直に受け、もはや「安定した職場」とは言えず、将来性に大きな不安があるから。
  • 理由⑤:「学生のため」という理想とは程遠い、地味な裏方業務や調整業務にやりがいを見失いがちだから。
  • 理由⑥:配属される部署によって労働環境が激変する「部署ガチャ」のリスクが非常に高いから。
  • 理由⑦:「高給」なのは一部の有名私大のみで、多くの大学は世間のイメージほどの給与水準ではないから。

大学職員は、教育という社会の根幹を支える、誇り高い仕事です。しかし、その一方で、今回お話ししたような多くの困難が待ち受けていることも事実です。

「楽そう」「安定してそう」という漠然としたイメージだけで判断するのではなく、その仕事の本質と、ご自身の価値観やキャリアプランを冷静に照らし合わせてみてください。この記事が、あなたが後悔のない、最良の選択をするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

UTA

会社員。営業職で着実に成果を上げ、年収は本業と副業合わせて1,X00万円。副業は投資とライティング。妻と娘と3人暮らし。休日は家族サービスと自己研鑽に励む。趣味は映画鑑賞。

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