街中を走り、多くの人々の移動を支えるバス運転手さん。なんだか格好良くて、社会の役に立っている実感も大きそうですよね。運転が好きな方なら、一度は憧れたことがあるお仕事かもしれません。
でも、いざ「バス運転手」と検索してみると、「やめとけ」「きつい」「後悔」「ブラック」なんて、少し不安になるような言葉も目に入ってくるのではないでしょうか。大きなハンドルを握る華やかなイメージの裏には、一体どんな大変さが隠されているのでしょうか？
この記事では、バス運転手というお仕事に興味を持っている学生さんや、転職を考えている社会人の皆さんに向けて、なぜ「やめとけ」と言われてしまうことがあるのか、その理由を一つひとつ丁寧に、そして中立的な立場から解説していきたいと思います。もちろん、大変なことばかりではなく、やりがいや魅力もありますので、それらも踏まえた上で、本当に自分に合っているのかを考えるお手伝いができれば嬉しいです。
この記事でお伝えしたいこと
- バス運転手の具体的な仕事内容と求められる資質
- 「やめとけ」と言われる主な6つの深刻な理由とその背景
- バス運転手の仕事で実際に大変だと感じるポイント
- それでもバス運転手を目指す場合の心構えと後悔しないための対策
- 自分にとって本当にバス運転手が適職かを見極めるヒント
バス運転手の概要 – 社会を支える仕事の光と影
まず、バス運転手というお仕事がどんなものなのか、基本的なところから見ていきましょう。皆さんが普段利用する路線バスの運転手さんを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はバス運転手と一口に言っても、いくつかの種類があるんですよ。
バス運転手の主な仕事内容と種類
バス運転手さんの最も重要なお仕事は、もちろん安全にお客様を目的地までお送りすることです。でも、それだけではないんです。
- 路線バスの運転手
市街地や郊外の決められたルートを、時刻表通りに運行します。バス停での乗降客の対応、運賃の収受、車内アナウンスなども行います。地域住民の生活に密着した、まさに「足」となる存在ですね。 - 高速バス（長距離バス）の運転手
都市間を結び、時には夜通し運転することもあります。長時間の運転になるため、高い集中力と体力が求められます。仮眠施設が整っている会社も多いです。 - 観光バスの運転手
団体旅行やツアー客を乗せ、観光地を巡ります。お客様が楽しい旅行の思い出を作れるよう、快適な運転だけでなく、時には観光案内をすることもあるかもしれません。様々な場所へ行けるのが魅力ですね。 - 送迎バスの運転手
企業や学校、幼稚園、福祉施設などの特定の人々を送迎します。毎日同じルートを走ることが多いですが、乗客とのコミュニケーションも大切な業務の一つです。
どのお仕事にも共通しているのは、お客様の命を預かるという大きな責任と、時間通りに安全に運行するという使命感です。
また、運転業務以外にも、運行前の車両点検（タイヤ、オイル、ブレーキなど）、車内外の清掃、運行記録の作成といった業務も日々行っています。安全運行のためには、こうした地道な作業も欠かせないんですね。
バス運転手として働く魅力と社会的な役割
大変なイメージもあるバス運転手さんですが、もちろん魅力もたくさんあります。
- 社会貢献度が高い
人々の移動を支え、地域社会に貢献しているという実感を得やすいお仕事です。「ありがとう」と感謝されることも多く、それがやりがいにつながります。 - 運転技術が活かせる・向上する
大きな車体を正確に操る運転技術は、まさにプロフェッショナル。日々の業務を通じて、さらに高度な運転スキルを磨くことができます。 - 安定したニーズがある
公共交通機関として、バスは多くの地域で必要とされています。特に地方では、バスが唯一の公共交通手段という場所も少なくありません。 - 人間関係のストレスが比較的少ない場合も
運転中は基本的に一人なので、オフィスワークのように常に同僚と顔を合わせる環境とは異なります。もちろん、お客様対応はありますが、対人関係のストレスを感じにくいと感じる方もいるようです。
人々の生活に欠かせない存在として、社会を支えているという誇りを持てるのは、バス運転手ならではの魅力かもしれませんね。
どのような人がバス運転手に向いているか
では、どんな人がバス運転手に向いているのでしょうか。
- 運転が好きで得意な人
これは大前提かもしれません。長時間運転しても苦にならない、安全運転への意識が高い人が求められます。 - 責任感が強い人
お客様の安全を守るという強い責任感と、時間通りに運行する使命感が必要です。 - 冷静沈着な判断ができる人
予期せぬ交通状況の変化や、お客様の急な体調不良など、不測の事態にも慌てず対応できる冷静さが求められます。 - 体力と自己管理能力がある人
不規則な勤務になることも多く、健康管理や体調管理が非常に重要です。 - コミュニケーション能力がある程度ある人
お客様への丁寧な対応や、他の乗務員との連携も必要です。
ただ運転が好きなだけではなく、プロとしての自覚と高い職業意識が求められるお仕事だと言えるでしょう。
バス運転手はやめとけ！お勧めできない6つの深刻な理由
さて、ここからが本題です。憧れややりがいもあるバス運転手のお仕事ですが、なぜ「やめとけ」「後悔する」といった声が聞かれるのでしょうか。その深刻な理由を6つに絞って、詳しく見ていきましょう。これらは、バス業界が抱える構造的な問題とも深く関わっているんです。
【理由1】過酷な勤務体系と長時間労働の常態化 – 休憩もままならない現実
バス運転手さんの勤務は、早朝から深夜までと非常に幅広く、不規則になりがちです。これは、多くの方が「きつい」と感じる大きな要因の一つです。
不規則なシフトと拘束時間の長さ
路線バスであれば、始バスから終バスまでをカバーするために、シフトは細かく分かれています。早朝4時台に出勤することもあれば、深夜1時過ぎに退勤することもあります。生活リズムが一定になりにくく、ご家族との時間も合わせづらいという声はよく聞かれますね。
また、1日の拘束時間（出勤してから退勤するまでの時間）が長くなる傾向にあります。運転時間だけでなく、その前後の車両点検、日報作成、そして待機時間なども含まれます。法律（自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、通称：改善基準告示）で拘束時間の上限は定められていますが、それでも1日13時間が原則で、最大15時間まで延長可能とされています。（宿泊を伴う場合は16時間まで）
例えば、朝6時に出勤して、夜9時に退勤する、といったケースも実際にはあり得ます。これは体力的にかなり厳しいですよね。
「中抜け」シフトと実質的な休憩の短さ
特に路線バスでは、「中抜け」と呼ばれる勤務形態があります。これは、朝のラッシュ時間帯を運転し、日中の利用者が少ない時間帯は数時間休憩（業務から解放）、そして夕方のラッシュ時間帯にまた運転する、というものです。
一見、休憩時間が長く取れるように思えますが、この中抜け時間は自宅に帰れるほど長くはない場合が多く、営業所の休憩室で過ごすことになります。完全にリラックスできるわけでもなく、かといって何か他のことができるわけでもない、という宙ぶらりんな時間を持て余してしまうという声も聞かれます。
また、運行の合間の短い休憩時間も、遅延が発生すれば削られてしまうことがあります。次の運行準備やトイレ休憩だけで終わってしまい、しっかり休めないまま次の乗務へ…ということも少なくないようです。
慢性的な人手不足も、こうした長時間労働や不規則な勤務に拍車をかけている要因の一つと言えるでしょう。誰かが休むと、その分他の運転手さんにしわ寄せがいく、という厳しい現実もあるようです。
【理由2】心身を蝕む健康リスクと常に隣り合わせの事故へのプレッシャー
バス運転手というお仕事は、常に人の命を預かっているという大きな責任を伴います。それが、精神的なプレッシャーとなり、体調にも影響を及ぼすことがあります。
腰痛・肩こり・目の疲れなどの職業病
長時間同じ姿勢で座り続け、アクセルやブレーキ、ハンドル操作を繰り返すため、腰痛や肩こりに悩まされる運転手さんは非常に多いです。また、常に周囲の状況に注意を払い、信号や標識、歩行者や自転車などを見続けるため、目の疲れも深刻です。
不規則な勤務による睡眠不足や食生活の乱れも、体調を崩す原因となりやすいですね。健康診断で生活習慣病を指摘される方も少なくないと聞きます。自己管理が非常に重要ですが、それだけではカバーしきれない職業特有のリスクがあるんです。
一瞬の気の緩みが大事故に繋がる恐怖
バス運転手さんは、どんな状況でも安全を最優先に運転しなければなりません。天候が悪くても、道が混んでいても、お客様が急いでいても、決して無理な運転は許されません。この「絶対に事故を起こしてはいけない」というプレッシャーは、想像以上に大きいものです。
ほんの一瞬の判断ミスや気の緩みが、多くの乗客や他の車を巻き込む大事故につながる可能性があります。その結果、人命が失われたり、自身も大きな怪我を負ったり、職を失ったりすることも…。こうした最悪の事態を常に意識しながら運転するストレスは、計り知れないものがあります。
実際に、こんな声も。
バス運転手だけど、雨の日とか雪の日は本当に神経使う。スリップも怖いし、視界も悪いし。でも遅れるとお客さんから文句言われるし…。毎日胃が痛いよ。
（引用元：X 旧Twitter 個人の匿名アカウントの投稿より）
睡眠時無呼吸症候群（SAS）への懸念
バス業界では、睡眠時無呼吸症候群（SAS）が原因とされる事故が過去に発生したことから、SASの検査や対策に力を入れている会社が増えています。SASは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることで、日中の強い眠気を引き起こし、居眠り運転のリスクを高めます。
定期的な検査や、必要に応じて治療（CPAP療法など）を受けることになりますが、これも運転手さんにとっては一つの負担となるかもしれませんね。
【理由3】避けられない乗客トラブルとクレーム対応の精神的負担
公共交通機関であるバスは、本当に様々なお客様が利用されます。その中には、残念ながら理不尽な要求をされたり、心無い言葉をぶつけられたりすることもあるんです。これが、バス運転手さんの精神的なストレスの大きな原因となっています。
理不尽なクレームやカスハラ
「バスが遅れた！どうしてくれるんだ！」「もっとスピードを出せ！」「エアコンが寒い（暑い）！」といったクレームは日常茶飯事かもしれません。中には、運転手さんにはどうしようもないこと（例えば交通渋滞による遅延など）に対しても、感情的に怒鳴りつけてくるお客様もいます。
運賃の支払いに関するトラブル、泥酔したお客様の対応、車内での迷惑行為への注意など、気を遣う場面は後を絶ちません。近年では「カスタマーハラスメント（カスハラ）」という言葉も聞かれるようになりましたが、バス運転手さんもその対象になりやすい職業の一つと言えるでしょう。
こうした心無い対応に毎日さらされていると、精神的に参ってしまいますよね。「お客様は神様」という考え方が根強く残っている場合もあり、運転手さんが一方的に我慢を強いられることも少なくありません。
車内での急病人対応や事故対応
運転中に乗客が急に体調を崩された場合、運転手さんが初期対応を行う必要があります。救急車の手配、乗客の誘導、会社への連絡など、冷静かつ迅速な対応が求められます。これも大きなプレッシャーですよね。
また、万が一交通事故に遭遇したり、車内で転倒事故などが起きた場合も、運転手さんがまず対応にあたることになります。警察や救急への連絡、乗客の安全確保、状況把握など、パニックにならずに対処しなければなりません。
丁寧に対応してもご理解いただけないケースや、時には暴言や暴力を受けるといった話も聞かれます。お客様の安全を守るだけでなく、自身の心を守るためのメンタルケアも重要になってきますね。
【理由4】責任の重さと見合わない？給与・待遇面の課題
人の命を預かり、社会インフラを支えるという非常に責任の重い仕事であるにも関わらず、「給与や待遇が見合っていない」と感じるバス運転手さんが少なくないのも、残念ながら現実です。
賃金水準の低さと昇給の難しさ
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などを見ると、バス運転手（営業用バス運転者）の平均年収は、全産業平均や他の運輸業（例えばトラックドライバーなど）と比較しても、必ずしも高いとは言えない状況が見て取れます。
もちろん、勤務する会社や地域、勤続年数、保有資格、役職などによって給与は大きく異なります。大手私鉄系のバス会社や公営バスなどは比較的待遇が良い傾向にありますが、中小のバス会社では厳しいケースもあるようです。
また、長年勤めてもなかなか給与が上がらない、昇給幅が小さいといった悩みも聞かれます。基本給が低く抑えられていて、残業代や各種手当（無事故手当、精勤手当など）で何とか生活できる水準、という会社もあるかもしれません。これでは、将来への不安を感じてしまいますよね。
退職金や福利厚生の不十分さ
退職金制度がない、あるいはあっても十分な額ではない、という会社も存在します。長年勤め上げたとしても、老後の生活に不安が残るようでは、安心して働き続けることが難しいでしょう。
福利厚生についても、住宅手当や家族手当などが充実していない場合、特に若い世代や家庭を持つ方にとっては、経済的な負担が大きくなります。
「仕事のきつさや責任の重さを考えると、もう少し給与や待遇が良くてもいいのでは…」と感じるのは、無理もないことかもしれません。こうした待遇面での不満が、離職率の高さや人手不足の一因となっているとも言われています。
【理由5】将来性とキャリアパスの不透明感 – AI化の波と高齢化
バス運転手という仕事の将来性や、その後のキャリアパスについて不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
自動運転技術の進展と雇用の不安
近年、自動車の自動運転技術は目覚ましい進歩を遂げていますよね。将来的には、バスも完全自動運転になるのではないか、そうなったら運転手の仕事はなくなってしまうのではないか…という不安を抱くのは自然なことです。
もちろん、すぐに全てのバスが自動運転に置き換わるわけではありませんし、特に安全管理や異常時の対応など、人間の役割が当面なくなることは考えにくいです。しかし、長期的に見ると、運転手の需要が減少していく可能性は否定できません。
国土交通省なども、自動運転バスの実証実験を進めています。こうした動きを見ていると、将来に対する漠然とした不安を感じてしまうかもしれませんね。
業界全体の高齢化と若手不足
バス業界は、運転手の高齢化が進んでおり、若い世代のなり手が不足しているという課題を抱えています。これは、先ほど述べたような労働条件や待遇面の問題も影響していると考えられます。
経験豊富なベテラン運転手さんが定年退職していく一方で、新しい運転手さんが十分に確保できないと、現役の運転手さん一人ひとりへの負担がますます大きくなってしまいます。また、若手が少ない職場では、キャリアアップのモデルケースが見えにくかったり、将来のポストが限られていたりするのではないか、と感じることもあるかもしれません。
キャリアチェンジの難しさ
バス運転手として長年勤めた後、他の職種へキャリアチェンジしようと思っても、専門的な運転技術や経験が、他の分野で直接活かせるとは限りません。もし体力的な問題などで運転業務が続けられなくなった場合、社内での配置転換がスムーズに行われるか、あるいは転職市場でどのような評価を受けるのか、といった不安も出てくるでしょう。
もちろん、運行管理者や営業所の管理職といったキャリアパスもありますが、誰でもその道に進めるわけではありません。長期的な視点で自分のキャリアを考えたときに、選択肢の幅が狭いと感じてしまうこともあるかもしれませんね。
【理由6】大型二種免許取得のハードルと初期投資
バス運転手になるためには、「大型自動車第二種運転免許（大型二種免許）」という特別な免許が必要です。この免許を取得するのが、意外と大変で、費用も時間もかかるんです。
免許取得の難易度と費用
大型二種免許は、乗客を乗せて営業運転するための免許なので、学科試験も技能試験も、通常の第一種免許に比べて難易度が高く設定されています。特に技能試験は、大きな車体を正確に操作する技術が求められ、何度も挑戦してようやく合格する人も少なくありません。
教習所に通って取得する場合、既に大型一種免許を持っているか、普通免許しか持っていないかなど、現在の所持免許によって費用は変わってきますが、数十万円単位の費用がかかるのが一般的です。例えば、普通免許（MT）から取得する場合、50万円～70万円程度かかることもあります。
この初期投資は、これから仕事を始めようとする若い方にとっては、かなり大きな負担になりますよね。
免許取得支援制度の有無と条件
バス会社によっては、大型二種免許の取得費用を支援してくれる制度（貸付制度や、入社後の給与天引きなど）を設けているところもあります。これは非常に助かる制度ですが、注意点もあります。
多くの場合、一定期間（例えば2～3年）その会社で勤務することを条件としており、もし途中で退職してしまうと、残りの費用を一括で返済しなければならない、といった規定が設けられていることがあります。「思っていた仕事と違ったから辞めたい」と思っても、この返済義務が足かせになってしまう可能性もあるんです。
「運転手になりたいけど、まずはお金を用意しないと…」というハードルがあること、そして支援制度を利用する場合の条件をしっかり確認することが大切です。安易に考えていると、後で困ったことになるかもしれません。
それでもバス運転手を目指すなら – 後悔しないための心構えと対策
ここまで、バス運転手というお仕事の「やめとけ」と言われる理由について、かなり詳しくお話ししてきました。「やっぱり相当覚悟がいる仕事なんだな…」と感じた方も多いのではないでしょうか。
でも、もしあなたが「それでも私はバス運転手になりたい！社会の役に立ちたい！」という強い気持ちを持っているなら、後悔しないためにできること、知っておくべきこともあります。ここでは、そんな皆さんへの具体的なアドバイスをお伝えしますね。
会社選びの徹底リサーチが何よりも重要
「バス会社なんて、どこも同じようなものでしょう？」なんて思っていたら大間違いです。労働条件、給与体系、福利厚生、研修制度、そして社風は、会社によって大きく異なります。後悔しないためには、入社する会社を慎重に選ぶことが最も大切です。
- 労働時間と休日の実態：求人票に書かれている情報だけでなく、実際に働いている人の口コミ（企業の評判サイトやSNSなど）も参考に、残業時間の実態や有給休暇の取得しやすさなどを調べましょう。面接で質問してみるのも良いでしょう。
- 給与体系の詳細：基本給はいくらか、どのような手当があるのか（無事故手当、皆勤手当、家族手当、住宅手当など）、賞与（ボーナス）は年何回でどのくらい支給されるのか、昇給制度はどうなっているのか、具体的に確認しましょう。
- 福利厚生の充実度：社会保険完備は当然として、退職金制度の有無や内容、健康診断以外の健康サポート、保養所の利用可否などもチェックポイントです。
- 研修制度と教育体制：未経験者でも安心して業務を始められるように、しっかりとした研修制度（座学、実技）があるか、先輩運転手からのOJT（実務を通じた指導）は手厚いか、などを確認しましょう。特に安全教育に力を入れている会社は信頼できます。
- 車両の整備状況と安全性への投資：運転するバスがきちんと整備されているか、新しい安全装置（ドライブレコーダー、衝突被害軽減ブレーキなど）の導入に積極的か、なども働く上での安心感に繋がります。
- 会社の経営状況と将来性：安定して長く働けるかを見極めるために、会社の経営状態（赤字ではないかなど）や、地域での評判、将来的な事業展開なども調べておくと良いでしょう。
可能であれば、会社説明会に参加したり、実際にその会社のバスに乗ってみて運転手さんの様子や車内の雰囲気を見てみたりするのも、貴重な情報収集になりますよ。
必要な資格の確認と計画的な取得
先ほども触れましたが、バス運転手になるには「大型二種免許」が必須です。これに加えて、会社によっては特定の資格を求められたり、入社後に取得を奨励されたりすることもあります。
- 大型二種免許：取得方法（教習所か一発試験か）、費用、期間などを事前にしっかり調べて、計画的に取得準備を進めましょう。教習所によっては、教育訓練給付金制度を利用できる場合もあります。
- 免許取得支援制度の活用と注意点：会社の支援制度を利用する場合は、その条件（勤続年数、返済義務など）を隅々まで確認し、納得した上で利用しましょう。
- その他の関連資格：運行管理者（国家資格）の資格を持っていると、将来的に内勤業務へのキャリアチェンジの道が開けることもあります。また、応急救護の資格なども役立つかもしれません。
徹底した自己管理能力を身につける
不規則な勤務や長時間の運転、精神的なプレッシャーに耐え、安全運転を続けるためには、何よりもまず自分自身の心と体の健康を守ることが大切です。プロのバス運転手として、徹底した自己管理能力が求められます。
- 体調管理：十分な睡眠時間の確保、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、常にベストなコンディションで乗務できるように努めましょう。少しでも体調が悪いと感じたら、無理せず早めに上司に報告することが重要です。
- 睡眠の質の向上：不規則なシフトの中でも質の高い睡眠をとるために、寝る前のカフェイン摂取を避ける、寝室の環境を整えるなどの工夫をしましょう。
- ストレスマネジメント：仕事で受けたストレスを上手に発散する方法を見つけておくことが大切です。趣味に没頭する時間を作る、家族や友人と話す、リラックスできる音楽を聴くなど、自分に合った解消法をいくつか持っておくと良いですね。
- メンタルヘルスの維持：クレーム対応などで精神的に辛いと感じたら、一人で抱え込まずに同僚や上司、家族に相談しましょう。会社によっては相談窓口を設けている場合もあります。
- 定期的な健康診断と必要な検査：会社で実施される健康診断は必ず受け、もし何か異常が見つかったら、医師の指示に従って適切な治療や生活改善を行いましょう。
「自分の体調は自分で守る」という意識を常に持ち続けることが、長く安全に働くための秘訣です。
バス運転手として働くメリットとやりがいを再確認する
大変なことが多いバス運転手のお仕事ですが、それでも目指すからには、自分にとってのメリットややりがいをしっかりと見据えておくことが、モチベーションを維持する上で大切です。
- 「ありがとう」の言葉の重み：お客様から直接感謝される機会が多く、それが日々の励みになります。特に地域に密着した路線バスでは、顔なじみのお客様とのちょっとした会話も、心の温まる瞬間かもしれません。
- 社会インフラを支える誇り：自分の仕事が、人々の生活や経済活動に不可欠なものであるという実感は、大きな誇りにつながります。「自分がいないと困る人がいる」という使命感は、何物にも代えがたいものです。
- プロとしての運転技術：大きなバスを安全かつスムーズに運転する技術は、誰にでもできることではありません。その専門性とスキルは、自分自身の自信にも繋がります。
- 毎日違う景色や人々との出会い：特に観光バスや長距離バスの運転手さんは、様々な場所へ行く機会があり、毎日が新鮮かもしれません。路線バスでも、季節の移り変わりや街の変化を感じることができます。
なぜ自分はバス運転手になりたいのか、この仕事を通して何を実現したいのか、といった原点を時々振り返ることで、困難な状況でも前向きに取り組む力が湧いてくるはずです。
「きつい」「大変」という声に流されるだけでなく、自分自身がその仕事にどんな価値を見出せるのか、という視点も忘れないでくださいね。
まとめ：バス運転手の道を選ぶ前に – 「やめとけ」の声を乗り越えるために
さて、ここまでバス運転手というお仕事について、「やめとけ」と言われる理由から、それでも目指す場合の心構えや対策まで、詳しくお話ししてきました。
バス運転手は、社会を支える非常に重要で尊いお仕事です。しかし、その裏には、労働時間の長さ、健康への影響、精神的な負担、そして待遇面での課題など、決して軽視できない厳しい現実があることもご理解いただけたかと思います。
バス運転手という仕事を「やめとけ」と言われる理由と後悔しないための総括
- 勤務体系の過酷さ：不規則なシフト、長い拘束時間、短い休憩は覚悟が必要です。
- 心身への健康リスク：職業病や事故へのプレッシャー、睡眠不足など、健康管理が極めて重要です。
- 乗客対応のストレス：理不尽なクレームやカスハラも日常茶飯事。精神的なタフさが求められます。
- 責任と待遇のギャップ：責任の重さに対して、給与や福利厚生が見合わないと感じる人もいます。
- 将来性への不安：AI化の波や業界の高齢化など、長期的なキャリアを考える上での懸念材料も。
- 免許取得のハードル：大型二種免許の取得には時間も費用もかかります。
- 会社選びが最重要：労働条件や社風は会社によって全く異なります。徹底的なリサーチが不可欠です。
- 自己管理能力の確立：プロとして、心身の健康を維持するための自己管理が何よりも大切です。
- 明確な目的意識を持つ：なぜこの仕事を選ぶのか、やりがいは何かを自分の中で明確にしておくことが、困難を乗り越える力になります。
「やめとけ」という言葉の多くは、バス運転手という仕事の理想と現実のギャップに苦しんだり、厳しい労働条件に直面したりした方々の、切実な声なのかもしれません。
だからこそ、もしあなたがバス運転手を目指すのであれば、華やかなイメージだけでなく、その厳しさも十分に理解した上で、それでも挑戦したいという強い意志と覚悟を持つことが何よりも大切なんです。
そして、ご自身の健康、生活、将来設計をしっかりと見据え、情報を集め、慎重に判断すること。これが、後悔しない道を選ぶための、一番の近道になるはずです。
この記事で挙げた「やめとけ」と言われる理由や、それでも目指すための対策が、皆さんの大切な職業選択の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
皆さんが、ご自身にとって最良の道を選び、充実した職業人生を送られることを心から応援しています！
