「北海道移住」…この言葉を聞くと、広大な大地、美しい自然、美味しい食べ物、そして都会の喧騒から離れたゆったりとした時間…そんな、なんだか夢のようなスローライフが思い浮かぶかもしれませんね。特に、自然豊かな環境でのびのびと子育てをしたいと考えているファミリーや、定年後の第二の人生を穏やかに過ごしたいと考えているシニア層、あるいはリモートワークを活用して地方暮らしを実現したいと考えている若い世代の皆さんにとっては、非常に魅力的な選択肢の一つに見えるのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。インターネットで「北海道移住」と検索すると、「やめとけ」「後悔」「失敗」「厳しい」といった、少し心配になるような言葉もたくさん出てきます。「本当に理想通りの生活が送れるの？」「冬の寒さや雪は大丈夫？」「仕事は見つかるの？」と、不安に思うのは当然のことですよね。
実は、一見すると魅力に溢れているように見える北海道移住にも、知っておかなければならない多くの厳しい現実や、憧れだけでは乗り越えられない困難が隠されていることがあるんです。この記事では、北海道移住を考えている皆さんが、後で「こんなはずじゃなかった…」と大きな後悔をしないために、その実態や注意すべき点を、分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
この記事でお伝えしたいこと
- 北海道移住の基本的な魅力と、移住を考える人々の動機
- 北海道の気候や生活環境の概要
- なぜ「北海道移住はやめとけ」と言われることがあるのか？具体的な7つの理由
- それでも北海道移住を実現したい場合に、後悔しないための心構えと準備
- 「北海道移住」という選択肢と賢く向き合うためのヒント
北海道移住の基本情報と魅力：なぜ多くの人が憧れるのか？
まずはじめに、北海道移住が多くの人々を引きつける理由や、北海道の基本的な生活環境について、一緒に見ていきましょう。良い面も悪い面も理解するためには、まず基本的な知識が大切ですからね。
北海道の多様な魅力：雄大な自然、豊かな食、ゆとりある空間
北海道は、日本の総面積の約22%を占める広大な島であり、そのスケールの大きな自然環境と、独自の文化が最大の魅力です。
- 圧倒的なスケールの自然：知床、大雪山、釧路湿原といった世界自然遺産や国立公園をはじめ、四季折々に美しい表情を見せる山々、湖沼、海岸線など、手つかずの自然が豊富に残されています。キャンプ、登山、スキー、釣りなど、アウトドア・アクティビティの宝庫でもあります。
- 四季折々の美しい景観：春の桜や芝桜、夏のラベンダー畑、秋の紅葉、冬の雪景色や流氷など、季節ごとに息をのむような美しい風景に出会えます。
- 新鮮で美味しい食べ物：広大な大地で育まれた農産物（ジャガイモ、トウモロコシ、メロンなど）、豊かな海で獲れる海産物（カニ、ウニ、ホタテ、サケなど）、そして乳製品（牛乳、チーズ、バターなど）は、どれも一級品。ジンギスカンやラーメン、スープカレーといったご当地グルメも人気です。
- ゆとりある生活空間：都市部でも、本州の大都市圏と比較して住宅が広く、家賃や土地の価格も比較的安価な場合が多いです。満員電車とは無縁の、ゆったりとした通勤・通学も魅力の一つかもしれません。
- 比較的涼しい夏：本州のような蒸し暑さが少なく、梅雨もないため、夏は過ごしやすい気候です（近年は猛暑日もありますが）。
これらの魅力から、「北海道でのびのびと暮らしたい」「美味しいものを食べて、自然を満喫したい」と、多くの人が北海道への移住に憧れを抱くのですね。
北海道の気候と生活環境の概要：夏は快適、冬は…
北海道の気候は、日本の中でも特に個性的で、夏は比較的冷涼で過ごしやすい一方、冬は非常に寒さが厳しく、降雪量も多いという大きな特徴があります。この「冬の厳しさ」が、北海道移住を考える上で最も重要なポイントの一つになります。
- 気候区分：北海道は広大なので、地域によって気候が大きく異なります。日本海側（札幌、小樽など）は冬の降雪量が多く、オホーツク海側（網走、紋別など）は流氷が見られるほど寒さが厳しく、太平洋側（函館、釧路など）は比較的雪が少ないものの夏は霧が発生しやすく、内陸部（旭川、富良野など）は夏と冬の寒暖差が非常に大きい、といった特徴があります。
- 冬の生活：
- 寒さ対策：断熱性・気密性の高い住宅構造（二重窓、高断熱材など）が必須です。暖房費も高額になる傾向があります。
- 雪対策：毎日の雪かき（除雪）は、地域によっては重労働です。屋根の雪下ろしが必要な場合もあります。車の運転も、雪道やアイスバーンに慣れるまでは非常に危険です。スタッドレスタイヤは必須で、冬用ワイパーなども必要になります。
- 交通機関への影響：大雪や吹雪によって、飛行機、JR、バスなどの交通機関が運休したり、大幅に遅れたりすることがあります。
- 生活インフラ：都市部（札幌市など）では、生活に必要な商業施設や医療機関、教育機関などは充実していますが、郊外や過疎地域に行くと、店舗が少なかったり、病院までの距離が遠かったり、公共交通機関が不便だったりする場合があります。
北海道での生活は、その美しい自然の恩恵を享受できる一方で、特に冬の厳しい自然環境とどう向き合っていくか、という覚悟と準備が不可欠になります。この点を甘く見ていると、移住後に大きな困難に直面することになるでしょう。
それでも「北海道移住はやめとけ」と言われる7つの厳しい現実
さて、ここからが本題です。雄大な自然と美味しい食べ物に恵まれた北海道ですが、なぜ「やめとけ」という声がこれほどまでに多く聞かれるのでしょうか。憧れだけでは乗り越えられない、厳しい現実やデメリットを7つにまとめてみました。
【理由①】想像を絶する冬の厳しさ！寒さ・雪・長い冬との戦い
北海道移住を考える上で、避けては通れないのが、「冬の厳しさ」です。本州の温暖な地域で生まれ育った人にとっては、想像を絶するレベルかもしれません。
- 厳しい寒さ：真冬には、多くの地域で気温が氷点下になるのが当たり前です。内陸部では、マイナス20℃、マイナス30℃を下回ることも珍しくありません。水道管の凍結対策や、適切な防寒着（厚手のコート、帽子、手袋、滑りにくい冬靴など）は必須です。
- 大量の雪と毎日の雪かき：地域によっては、一晩で数十センチの雪が積もることもあります。朝起きたら、まず玄関前や駐車場の雪かきから一日が始まる…という生活が、数ヶ月間続くのです。この雪かきは、かなりの重労働であり、時間も体力も奪われます。高齢者にとっては特に深刻な問題です。
- 長い冬と日照時間の短さ：北海道の冬は、11月頃から始まり、4月頃まで続くこともあります。半年近くも雪と寒さに閉ざされる生活は、精神的にも滅入ってしまう人もいます。また、冬場は日照時間が短く、気分が落ち込みやすい「冬季うつ」のような症状が出る人もいるようです。
- 雪道運転の危険性：圧雪路、アイスバーン（ブラックアイスバーン）、ホワイトアウト（吹雪で視界が真っ白になる現象）など、雪道の運転は危険と隣り合わせです。どんなに注意していても、スリップ事故や立ち往生のリスクは避けられません。
「雪景色は美しい」「ウィンタースポーツが楽しめる」といったロマンチックなイメージだけでは、この長く厳しい冬を乗り越えるのは難しいでしょう。実際に冬の北海道を訪れて、その厳しさを肌で感じてみることが、移住を考える上では非常に重要です。
【理由②】仕事が見つからない・給与水準が低い！経済的な厳しさ
北海道は、豊かな自然に恵まれている一方で、産業構造が第一次産業（農業、漁業など）や観光業に偏っている傾向があり、本州の大都市圏と比較して、求人の種類や数が限られているのが現状です。特に、専門職や事務系の仕事、あるいは高収入が期待できる仕事は、札幌などの都市部を除くと見つけるのが難しい場合があります。
また、北海道の最低賃金や平均給与水準は、全国平均と比較しても低い傾向にあります。（参考：厚生労働省 地域別最低賃金全国一覧） 移住によって収入が大幅に減ってしまう可能性も十分に考えられます。
「自然の中でのんびり暮らしたい」という思いはあっても、生活していくためには当然ながら安定した収入が必要です。移住前に、希望する職種の求人状況や給与水準をしっかりとリサーチし、現実的な生活設計を立てておくことが不可欠です。リモートワークが可能で、移住後も現在の仕事を続けられるのであれば、この問題はクリアできるかもしれませんが、そうでない場合は、仕事探しが移住の大きな壁となるでしょう。
ある移住経験者は、こう語っています。
東京での仕事を辞めて、憧れの北海道に移住しましたが、なかなか希望する条件の仕事が見つからず、結局アルバイトを掛け持ちする生活になりました。家賃は安いですが、冬の光熱費が高く、生活は楽ではありませんでした。(30代 女性、元会社員)
「なんとかなるだろう」という楽観的な見通しは禁物です。経済的な基盤をどう確保するのか、具体的な計画がなければ、移住生活は早々に破綻してしまうかもしれません。
【理由③】想像以上にかかる生活費！特に冬の暖房費と車の維持費
「北海道は家賃や物価が安いから、生活費も抑えられるだろう」…そう考えている方もいるかもしれませんが、実際には、本州の都市部と比べて必ずしも生活費が安くなるとは限りません。むしろ、特定の費目では、想像以上にお金がかかることがあります。
その代表格が、冬の暖房費（光熱費）です。厳しい寒さを乗り越えるためには、灯油、ガス、電気などを使った暖房が不可欠ですが、これが家計を大きく圧迫します。特に、古い住宅や断熱性の低い住宅では、暖房効率が悪く、高額な暖房費がかかってしまうことも。オール電化住宅の場合、冬場の電気代が月数万円にのぼるケースも珍しくありません。
そしてもう一つ、大きな負担となるのが自動車関連費用です。北海道では、都市部を除くと公共交通機関が未発達な地域が多く、日常生活において自動車が必須となる場合がほとんどです。そのため、
- 自動車本体の購入費用（場合によっては2台必要）
- ガソリン代（移動距離が長くなりがち）
- 自動車保険料
- 車検費用
- 税金（自動車税、重量税）
- そして、冬場のスタッドレスタイヤ購入費用や交換費用
といった、様々な費用がかかります。これらの費用を考慮すると、トータルの生活費は、本州の都市部と変わらないか、むしろ高くなってしまう可能性も否定できません。
家賃の安さだけに目を向けるのではなく、こうした北海道特有の生活コストもしっかりと把握し、収支のバランスを考えることが大切ですね。
【理由④】都市部以外は不便な生活インフラ！買い物難民・医療難民の可能性
札幌市のような大都市であれば、デパートやスーパー、コンビニエンスストア、病院、学校といった生活に必要なインフラは十分に整っています。しかし、一歩郊外に出たり、地方の市町村に移住したりすると、その利便性は大きく低下します。
- 買い物：最寄りのスーパーまで車で数十分、あるいは1時間以上かかることも。品揃えも都市部ほど豊富ではなく、欲しいものが手に入りにくい場合があります。インターネット通販も、送料が高くついたり、配送に時間がかかったりすることがあります。
- 医療：総合病院や専門医がいる医療機関が近くになく、病気やケガをした時にすぐに適切な治療を受けられない「医療難民」になるリスクがあります。特に、高齢者や持病のある方にとっては深刻な問題です。救急車を呼んでも、到着までに時間がかかることも。
- 教育：子どもの学校の選択肢が限られていたり、通学に時間がかかったり、塾や習い事の教室が近くになかったりする場合があります。
- 公共交通機関：バスの便数が極端に少なかったり、そもそも運行していなかったりする地域も多く、自動車がなければ移動が非常に困難です。高齢になって運転免許を返納したら、途端に生活が立ち行かなくなる可能性も。
「自然に囲まれた静かな場所で暮らしたい」という理想と、日々の生活の利便性とのバランスを、どこで取るのか。これは、移住先を選ぶ上で非常に重要な検討事項です。特に、将来的に自分が年齢を重ねた時のことも考えて、慎重に判断する必要がありますね。
【理由⑤】人間関係の難しさ！閉鎖的なコミュニティと「よそ者」扱い
北海道は、開拓の歴史を持つ土地であり、比較的オープンで新しいものを受け入れやすい気質があると言われる一方で、特に小さな町や村では、昔ながらの慣習や人間関係が色濃く残り、閉鎖的なコミュニティが形成されている場合があります。
そのような地域に移住した場合、最初は「新しい人が来た」と歓迎されても、なかなか地域に溶け込めず、いつまでも「よそ者」扱いをされてしまう…といったケースも残念ながら存在します。地域の祭りや行事への参加、消防団や町内会活動への協力などを通じて、積極的にコミュニケーションを取ろうとしても、見えない壁を感じてしまうこともあるかもしれません。
また、近所付き合いが濃密で、プライバシーがあまり尊重されないと感じたり、噂話や干渉にうんざりしてしまったりすることもあるでしょう。都会のドライな人間関係に慣れている人にとっては、こうした地域特有の人間関係が、大きなストレスになる可能性があります。
もちろん、温かく迎え入れてくれる地域や人々もたくさんいます。しかし、「どこへ行っても歓迎されるはずだ」という楽観的な考えは禁物です。移住先の地域性や人間関係について、事前に情報収集したり、可能であれば「お試し移住」などを利用して実際に体験してみたりすることが大切ですね。
【理由⑥】理想と現実のギャップ！「スローライフ」は幻想か？
「北海道で、時間に追われないゆったりとしたスローライフを送りたい」…そんな憧れを抱いて移住する人は少なくありません。しかし、実際に移住してみると、理想としていた「スローライフ」とは程遠い、忙しく厳しい現実に直面することもあります。
例えば、
- 農業や酪農を始める場合：自然相手の仕事は、天候に左右され、早朝から深夜までの重労働が続くことも。休みも取りにくく、体力勝負の世界です。
- 自営業を始める場合：集客や経営の難しさに直面し、資金繰りに奔走する日々。結局、都会で働いていた時よりも忙しくなってしまうことも。
- 冬の生活：前述の通り、毎日の雪かきや寒さ対策、雪道運転など、冬ならではの「やらなければならないこと」に多くの時間と労力を費やされ、とても「スロー」とは言えない状況に。
- 地域活動への参加：人手が少ない地域では、様々な役割や役員を頼まれ、断りきれずに忙殺されてしまうことも。
「何もしなくても、のんびり暮らせる」というのは、残念ながら幻想に近いのかもしれません。むしろ、都会での生活とは異なる種類の「大変さ」や「忙しさ」が待っている可能性も十分にあります。
どのような生活を送りたいのか、そのために何が必要で、どのような困難が伴うのかを、具体的に、そして現実的にイメージすることが、移住後のギャップを減らすためには不可欠です。
【理由⑦】野生動物との遭遇と被害！ヒグマやエゾシカは身近な存在
北海道の豊かな自然は、多くの野生動物たちの生息地でもあります。キタキツネやエゾリスといった可愛らしい動物に出会えるのは嬉しいことですが、その一方で、ヒグマやエゾシカといった、人間にとって危険な動物や、農作物に被害をもたらす動物も身近に生息していることを忘れてはいけません。
特にヒグマは、近年、市街地への出没も相次いでおり、人身被害も発生しています。山菜採りやキノコ狩り、登山などの際には、熊鈴を携帯したり、複数人で行動したり、出没情報を確認したりといった、十分な対策が必要です。ゴミの管理を徹底することも、ヒグマを寄せ付けないためには重要です。
エゾシカは、農作物を食い荒らしたり、交通事故の原因になったりするなどの被害が深刻化しています。家庭菜園を楽しもうと思っても、シカに食べられてしまう…なんていうことも。また、マダニが媒介する感染症（ライム病やダニ媒介性脳炎など）のリスクも、本州よりも高いと言われています。野山に入る際には、長袖長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用するなどの対策が必要です。
「自然が豊か＝安全で安心」というわけでは必ずしもありません。野生動物との適切な距離感を保ち、共存していくための知識と心構えが求められるのです。
それでも北海道移住を実現したいあなたへ！後悔しないための心構えと準備
ここまで北海道移住の厳しい側面やデメリットをこれでもかというほどお伝えしてきましたが、「それでも、私は北海道の雄大な自然の中で暮らしたい！この土地で新しい人生を始めたい！」と強く願う方もいらっしゃると思います。もちろん、デメリットを理解した上で、しっかりとした覚悟と周到な準備を持って臨めば、北海道移住を成功させ、充実した生活を送ることは十分に可能です。
ここでは、北海道移住で後悔しないために、事前に知っておくべき大切な心構えや、具体的な準備についてお話ししますね。
「なぜ北海道なのか」を徹底的に自問自答し、具体的な目的を持つ
まず何よりも大切なのは、「なぜ自分は、他の地域ではなく、北海道に移住したいのか」という動機と目的を、心の底から明確にすることです。
- 「北海道のこの地域の、この自然環境に惹かれたから」
- 「北海道で、この仕事をしたい、あるいはこの事業を始めたいという明確な目標があるから」
- 「家族（あるいは自分自身）の健康のために、この気候や環境が必要だから」
- 「北海道のこの文化やライフスタイルに共感し、それを実践したいから」
「なんとなく今の生活が嫌だから」「都会の喧騒から逃れたいから」といった、漠然としたネガティブな理由だけでは、移住後に直面するであろう困難を乗り越えるのは難しいでしょう。「北海道でなければならない理由」「北海道で実現したいこと」を具体的に持つことが、移住後の生活の支えとなり、困難に立ち向かうための原動力になります。
ご自身の価値観、ライフプラン、そして家族の意見などを総合的に考慮し、北海道移住の意義を深く見つめ直すことが、後悔しないための最も重要な第一歩です。
徹底的な情報収集と現地視察！「お試し移住」も有効
北海道移住を成功させるためには、移住希望先の地域に関する徹底的な情報収集と、可能であれば複数回の現地視察が不可欠です。
- 情報収集：
- 各市町村の移住相談窓口やウェブサイト（移住支援制度、仕事、住まい、医療、教育などに関する情報が掲載されています）。
- 北海道庁が運営する移住情報サイト（例：「北海道移住まるごと情報サイト ずーっと北海道」など）。
- 移住者向けの雑誌や書籍、ブログ、SNSなど（リアルな体験談や注意点が得られることも）。
- ハローワークや民間の求人サイトでの仕事情報の収集。
- 現地視察：
- 必ず、夏だけでなく、最も厳しい冬の時期にも訪れて、その寒さや雪の量、生活の様子を肌で感じてください。
- 地域のスーパーや商店、医療機関、学校など、生活に必要な施設を実際に見て回りましょう。
- 可能であれば、地元の人と話をする機会を持ち、地域の雰囲気や人間関係について聞いてみましょう。
- 「お試し移住（ちょっと暮らし）」制度を利用して、数週間～数ヶ月間、実際にその地域で生活してみるのも非常に有効です。家賃補助などがある場合もあります。
「百聞は一見に如かず」です。インターネットやパンフレットの情報だけでなく、ご自身の五感で現地の状況を確かめることが、移住後のギャップを減らすためには何よりも大切です。
仕事と住まいの確保！経済的な基盤と生活の拠点を固める
言うまでもありませんが、移住後の生活を安定させるためには、まず仕事と住まいを確保することが最優先課題です。
- 仕事探し：
- 移住前に、ハローワークや求人サイト、市町村の移住相談窓口などを通じて、仕事を見つけておくのが理想的です。「移住してから探せばいい」という考えは非常に危険です。
- 地域おこし協力隊制度を利用したり、農業や漁業などの研修制度に参加したりするのも一つの方法です。
- 起業や自営業を考えている場合は、事業計画を綿密に立て、資金調達の方法も確保しておく必要があります。地域の商工会などに相談してみるのも良いでしょう。
- リモートワークが可能な場合は、現在の仕事を続けられるか、会社とよく相談しましょう。
- 住まい探し：
- 賃貸物件（アパート、マンション、戸建て）を探すのか、中古住宅を購入するのか、あるいは新築するのか。それぞれのメリット・デメリット、費用を比較検討しましょう。
- 冬の寒さ対策（断熱性、暖房設備など）がしっかりしているか、雪かきが大変な場所ではないか、などを重点的にチェックします。
- 市町村によっては、移住者向けの住宅支援制度（家賃補助、住宅取得補助金など）がある場合もありますので、活用できないか調べてみましょう。
経済的な見通しが立たないまま移住してしまうと、あっという間に資金が底をつき、理想とは程遠い苦しい生活を送ることになりかねません。焦らず、じっくりと準備を進めることが肝心です。
冬の生活への具体的な準備と覚悟！甘く見ないこと
繰り返しになりますが、北海道の冬は本当に厳しいです。その厳しさを甘く見ず、具体的な準備と、それに向き合う覚悟を持つことが、移住を成功させるための絶対条件と言っても過言ではありません。
- 防寒対策：断熱性の高い服装（インナー、ミドルレイヤー、アウター）、帽子、手袋、耳当て、ネックウォーマー、滑りにくい冬靴（防水・防寒機能付き）などを揃えましょう。
- 住宅の寒冷地仕様：二重窓や高断熱材はもちろん、セントラルヒーティングや床暖房といった暖房設備、ロードヒーティング（融雪設備）の有無なども、物件選びの重要なポイントです。
- 雪かき用具の準備：スノーダンプ、スコップ、スノーブラシなど、雪かきに必要な道具を揃えましょう。体力的に自信がない場合は、小型の除雪機の購入も検討する必要があるかもしれません。
- 車の冬装備：スタッドレスタイヤは必須です。四輪駆動車（4WD）の方が雪道での安定性が高いと言われています。エンジンオイルも寒冷地仕様のものを選びましょう。バッテリー上がりにも注意が必要です。
- 冬の運転技術の習得：雪道やアイスバーンでの安全な運転方法（急発進・急ブレーキ・急ハンドルを避ける、車間距離を十分にとるなど）を身につけましょう。可能であれば、雪道運転講習などを受けるのも良いでしょう。
- 光熱費の予算確保：冬場の暖房費は高額になることを覚悟し、家計に余裕を持たせておきましょう。
「なんとかなる」ではなく、「こうすれば乗り越えられる」という具体的な対策と、それに必要な費用や労力を、事前にしっかりと見積もっておくことが大切です。
地域コミュニティへの参加と良好な人間関係の構築
移住先で孤立せず、地域の一員として受け入れられ、快適な生活を送るためには、積極的に地域コミュニティへ参加し、地元の人々と良好な人間関係を築いていく努力が求められます。
- 挨拶を心がける：近所の人や、お店の人など、地域で会う人には積極的に挨拶をしましょう。基本的なことですが、これがコミュニケーションの第一歩です。
- 地域の行事やイベントへの参加：お祭りや清掃活動、町内会の集まりなど、地域の行事にはできるだけ顔を出し、地元の人々と交流する機会を持ちましょう。
- 地域のルールや慣習の尊重：ゴミ出しのルールや、雪かきの仕方、あるいは暗黙の了解となっている地域の慣習などがあれば、それを尊重し、従うようにしましょう。分からないことは、遠慮なく地元の人に教えてもらうと良いでしょう。
- 「教えてもらう」という謙虚な姿勢：移住者は、その地域にとっては「新参者」です。都会での経験や価値観を押し付けるのではなく、地元の人々から地域のことを教えてもらうという謙虚な姿勢が大切です。
- 共通の趣味や関心事を通じた交流：地域のサークル活動やボランティア活動などに参加して、共通の話題を持つ友人を作るのも良い方法です。
焦らず、時間をかけて、少しずつ地域に溶け込んでいくことが、結果的に長く快適な移住生活に繋がるはずです。最初から完璧を求めず、ゆっくりと関係を育んでいきましょう。
「北海道移住はやめとけ」と言われる理由の総括と賢明な判断のために
さて、ここまで北海道移住という選択肢について、その魅力と、それ以上に厳しい現実や注意すべき点について詳しくお話ししてきました。最後に、この記事でお伝えした大切なポイントをまとめておさらいしましょう。
北海道移住は、雄大な自然、美味しい食べ物、ゆとりある生活空間といった、多くの人々を惹きつける魅力に満ち溢れています。しかしその一方で、想像を絶する冬の厳しさ、仕事探しの難しさ、思った以上にかかる生活費、都市部以外での生活インフラの不便さ、そして地域コミュニティへの適応など、乗り越えなければならない多くの現実的な課題も存在します。「憧れ」や「理想」だけでは、決して成功できないのが北海道移住なのです。
「やめとけ」という言葉は少し強いかもしれませんが、それは「何も知らずに、何の準備もせずに、安易な気持ちで移住するのはやめとけ」「その土地の厳しさや、自分に求められる覚悟を理解せずに、夢だけを追いかけるのは危険だ」という、経験者や地元の人々からの、真摯なアドバイスだと捉えていただければと思います。
「北海道移住はやめとけ」と言われる、その主な理由（デメリットやリスク）の再確認です。
- 厳しい寒さ、大量の雪、長い冬、そして毎日の雪かきなど、想像を絶する「冬の厳しさ」。
- 求人の種類や数が限られ、給与水準も低い傾向にあるなど、仕事探しと経済的な安定の難しさ。
- 冬の暖房費や、自動車が必須となることによる車両維持費など、思った以上にかかる生活費。
- 都市部以外では、買い物や医療、教育、公共交通機関などの生活インフラが不便な場合が多いこと。
- 閉鎖的なコミュニティや、地域特有の人間関係に馴染めず、「よそ者」扱いされる可能性。
- 「スローライフ」という理想とは程遠い、冬の厳しさや地域活動などで忙しい現実とのギャップ。
- ヒグマやエゾシカといった野生動物との遭遇リスクや、農作物被害、感染症への注意が必要なこと。
それでも北海道移住という夢を実現したいなら、これらの心構えと具体的な準備が不可欠です。
- 「なぜ北海道なのか」「北海道で何をしたいのか」という明確な目的と強い動機を持つ。
- 移住希望先の情報を徹底的に収集し、必ず夏と冬の両方の時期に現地視察を行い、可能であれば「お試し移住」も体験する。
- 移住前に仕事と住まいを確保し、経済的な基盤と生活の拠点をしっかりと固める。
- 冬の厳しさを甘く見ず、防寒対策、住宅の寒冷地仕様、雪かき、雪道運転など、具体的な準備と覚悟を持つ。
- 積極的に地域コミュニティへ参加し、地元の人々と良好な人間関係を築く努力をする。
最終的に北海道へ移住するかどうかを決めるのは、他の誰でもない、あなた自身です。この記事でお伝えした情報が、皆さんが北海道移住という大きな決断について多角的に理解を深め、ご自身のライフプランや価値観と照らし合わせて、後悔のない賢明な判断をするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
どうぞ、じっくりと考え、情報を吟味し、そしてもしその道を選ばれるのであれば、周到な準備と強い覚悟を持って、素晴らしい北海道ライフを実現してください。あなたの未来が、実り豊かで幸せなものとなることを心から願っています。応援しています。
