ディーゼル車はやめとけ!買うな、後悔する前に知るべき7つのデメリット

やめとけ

「ディーゼル車って、燃費が良くてパワフルだって聞くし、燃料代も安いからお得なのかな?」「SUVとか大きな車に乗りたいけど、ガソリン車だと維持費が心配…ディーゼルなら大丈夫かな?」そんな風に考えて、ディーゼル車の購入を検討されている方もいらっしゃるかもしれませんね。確かに、ディーゼルエンジンには魅力的な特徴がたくさんあります。

でも、インターネットで「ディーゼル車 やめとけ」とか「ディーゼル車 後悔」「故障しやすい」なんて言葉を目にすると、「えっ、何か問題があるの?」「本当に自分に合っているのかな…」と、ちょっと不安になってしまいませんか?

この記事では、ディーゼル車の購入に関心をお持ちの皆さんに向けて、なぜ安易な選択が後悔に繋がることがあるのか、その具体的な理由を7つ、そして、それでもディーゼル車を選びたい場合に後悔しないためのチェックポイントなどを、私なりに詳しく、そして分かりやすく解説していきたいと思います。決してディーゼル車そのものを全面的に否定したいわけではないんですよ。ただ、その力強い走りの裏には、知っておいてほしい大切なことがあるんです。

この記事でお伝えしたいこと

  • ディーゼル車ってどんな車?ガソリン車との違いと基本的なメリット・デメリット
  • なぜディーゼル車の購入を「やめとけ」と言われることがあるのか、具体的な7つの理由
  • それでもディーゼル車を選びたい場合に後悔しないための賢い選び方と注意点
  • ディーゼル車購入で失敗しないための最終チェックポイント
  1. ディーゼル車ってどんな車? ガソリン車との違いと基本知識
    1. ディーゼルエンジンの仕組みとガソリンエンジンとの違い
    2. ディーゼル車のメリット – 燃費、トルク、燃料代
    3. ディーゼル車のデメリット – 車両価格、メンテナンス、環境規制
  2. ここが問題!ディーゼル車購入はやめた方がいい7つの理由
    1. 【理由1】車両価格の高さと「元が取れない」問題 – 本当にお得なの?
    2. 【理由2】DPF・AdBlue®など特有のメンテナンスと費用 – 「ちょい乗り」には不向き
      1. DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の問題
      2. AdBlue®(アドブルー)の補充
    3. 【理由3】エンジンオイル交換費用が高い・頻度が多い? – 専用オイルとシビアコンディション
    4. 【理由4】独特のエンジン音・振動が気になる人も – 静粛性重視ならガソリン車かHV
    5. 【理由5】将来的な環境規制強化のリスク – 世界的な「脱ディーゼル」の潮流
    6. 【理由6】軽油の品質と給油時の注意点 – 間違い給油や凍結のリスクも
      1. セルフスタンドでの間違い給油
      2. 軽油の凍結リスク(寒冷地)
    7. 【理由7】選択肢の減少とリセールバリューへの影響 – 人気の陰りと将来性
  3. それでもディーゼル車を選びたいあなたへ – 後悔しないための賢い選び方
    1. 本当にディーゼル車があなたに合っているか?利用シーンと年間走行距離の再確認
    2. 車種選びは慎重に – DPF再生性能、AdBlue®の有無、静粛性などを比較
    3. 必ず試乗を! – エンジン音、振動、加速感を自分の感覚で確かめる
    4. メンテナンス計画と維持費の見積もり – 長く乗るための準備
    5. 将来の環境規制やリセールバリューも考慮に入れる(長期保有の場合)
  4. 【総括】ディーゼル車購入で後悔しないために – やめた方がいい理由の再確認

ディーゼル車ってどんな車? ガソリン車との違いと基本知識

まずは、「ディーゼル車」がどんな仕組みで動き、ガソリン車とはどう違うのか、基本的なところから一緒におさらいしてみましょうか。

「軽油で走る車でしょ?」というくらいの認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、そのメリットやデメリットを理解するためには、もう少し詳しく知っておくことが大切なんですよ。

ディーゼルエンジンの仕組みとガソリンエンジンとの違い

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは、どちらも燃料を燃やして動力を得る「内燃機関」の一種ですが、その燃料の着火方法に大きな違いがあります。

  • ガソリンエンジン:空気とガソリンを混ぜた混合気に、点火プラグで火花を飛ばして着火・爆発させます。
  • ディーゼルエンジン:まず空気をシリンダー内で高温・高圧に圧縮し、そこに軽油を噴射することで、自然発火(自己着火)させて爆発させます。点火プラグは使いません。

この着火方法の違いから、ディーゼルエンジンには以下のような特徴が生まれます。

  • 高い圧縮比:空気を高温にするために、ガソリンエンジンよりもはるかに高い圧力で圧縮します。これにより、熱効率が良くなります。
  • 太いトルク:低回転域から大きな力(トルク)を発生しやすいため、坂道発進や荷物をたくさん積んだ時でも力強い加速が得られます。
  • 燃料(軽油)の特性:ガソリンよりも引火点が高く、粘り気があります。

昔のディーゼル車というと、「ガラガラうるさい」「黒い煙を出す」「遅い」といったネガティブなイメージがあったかもしれません。しかし、近年の「クリーンディーゼル」と呼ばれる新しい技術を搭載したディーゼル車は、これらの問題点を大幅に改善し、静粛性や環境性能も向上しているんですよ。

ディーゼル車のメリット – 燃費、トルク、燃料代

そんなディーゼル車には、ガソリン車にはない、いくつかの魅力的なメリットがありますよね。

  • 燃費が良い:一般的に、同じ排気量のガソリン車と比較して、ディーゼル車の方が燃費が良い傾向にあります。これは、ディーゼルエンジンの方が熱効率が高く、燃料をより効率的にエネルギーに変換できるためです。長距離をよく運転する方にとっては、大きなメリットになりますね。
  • トルクが太くパワフルな走り:特に低回転域から力強いトルクを発生するため、アクセルを踏み込んだ時の加速感や、坂道を登る時の力強さは、ディーゼル車ならではの魅力です。重い荷物を積んだり、大人数で乗ったりする機会が多い方にも適しています。
  • 燃料(軽油)が比較的安い:日本では、ガソリン(レギュラー、ハイオク)よりも軽油の方が税金が安く設定されているため、1リットルあたりの燃料価格が安い傾向にあります。燃費の良さと合わせて、燃料代を抑えられるのは嬉しいポイントです。
  • CO2排出量が比較的少ない:燃費が良いということは、同じ距離を走るのに必要な燃料が少ないということ。そのため、二酸化炭素(CO2)の排出量も、同クラスのガソリン車と比較して少なくなる傾向があります。

これらのメリットから、特に長距離移動が多い方や、力強い走りを求める方、そして燃料代を節約したいと考える方に、ディーゼル車は選ばれることが多いようです。

ディーゼル車のデメリット – 車両価格、メンテナンス、環境規制

一方で、ディーゼル車には知っておかなければならないデメリットや注意点も存在します。

  • 車両価格が比較的高い:ディーゼルエンジンは、高い圧縮比に耐えるための頑丈な構造や、排出ガスを浄化するための高度な装置(DPFや尿素SCRシステムなど)が必要になるため、同じ車種のガソリン車と比較して、車両本体価格が高くなる傾向があります。
  • 特有のメンテナンスが必要な場合がある:排出ガス浄化装置であるDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)は、走行中に溜まったPM(粒子状物質)を燃焼させて除去する「再生」という作業を自動で行いますが、短距離走行が多いと再生がうまくいかず、警告灯が点灯したり、手動での再生や交換が必要になったりすることがあります。また、尿素SCRシステム搭載車は、定期的にAdBlue®(アドブルー:高品位尿素水)を補充する必要があります。
  • エンジン音や振動が気になる場合がある:近年のクリーンディーゼルは大幅に改善されていますが、それでもガソリン車と比較すると、特有のエンジン音(ガラガラ音)や振動を感じやすい場合があります。特にアイドリング時や低速走行時に気になるかもしれません。
  • 環境規制の影響を受けやすい:国や地域によっては、ディーゼル車に対する排出ガス規制が強化されたり、特定のエリアへの乗り入れが制限されたりする動きがあります。将来的に、規制がさらに厳しくなる可能性もゼロではありません。
  • 軽油の凍結リスク(寒冷地):軽油は低温になると流動性が低下し、凍結する(ワックス分が析出する)ことがあります。寒冷地では、凍結しにくい「寒冷地用軽油」が販売されていますが、注意が必要です。

これらのデメリットを理解せずに購入してしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と後悔することになりかねません。

「クリーンディーゼル」という言葉は、環境性能が向上したことを示しますが、それが全てのデメリットを解消したわけではない、ということを覚えておく必要がありますね。例えば、マツダのSKYACTIV-Dエンジンや、欧州メーカーの最新ディーゼルエンジンは高い評価を受けていますが、それでもディーゼル特有の特性は残ります。

ここが問題!ディーゼル車購入はやめた方がいい7つの理由

それでは、ここからが本題です。なぜ、燃費が良くてパワフルという大きな魅力があるはずのディーゼル車が、時として「やめとけ」「後悔した」と言われてしまうことがあるのでしょうか。その具体的な理由を7つ、詳しく解説していきますね。

これらは、ディーゼル車を選ぶ際に必ず考慮しなければならない、現実的な課題です。ご自身の車の使い方や価値観と照らし合わせながら、じっくりと考えてみてください。

【理由1】車両価格の高さと「元が取れない」問題 – 本当にお得なの?

ディーゼル車の最大のメリットの一つは「燃料代の安さ」ですが、その恩恵を受けるためには、まず初期費用の高さというハードルを越えなければなりません。

【デメリット】でも触れましたが、ディーゼル車は同クラス・同グレードのガソリン車と比較して、車両本体価格が数十万円単位で高くなることが一般的です。この価格差は、高度なエンジン構造や排出ガス浄化装置のコストによるものです。

「燃料代が安いから、たくさん乗ればすぐに元が取れるでしょ?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?

この初期費用の差額を、燃料代の差額(ガソリン代と軽油代の差額 × 走行距離に応じた燃料消費量)で回収しようとすると、かなりの長距離を走行しなければならないケースが多いのです。

例えば、車両価格差が30万円、ガソリンと軽油の価格差が1リットルあたり20円、実燃費がガソリン車15km/L、ディーゼル車20km/Lと仮定した場合(あくまで単純な例です)、どのくらいの距離を走れば元が取れるか計算してみると、想像以上に長い距離が必要になることが分かります。

年間走行距離が短い方や、数年で車を買い替える予定の方にとっては、燃料代のメリットを享受する前に車を手放すことになり、結果的にガソリン車よりも高くついてしまう可能性も十分にあり得るのです。

「ディーゼルの方が維持費安いと思って買ったけど、初期費用が高かったから、まだ全然元取れてない気がする。年間1万キロも乗らないから、ガソリン車で良かったかも…。」(ディーゼル車オーナーの声、架空)

購入前には、ご自身の年間走行距離や車の保有期間を考慮し、「本当にディーゼル車の方が経済的なのか」を、具体的な数値でシミュレーションしてみることが非常に大切です。

【理由2】DPF・AdBlue®など特有のメンテナンスと費用 – 「ちょい乗り」には不向き

クリーンディーゼル車には、排出ガスを浄化するための高度な装置が搭載されていますが、これらが時として特有のメンテナンスや費用発生の原因となることがあります。

DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の問題

DPFは、排気ガス中のPM(粒子状物質、いわゆるスス)を捕集するフィルターです。フィルターに溜まったPMは、一定の条件(エンジンが高温になるなど)で自動的に燃焼させて除去する「再生」という作業が行われます。

しかし、以下のような運転スタイルが多いと、DPFの再生がうまくいかず、問題が発生しやすくなります。

  • 短距離走行(ちょい乗り)ばかり:エンジンが十分に温まらず、DPF再生に必要な温度に達しない。
  • 低速走行が多い(渋滞など):DPF再生が途中で中断されてしまう。

DPF再生が正常に行われないと、警告灯が点灯したり、エンジンの出力が低下したりといった不具合が生じることがあります。最悪の場合、DPFが詰まってしまい、高額な洗浄費用や交換費用(数十万円かかることも!)が発生する可能性もあるのです。

「週末に近所のスーパーへ買い物に行くだけ」といった「ちょい乗り」がメインの方にとっては、DPFのトラブルは大きな悩みの種になりかねません。

AdBlue®(アドブルー)の補充

一部のクリーンディーゼル車(特に欧州車や大型車に多い)には、NOx(窒素酸化物)を浄化するために「尿素SCRシステム」が搭載されており、これにはAdBlue®という高品位尿素水を定期的に補充する必要があります。

AdBlue®自体はそれほど高価ではありませんが、補充の手間がかかりますし、もしタンクが空になってしまうと、エンジンが再始動できなくなる車種もあります。長距離ドライブの前などには、残量を確認しておく必要がありますね。

これらのディーゼル車特有のメンテナンスは、ガソリン車にはない手間や費用であり、購入前にしっかりと理解しておくべきポイントです。

【理由3】エンジンオイル交換費用が高い・頻度が多い? – 専用オイルとシビアコンディション

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンとは異なる特性を持っているため、エンジンオイルにも専用のものが指定されていることが多く、その交換費用や交換頻度についても注意が必要です。

  • 専用オイルの価格:ディーゼルエンジン用オイル(特にクリーンディーゼル対応のDL-1規格など)は、ガソリンエンジン用オイルと比較して高価な場合があります。
  • オイル交換頻度:メーカーや車種、使用状況によって異なりますが、ディーゼルエンジンは構造上、エンジンオイルが汚れやすい(ススが混入しやすい)傾向があるため、ガソリン車よりもオイル交換の推奨頻度が高い(または走行距離が短い)場合があります。
  • シビアコンディションでの影響:短距離走行の繰り返しや、渋滞路での走行が多いといった「シビアコンディション」下では、メーカーが指定する標準的な交換時期よりも早めにオイル交換が必要になることがあります。これはDPFの再生とも関連してきます。

エンジンオイルは、エンジンの潤滑や冷却、清浄といった重要な役割を担っており、定期的な交換はエンジンの寿命を保つために不可欠です。このオイル交換にかかる費用や手間が、ガソリン車よりも多くなる可能性がある、ということは覚悟しておいた方が良いでしょう。

「オイル交換なんて、そんなに気にしなくても大丈夫でしょ?」と安易に考えていると、エンジントラブルの原因になったり、DPFの詰まりを助長したりする可能性も否定できません。

購入を検討しているディーゼル車の取扱説明書をよく読み、推奨されるオイルの種類や交換時期、そしてご自身の乗り方がシビアコンディションに該当しないかなどを、事前に確認しておくことが大切ですね。

【理由4】独特のエンジン音・振動が気になる人も – 静粛性重視ならガソリン車かHV

近年のクリーンディーゼルは、技術の進歩により、かつてのような大きな騒音や振動は大幅に改善されました。車内にいれば、ディーゼル車であることを忘れてしまうほど静かなモデルも増えています。

しかし、それでもガソリンエンジン車やハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)と比較すると、ディーゼル特有のエンジン音(カラカラ、ガラガラといった音)や振動を感じやすい場面があるのは否めません。

特に、

  • アイドリング時:信号待ちなどで停車している際に、ディーゼル特有の音や振動が伝わってくる。
  • 低速走行時や加速時:エンジン回転数が低い状態からアクセルを踏み込んだ際に、ディーゼルらしい音や振動が目立つことがある。
  • 車外での音:車内にいれば静かでも、車外ではディーゼルエンジン特有の音が聞こえる。

といった場合に、気になる方がいらっしゃるようです。

この音や振動の感じ方は、個人差が非常に大きいです。「力強くて頼もしい音だ」と感じる人もいれば、「やっぱりガソリン車の方が静かで快適だ」と感じる人もいます。

もし、車の静粛性や滑らかな乗り心地を非常に重視するのであれば、ディーゼル車は少し期待外れに終わってしまうかもしれません。その場合は、静粛性に優れたガソリン車や、モーター走行が可能なハイブリッド車、あるいは電気自動車などを検討した方が、満足度は高くなるでしょう。

「試乗した時はあまり気にならなかったけど、実際に毎日乗ってると、やっぱり信号待ちの時のカラカラ音がちょっと気になるかな。前のガソリン車はもっと静かだったから…。」(ディーゼル車に乗り換えた人の感想、架空)

購入前には、必ず試乗をして、様々な走行シーン(アイドリング、低速、加速、高速など)で、エンジン音や振動が自分の許容範囲内かどうかを確認することが大切です。できれば、同乗者にも意見を聞いてみると良いでしょう。

【理由5】将来的な環境規制強化のリスク – 世界的な「脱ディーゼル」の潮流

現在、世界的に地球温暖化対策や大気汚染防止への関心が高まっており、自動車に対する環境規制は年々強化される傾向にあります。特に、ディーゼル車から排出されるNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)は、大気汚染の原因の一つとして問題視されてきました。

クリーンディーゼル技術によってこれらの排出量は大幅に削減されましたが、それでも「脱ディーゼル」や「ガソリン車も含めた内燃機関車の販売禁止」といった動きが、一部の国や地域で見られます。

例えば、欧州連合(EU)では、2035年までにハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する方針が示されていますし、日本でも政府が2030年代半ばまでに新車販売を電動車(EV、FCV、HV、PHEV)にする目標を掲げています。(これらの政策は変更される可能性もありますので、最新情報をご確認ください。)

こうした世界的な潮流の中で、

  • 将来的に、ディーゼル車に対する税金が重くなったり、補助金が打ち切られたりする可能性
  • 特定の都市部への乗り入れが制限されたり、禁止されたりする可能性
  • 中古車として売却する際の査定額が、思ったよりも低くなってしまう可能性

といったリスクが考えられます。

「まだ先の話でしょ?」と思うかもしれませんが、車は長く乗るものですし、購入時の状況が数年後も同じとは限りません。特に、これから10年以上ディーゼル車に乗り続けようと考えている方は、こうした将来的な環境規制の動向も、ある程度は考慮に入れておく必要があるでしょう。

もちろん、すぐに全てのディーゼル車が乗れなくなるわけではありませんし、日本のクリーンディーゼル技術は世界的に見ても高いレベルにあります。しかし、「環境に配慮した車を選びたい」という意識が高まっている中で、ディーゼル車が今後どのような位置づけになっていくのか、不透明な部分があることは否めません。

【理由6】軽油の品質と給油時の注意点 – 間違い給油や凍結のリスクも

ディーゼル車の燃料は「軽油」ですが、この軽油に関しても、いくつか注意しておきたい点があります。

セルフスタンドでの間違い給油

意外と多いのが、セルフサービスのガソリンスタンドで、誤ってディーゼル車にガソリンを入れてしまう「間違い給油」です。もし間違ってガソリンを入れてエンジンをかけてしまうと、エンジン内部の潤滑不良や燃料噴射系の故障など、重大なエンジントラブルを引き起こす可能性があります。修理費用も高額になることが多いです。

普段ガソリン車に乗り慣れている方が、たまたま家族のディーゼル車を運転した時や、レンタカーでディーゼル車を借りた時などに、うっかり間違えてしまうケースが後を絶ちません。

給油口の色(一般的にガソリンは赤、軽油は緑)や、ノズルの太さ(軽油の方が太い)などで区別できるようにはなっていますが、給油前には必ず「軽油」であることを再確認する習慣をつけることが大切です。

軽油の凍結リスク(寒冷地)

【デメリット】でも触れましたが、軽油はガソリンに比べて低温で流動性が低下しやすく、凍結(正確にはワックス分が析出して詰まる)しやすい性質があります。

特に気温が氷点下になるような寒冷地では、通常の軽油(JIS規格で1号、2号など)だと、燃料フィルターが詰まってエンジンがかからなくなってしまうことがあります。

そのため、寒冷地では冬場になると、凍結しにくい「3号軽油」や「特3号軽油」といった寒冷地仕様の軽油が販売されています。スキーやスノーボードなどで寒い地域へ行く際には、現地で給油するか、出発前に燃料添加剤(凍結防止剤)を入れるなどの対策が必要になる場合があります。

「軽油ならどれも同じでしょ?」と思っていると、思わぬトラブルに見舞われるかもしれませんね。

【理由7】選択肢の減少とリセールバリューへの影響 – 人気の陰りと将来性

世界的な電動化の流れや、一部地域でのディーゼル車規制の動きを受けて、自動車メーカー各社がディーゼル車の開発・販売から徐々に撤退、あるいは縮小する動きが見られます。

その結果、

  • 新車で購入できるディーゼル車の選択肢が、以前に比べて減ってきている。特に、小型車やセダンタイプのディーゼル車は少なくなっており、SUVや一部のミニバン、商用車などが中心になりつつあります。
  • 将来的に、ディーゼル車の中古車市場での人気が低下し、リセールバリュー(売却時の価格)が思ったよりも低くなってしまう可能性。需要と供給のバランスが崩れれば、ガソリン車やハイブリッド車に比べて、不利な査定額になることも考えられます。

といった影響が出てくる可能性があります。

「今はまだ人気があるから大丈夫」と思っていても、数年後、数十年後には、ディーゼル車を取り巻く環境が大きく変わっているかもしれません。

もし、できるだけ多くの車種から選びたい、あるいは将来的なリセールバリューも重視したい、と考えているなら、ディーゼル車以外の選択肢(ガソリン車、ハイブリッド車、EVなど)も、より積極的に比較検討する必要があるでしょう。

もちろん、マツダのようにディーゼルエンジン技術に強みを持ち、積極的に開発を続けているメーカーもありますし、欧州車の中には魅力的なディーゼルモデルも存在します。しかし、業界全体の大きな流れとして、「脱ディーゼル」の方向に向かっていることは、認識しておくべきかもしれませんね。

それでもディーゼル車を選びたいあなたへ – 後悔しないための賢い選び方

ここまで、ディーゼル車の購入を検討する上で注意しておきたいポイントや、「やめとけ」と言われることがある理由を詳しくお話ししてきました。もしかしたら、「やっぱりディーゼル車はやめておこうかな…」「思っていたよりデメリットが多いな…」と、少し気持ちが揺らいでしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、これらの課題やリスクを理解した上で、それでも「ディーゼル車の力強いトルク感が好き!」「長距離運転が多いから、燃費の良さは捨てがたい!」「あの独特のエンジン音も魅力だ!」という強い想いをお持ちの方も、きっといらっしゃると思います。そのこだわりは、とてもよく分かりますし、ご自身の使い方に合っていれば、ディーゼル車は素晴らしい相棒になってくれますよね。

そんな皆さんに向けて、この章では、ディーゼル車を選んで後悔しないために、どんな点に注意して、どんな賢い選び方をすれば良いのか、具体的なアドバイスをお伝えしたいと思います。

本当にディーゼル車があなたに合っているか?利用シーンと年間走行距離の再確認

まず、何よりも大切なのは、ご自身の車の利用シーンや年間走行距離を再確認し、それが本当にディーゼル車のメリットを活かせるものなのかを、もう一度冷静に考えてみることです。

なんとなく「燃費が良いから」「燃料代が安いから」というイメージだけで選んでしまうと、後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性が高まってしまいます。

以下の点を、具体的に振り返ってみてください。

  • 主な運転の目的は何か?(毎日の通勤・通学? 週末の買い物やレジャー? 長距離の帰省や旅行? 仕事での荷物運搬?)
  • 1回の走行距離はどれくらいが多いか?(数キロ程度の「ちょい乗り」が多い? 1回に数十キロ以上走ることが多い?)
  • 年間の総走行距離は、おおよそどれくらいになりそうか?(5,000km未満? 10,000km前後? 20,000km以上?)
  • 高速道路を利用する頻度は?
  • 坂道や山道を走る機会は多いか?
  • 乗車人数や積載する荷物の量は?

これらの点を具体的にすることで、先ほど挙げたディーゼル車の「気になる点」が、ご自身にとって許容できる範囲なのか、それとも大きな問題になるのかが見えてくるはずです。

例えば、「毎週末、家族でキャンプに出かけ、高速道路を使って長距離を走り、たくさんの荷物を積む」という方なら、ディーゼル車の燃費の良さとトルクフルな走りは、大きなメリットになるでしょう。DPFの再生問題も起こりにくいかもしれません。

しかし、「主な用途は、片道数キロの子供の送り迎えと、近所のスーパーへの買い物。年間走行距離も5,000km未満」という方にとっては、ディーゼル車の車両価格の高さやDPFトラブルのリスクを考えると、ガソリン車やハイブリッド車の方が適している可能性が高いです。

ディーゼル車のメリットを最大限に享受できるのは、やはり「ある程度の長距離を、コンスタントに走行する」という使い方です。ご自身のカーライフがそれに合致するかどうか、じっくりと考えてみてくださいね。

車種選びは慎重に – DPF再生性能、AdBlue®の有無、静粛性などを比較

もし、自分の使い方にディーゼル車が合っていると判断できたなら、次に重要になるのが具体的な車種選びです。同じディーゼル車でも、メーカーやモデルによって、性能や特性、そして搭載されている技術は大きく異なります。

以下の点を、特に注意して比較検討しましょう。

  • DPFの再生性能・信頼性:メーカーによって、DPFの再生制御技術には差があります。口コミやレビューなどを参考に、特定の車種でDPF関連のトラブル報告が多くないか、確認してみるのも良いでしょう。また、DPFの強制再生機能が付いているかなどもチェックポイントです。
  • AdBlue®(尿素SCRシステム)の有無:AdBlue®の補充が手間に感じる方は、そもそも尿素SCRシステムを搭載していないディーゼル車(比較的小排気量のモデルに多い)を選ぶという選択肢もあります。ただし、その場合はNOx排出量などの環境性能で若干劣る可能性も。
  • 静粛性・振動対策:同じディーゼルエンジンでも、遮音材や吸音材の使われ方、エンジンマウントの工夫などによって、車内の静粛性や振動の伝わりにくさは大きく変わってきます。試乗の際には、この点を特に意識して確認しましょう。
  • エンジンオイルの種類と交換サイクル:メーカーが推奨するエンジンオイルの種類や規格、そして交換サイクル(距離または期間)を確認し、維持費の見積もりに含めておきましょう。
  • 車両重量とエンジントルクのバランス:あまりにも車重が重いのにエンジントルクが小さいと、ディーゼル車らしい力強さを感じられないこともあります。逆に、軽量なボディにトルクフルなエンジンなら、非常に軽快な走りを楽しめるでしょう。
  • 搭載されている安全装備や快適装備:ディーゼル車であること以外の、基本的な装備内容ももちろん重要です。

「ディーゼル車ならどれも同じ」ということは決してありません。ご自身の優先順位(燃費、パワー、静粛性、維持費、環境性能など)を明確にし、それに最も合致する一台を、時間をかけてじっくりと探すことが大切ですよ。

マツダのSKYACTIV-D、メルセデス・ベンツのBlueTEC、BMWのBluePerformanceなど、各社が独自のディーゼル技術を開発しています。それぞれの特徴を調べてみるのも面白いかもしれませんね。

必ず試乗を! – エンジン音、振動、加速感を自分の感覚で確かめる

カタログやネットの情報、あるいは他人の評判だけでは分からないのが、実際の運転感覚、特にエンジン音や振動、そして加速フィーリングです。これらは、ご自身の感覚で確かめるのが一番確実です。

気になるディーゼル車が見つかったら、必ず販売店で試乗させてもらいましょう。その際には、以下の点を意識してチェックしてみてくださいね。

  • アイドリング時の音と振動:エンジンをかけた直後や、信号待ちなどで停車している際に、車内や車外でどれくらいのエンジン音や振動が感じられるか。
  • 発進時・低速走行時の音と振動、加速感:アクセルをゆっくり踏み込んだ時の反応はどうか。ディーゼル特有のトルク感は感じられるか。音や振動は気になるレベルか。
  • 通常走行時・加速時の音と振動、加速感:ある程度スピードに乗ってからの加速はスムーズか。追い越し加速などで十分なパワーを感じられるか。エンジン音は心地よいと感じるか、それともうるさいと感じるか。
  • 高速走行時の静粛性:高速道路を模したような状況(バイパスなど)で、エンジン音、ロードノイズ、風切り音などがどの程度気になるか。
  • 坂道での走行性能:可能であれば、坂道での発進や登坂を試してみて、ディーゼルの力強さを体感してみましょう。
  • ガソリン車との比較(可能であれば):もし同じ車種にガソリンモデルがあれば、乗り比べてみることで、ディーゼルの特徴がより明確に分かるでしょう。

短時間の試乗では全てを把握するのは難しいかもしれませんが、それでも「自分にこの車のフィーリングは合うか」「この音や振動は許容範囲か」といった、フィーリング面での相性を確認するためには非常に重要です。

「思ったより静かで力強い!」と感じるかもしれませんし、「やっぱりちょっと音が気になるな…」と感じるかもしれません。その素直な感覚を大切にしてくださいね。

メンテナンス計画と維持費の見積もり – 長く乗るための準備

ディーゼル車を長く快適に乗り続けるためには、適切なメンテナンスと、それに伴う維持費を事前に計画しておくことが大切です。【理由2】や【理由3】でも触れたように、ディーゼル車特有のメンテナンスポイントがありますので、それらを考慮に入れた長期的な視点が必要になります。

  • DPFのケア:ご自身の乗り方(ちょい乗りが多いか、長距離が多いか)を把握し、DPFの再生がスムーズに行われるような運転を心がけるか、あるいは定期的に高速道路を走るなどの対策を計画しましょう。DPF洗浄剤などのケミカル用品の利用も検討するかもしれません。
  • AdBlue®の補充計画(搭載車の場合):AdBlue®の消費量は走行状況によって変わりますが、おおよその補充サイクルを把握し、補充の手間や費用を見積もっておきましょう。
  • エンジンオイル交換:メーカー推奨の交換サイクルを守り、適切な規格のオイルを選ぶことが重要です。オイル交換費用も年間の維持費に含めて計算しておきましょう。
  • 燃料フィルターの交換:ディーゼルエンジンは燃料の品質に敏感なため、燃料フィルターの定期的な交換も重要です。
  • その他消耗品の交換:タイヤ、バッテリー、ブレーキパッドなど、ガソリン車と同様に必要な消耗品の交換費用も考慮に入れておきましょう。ディーゼル車は車重が重い場合があり、タイヤやブレーキへの負担が大きいこともあります。
  • 車検費用:基本的な車検費用はガソリン車と大きく変わりませんが、上記のメンテナンス項目によっては、車検時に追加の費用が発生する可能性も。

これらのメンテナンス項目と費用をリストアップし、年間の維持費がどれくらいになるのか、そしてそれがご自身の予算内で無理なく支払える範囲なのかを、購入前にしっかりとシミュレーションしておくことが、後悔しないための重要なステップです。

「買ってから、思ったより維持費がかかって大変…」とならないように、現実的な計画を立てましょう。

将来の環境規制やリセールバリューも考慮に入れる(長期保有の場合)

もし、購入したディーゼル車に10年以上といった長期間乗り続けることを考えているのであれば、将来的な環境規制の動向や、その時のリセールバリュー(売却価格)についても、少し頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。【理由5】や【理由7】でも触れたように、ディーゼル車を取り巻く環境は、今後変化していく可能性があるからです。

もちろん、未来のことを正確に予測するのは誰にもできません。しかし、

  • 「この先、ディーゼル車に対する税金が上がったり、規制が厳しくなったりするかもしれないな…」
  • 「10年後にこの車を売ろうと思った時、ディーゼル車はあまり人気がなくて、思ったより安くしか売れないかもしれないな…」

といった可能性も、ゼロではないということを理解しておくことは大切です。これが、車の総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)にも影響してくるわけです。

だからといって、過度に悲観的になる必要はありません。日本のクリーンディーゼル技術は高いですし、すぐに全てのディーゼル車が乗れなくなるわけでもありません。ただ、「長期的に見ると、もしかしたらガソリン車やハイブリッド車の方が、経済的な負担や社会的な受容性の面で有利になるかもしれない」という視点も持っておくことで、よりバランスの取れた判断ができるのではないでしょうか。

特に、「環境性能を重視したい」「将来的な資産価値も気になる」という方は、ディーゼル車以外の選択肢(例えば、最新のハイブリッド車や、今後普及が進むであろうEVなど)も、より積極的に比較検討してみる価値があると思いますよ。

【総括】ディーゼル車購入で後悔しないために – やめた方がいい理由の再確認

さて、今回はディーゼル車について、「やめとけ」と言われることがある理由を中心に、そのメリットとデメリット、そしてもし購入する場合の賢い選び方などをお話ししてきました。

力強い走りと優れた燃費性能が魅力のディーゼル車ですが、その一方で、車両価格の高さや特有のメンテナンス、そして将来的な環境規制への懸念など、購入前にしっかりと理解しておくべき課題も少なくないことをお分かりいただけたでしょうか。

最後にもう一度、ディーゼル車の購入を慎重に考えるべき理由をまとめておきますね。

  • 理由1:車両価格の高さと「元が取れない」問題
    初期費用を燃料代で回収するには、かなりの長距離走行が必要です。
  • 理由2:DPF・AdBlue®など特有のメンテナンスと費用
    「ちょい乗り」が多いとDPFトラブルのリスクがあり、AdBlue®の補充も必要です。
  • 理由3:エンジンオイル交換費用が高い・頻度が多い可能性
    専用オイルが必要で、交換サイクルも短い場合があり、維持費がかさむことがあります。
  • 理由4:独特のエンジン音・振動が気になる人も
    静粛性や滑らかな乗り心地を重視する方には、ガソリン車やHVの方が適しているかもしれません。
  • 理由5:将来的な環境規制強化のリスク
    世界的な「脱ディーゼル」の流れの中で、税金や規制、リセールバリューに影響が出る可能性も。
  • 理由6:軽油の品質と給油時の注意点
    セルフスタンドでの間違い給油や、寒冷地での軽油凍結のリスクがあります。
  • 理由7:選択肢の減少とリセールバリューへの影響
    新車ラインナップが減少し、将来的な中古車市場での人気低下も懸念されます。

これらの点をしっかりと理解し、ご自身の車の使い方や価値観、そして予算と照らし合わせた上で、それでも「ディーゼル車の魅力は捨てがたい!」という強い想いがあるのなら、その選択はきっと後悔のないものになるでしょう。その際には、この記事でお伝えしたような賢い選び方や注意点を守りながら、最適な一台を見つけてくださいね。

大切なのは、イメージや評判だけに流されず、メリットもデメリットも全て理解した上で、ご自身にとって本当に価値のある選択をすることです。

この記事が、皆さんのカーライフにとって、少しでもお役に立てたなら、私も心から嬉しく思います。焦らず、じっくりと比較検討して、長く愛せる素晴らしい相棒を見つけてください。

UTA

会社員。営業職で着実に成果を上げ、年収は本業と副業合わせて1,X00万円。副業は投資とライティング。妻と小学生の娘と3人暮らし。休日は家族サービスと自己研鑽に励む。趣味は映画鑑賞。

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