「もう少し収入を増やしたいな…」「空いた時間を有効活用して、スキルアップもできたら最高！」そんな風に考えて、ダブルワーク（副業）に興味をお持ちの学生さんや、本業だけではちょっと物足りないと感じている社会人の方も、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、インターネットで「ダブルワーク やめとけ」とか「副業 きつい」「ダブルワーク 後悔」なんて、少し気になる言葉を目にすることもありませんか？「本当にダブルワークって、いいことばかりなのかな…？」「自分にも続けられるのかな…？」と、不安に思ってしまうかもしれません。
この記事では、ダブルワークという働き方に関心をお持ちの皆さんに向けて、なぜ安易な気持ちで始めると後悔に繋がってしまうことがあるのか、その具体的な理由を7つ、そして、それでもダブルワークに挑戦したいと考える方のために、どんな点に注意して、どう賢く取り組めば良いのかを、私なりに詳しく、そして分かりやすく解説していきたいと思います。決してダブルワークそのものを否定したいわけではないんですよ。ただ、その魅力的な響きの裏には、知っておいてほしい大切なことがあるんです。
この記事でお伝えしたいこと
- ダブルワーク（副業）ってどんな働き方？そのメリットとデメリットの概要
- なぜダブルワークへの挑戦を「やめとけ」と言われることがあるのか、具体的な7つの理由
- それでもダブルワークを始めたい場合に後悔しないための心構えと賢い始め方
- ダブルワークで失敗しないための最終チェックポイントと注意点
ダブルワーク（副業）ってどんな働き方？ その実態と魅力の裏側
まずは、「ダブルワーク」あるいは「副業」がどんな働き方なのか、基本的なところから一緒におさらいしてみましょうか。
「二つ目の仕事を持つことでしょ？」と単純に考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、その実態や、どんなメリット・デメリットがあるのかを改めて確認しておくことで、この後のお話もより深く理解していただけると思います。
ダブルワーク（副業）の定義と主な形態
ダブルワークとは、一般的に、本業とは別に、もう一つの仕事を持つことを指します。「副業」もほぼ同じ意味で使われることが多いですね。アルバイト、パートタイム、業務委託、フリーランス、あるいは自分で事業を始めるなど、その形態は様々です。
近年では、政府の働き方改革推進の影響もあり、副業を解禁する企業が増えてきていると言われています。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」なども整備され、労働者が多様な働き方を選択できる環境づくりが進められています。（厚生労働省：副業・兼業）
ダブルワークの主な形態としては、以下のようなものが考えられます。
- 時間切り売りのアルバイト・パート：本業が終わった後や休日に、コンビニエンスストア、飲食店、コールセンターなどで働く。
- スキルや経験を活かした専門職：Webデザイン、プログラミング、ライティング、翻訳、コンサルティングなどを、業務委託やフリーランスとして請け負う。
- インターネットを活用した副業：アフィリエイト、ブログ運営、動画編集・配信、オンライン講師、せどり（転売）、ハンドメイド作品の販売など。
- 投資：株式投資、FX、不動産投資など（厳密には労働収入とは異なりますが、収入を増やす手段として選択されることがあります）。
- 週末起業・プチ起業：自分の趣味や特技を活かして、小規模なビジネスを始める。
どの形態を選ぶかによって、必要なスキルや時間、そして得られる収入や経験も大きく変わってきます。
「収入アップ」「スキルアップ」の魅力と、見過ごされがちな現実
ダブルワークを始める方の多くは、以下のような魅力に惹かれているのではないでしょうか。
- 収入の増加：本業の給料だけでは足りない分を補ったり、お小遣いを増やしたり、将来のための貯蓄を増やしたりできる。これが最大の動機になることが多いですよね。
- スキルアップ・キャリアアップ：本業とは異なる分野の仕事に挑戦することで、新しいスキルを身につけたり、自分の視野を広げたりできる。将来の転職や独立に繋がる経験が得られることも。
- 自己実現・やりがい：本業では得られない満足感や達成感を、副業を通じて得られる。自分の好きなことや得意なことを仕事にできる喜びも。
- 人脈の拡大：新しい職場やコミュニティで、本業だけでは出会えなかったような人々と繋がりができる。
- リスク分散：万が一、本業の収入が途絶えてしまった場合でも、副業からの収入があれば、経済的なダメージを軽減できる。
これらのメリットは、確かに魅力的です。特に、自分の力で収入を増やしたり、新しいことに挑戦したりするのは、大きな自信にも繋がりますよね。
でも、どんなことにも光と影があるように、ダブルワークにも見過ごされがちなデメリットや、厳しい現実というものが存在します。
例えば、「収入が増える」と言っても、そのためには貴重なプライベートな時間を犠牲にしなければなりません。「スキルアップできる」と言っても、本業と副業の両立で疲弊してしまい、どちらも中途半端になってしまう可能性もあります。
「空いた時間でちょっと稼げたらいいな」という軽い気持ちで始めると、「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうかもしれません。次の章では、そういったダブルワークの「やめた方がいい」と言われる理由について、具体的に掘り下げていきましょう。
ここが問題！ダブルワークはやめた方がいい7つの理由
それでは、ここからが本題です。なぜ、収入アップやスキルアップといった魅力があるはずのダブルワークが、時として「やめとけ」「きつい」と言われてしまうことがあるのでしょうか。その具体的な理由を7つ、詳しく解説していきますね。
これらは、ダブルワークを始める前に必ず知っておいてほしい、重要な注意点です。ご自身の状況や体力、そして何よりも「何のためにダブルワークをするのか」という目的と照らし合わせながら、じっくりと考えてみてください。
【理由1】心身ともに疲弊困憊！ 本業への支障と健康リスクの増大
ダブルワークを始める上で、最も懸念されるのが心身への過度な負担です。
本業が終わった後や、せっかくの休日に副業をするということは、本来なら休息やリフレッシュに充てるべき時間を削っていることになります。これが長期化すると、
- 慢性的な睡眠不足：副業のために夜遅くまで起きている、あるいは早朝から活動することで、十分な睡眠時間が確保できなくなる。
- 疲労の蓄積：休む暇がなく、常に仕事に追われている状態が続くと、肉体的な疲労はもちろん、精神的な疲労もどんどん蓄積されていく。
- 集中力・判断力の低下：疲労や睡眠不足は、本業のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。仕事中にミスが増えたり、効率が落ちたり、重要な判断を誤ったりする危険性も。
- 免疫力の低下・体調不良：無理を続けることで免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり、持病が悪化したりと、健康を害するリスクが高まります。
- 精神的なストレスの増大：常に時間に追われ、リラックスできる時間が持てないと、イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだり、最悪の場合、うつ病などの精神疾患に繋がることも。
といった問題が生じる可能性があります。
「若いから体力には自信がある！」と思っていても、人間の心身には限界があります。特に、本業が忙しい時期と副業の繁忙期が重なってしまったりすると、想像を絶するようなハードワークになることも覚悟しなければなりません。
実際に、ダブルワーク経験者からは、こんな声も聞かれます。
「最初は『月5万円でも稼げたらラッキー』くらいの気持ちで始めたけど、気づいたら本業も副業も納期に追われて、毎日3時間睡眠とかザラだった。体調崩して本業も休む羽目になって、結局何のためにやってるのか分からなくなった…。」（IT系会社員の体験談、一部表現を調整）
収入が増えても、健康を損ねてしまっては元も子もありませんよね。ダブルワークを始めるなら、自分の体力や精神的なキャパシティを過信せず、無理のない範囲で計画することが何よりも大切です。
【理由2】本業の会社にバレるリスク – 就業規則違反と信頼失墜の可能性
副業を解禁する企業が増えてきているとはいえ、まだまだ副業を全面的に禁止していたり、あるいは許可制にしていたりする企業も少なくありません。
もし、本業の会社の就業規則で副業が禁止されているにもかかわらず、無断でダブルワークを行っていた場合、それが会社に発覚すると、
- 就業規則違反として懲戒処分を受ける可能性：減給、出勤停止、最悪の場合は解雇といった厳しい処分が下されることもあり得ます。
- 会社からの信頼を失う：ルールを守れない社員というレッテルを貼られ、その後の昇進や評価に悪影響が出る可能性があります。
- 職場での人間関係が悪化する：同僚や上司に「自分たちだけが真面目に働いているのに…」と不公平感を抱かせたり、情報漏洩を疑われたりするかもしれません。
といった深刻な事態に発展するリスクがあります。
「バレなければ大丈夫でしょ？」と安易に考えるのは非常に危険です。副業が会社にバレるきっかけとしては、
- 住民税の金額の変動：副業で得た所得によって住民税の金額が変わり、会社の経理担当者に気づかれるケース。 （普通徴収を選択すれば回避できる場合もありますが、確実ではありません。）
- 同僚や取引先からの密告：副業していることを誰かに話してしまったり、SNSなどで発信したりして、そこから会社に情報が伝わるケース。
- 副業先でのトラブル：副業先で何か問題を起こしてしまい、それが本業の会社に知られてしまうケース。
- 疲労による本業への影響：【理由1】で述べたように、副業による疲労で本業のパフォーマンスが著しく低下し、上司に不審に思われるケース。
など、様々な可能性が考えられます。
ダブルワークを始める前には、まず本業の会社の就業規則を必ず確認し、副業が認められているのか、もし許可制ならどのような手続きが必要なのかを、きちんと把握しておくことが絶対条件です。隠れてコソコソやるのは、精神衛生上も良くありませんし、発覚した時のリスクが大きすぎます。
もし副業が禁止されているのに、どうしても収入を増やしたい、あるいはスキルアップしたいという場合は、まずは会社に相談してみるか、あるいは転職を検討するという選択肢も視野に入れるべきかもしれません。
【理由3】思ったより稼げない？ – 時給換算の低さと不安定な収入の現実
「ダブルワークをすれば、簡単に月数万円は稼げるはず！」そんな風に期待している方もいらっしゃるかもしれませんが、現実はそれほど甘くないことが多いんです。
特に、特別なスキルや経験がない状態で始められるアルバイトや、誰でも簡単に始められると言われるネット副業の場合、
- 時給が非常に低い：最低賃金に近い時給で、長時間働かなければまとまった収入にならない。
- 作業時間に対して報酬が見合わない：例えば、データ入力やアンケートモニター、ポイントサイトなどは、コツコツと時間をかけても、ほんのわずかな報酬しか得られないことが多い。
- 初期投資や経費がかかる：せどりやハンドメイド販売などでは、仕入れ費用や材料費、販売手数料などがかかり、利益が思うように出ないことも。
- 収入が不安定：業務委託やフリーランスの場合、仕事が常にあるとは限りません。案件が途切れれば収入もゼロになってしまいます。アフィリエイトやブログなども、すぐに収益化できるわけではなく、長期間無収入が続くことも珍しくありません。
といった壁にぶつかる可能性があります。
「頑張って1ヶ月副業したけど、時給に換算したら数百円だった…」「これなら本業で残業した方がマシだったかも…」なんて、労力と収入が見合わないと感じて、挫折してしまう人も少なくないのです。
「在宅でできるデータ入力の副業始めたけど、1文字0.1円とかで、必死にやっても全然稼げない。肩も凝るし、時間も取られるし、もう割に合わないからやめた。」（主婦の方の体験談、架空）
もちろん、専門的なスキルを活かせる副業や、うまく軌道に乗ったビジネスであれば、高収入を得ることも可能です。しかし、それはほんの一握りであり、多くの場合は「思ったより稼げない」という現実に直面することを覚悟しておく必要があるでしょう。
「楽して稼げる副業」なんてものは、基本的には存在しない、と考えた方が賢明です。
【理由4】確定申告・税金の手続きが面倒 – 知らなかったでは済まされない納税義務
ダブルワークで一定以上の所得（給与所得以外で年間20万円を超える場合など）を得た場合、自分で確定申告を行い、所得税や住民税を納める必要が出てきます。これは、会社員として本業の給料から天引きされているだけでは済まない、大切な義務です。
確定申告の手続きは、慣れていない人にとっては非常に複雑で面倒に感じられるかもしれません。
- 収入や経費の記録・管理：副業で得た収入や、かかった経費（交通費、通信費、材料費など）を、きちんと帳簿につけて記録しておく必要があります。領収書や請求書などの保存も必須です。
- 確定申告書の作成：国税庁のウェブサイトからダウンロードしたり、税務署で入手したりした確定申告書に、必要な情報を記入していきます。会計ソフトやクラウドサービスを利用する方法もありますが、それでもある程度の知識は必要です。
- 税務署への提出：作成した確定申告書を、決められた期間内（通常は翌年の2月16日から3月15日まで）に税務署に提出します。e-Taxを利用すればオンラインで提出することも可能です。
- 納税：確定申告の結果、納めるべき税金があれば、期日までに納付します。
これらの作業を、本業や副業で忙しい中で行うのは、かなりの負担になりますよね。
もし、確定申告を怠ったり、間違った内容で申告したりすると、延滞税や加算税といったペナルティが課される可能性もあります。「知らなかった」「面倒だったから」では済まされないのです。
国税庁のウェブサイトには、確定申告に関する詳しい情報や手引きが掲載されていますので、副業を始める前に必ず確認しておきましょう。また、税理士に相談するという方法もありますが、その場合は別途費用がかかります。
国税庁：副収入などがある方の確定申告
「税金のことなんて難しくて分からない…」と敬遠せず、しっかりと向き合う必要があるんですね。
【理由5】プライベートな時間がなくなる – 友人関係・恋愛・趣味との両立の難しさ
ダブルワークを始めると、必然的に自分の自由な時間が大幅に減少します。
本業が終わった後の夜間や、週末といったプライベートな時間を副業に充てることになるため、
- 友人との付き合いが悪くなる：飲み会や遊びの誘いを断らなければならなかったり、連絡を取る時間が減ったりして、徐々に疎遠になってしまう。
- 恋愛や結婚の機会を逃す：デートをする時間が取れなかったり、出会いの場に出かける余裕がなくなったりして、恋愛から遠ざかってしまう。
- 趣味や自己啓発の時間がなくなる：今まで楽しんでいた趣味に時間を割けなくなったり、スキルアップのための勉強時間が取れなくなったりする。
- 家族と過ごす時間が減る：既婚者の方であれば、パートナーや子供と過ごす時間が減り、家庭内でのコミュニケーション不足や不和の原因になることも。
といった、人間関係や生活の質に関わる問題が生じる可能性があります。
「お金は欲しいけど、友達と遊ぶ時間も大切にしたい」「恋人も作りたいし、趣味も続けたい」そう思っている方にとって、ダブルワークによる時間の制約は、大きなストレスになるでしょう。
ワークライフバランスという言葉がありますが、ダブルワークを始めると、この「ライフ」の部分が大きく犠牲になることを覚悟しなければなりません。「仕事ばかりの毎日で、何のために生きているんだろう…」なんて、虚しさを感じてしまうことにもなりかねません。
もちろん、副業の種類や働き方によっては、ある程度時間をコントロールできる場合もあります。しかし、収入を増やそうとすればするほど、時間に追われる生活になるのは避けられないかもしれませんね。
何を優先し、何を犠牲にするのか、自分の中でしっかりと優先順位をつけておくことが大切です。
【理由6】スキルアップに繋がらない単純作業の可能性 – 時間の切り売りで将来性は？
ダブルワークの目的の一つとして「スキルアップ」を挙げる方も多いと思います。しかし、選ぶ副業の種類によっては、必ずしもスキルアップに繋がるとは限らない、という現実があります。
特に、特別なスキルや経験を必要としない、いわゆる「誰でもできる」系の副業（例えば、工場のライン作業、ポスティング、簡単なデータ入力など）は、時給も低く、単純作業の繰り返しであることが多いです。
こういった仕事は、確かに短期的には収入を得られるかもしれませんが、
- 新しいスキルが身につかない
- キャリアアップに繋がる経験が得られない
- 将来的にAIやロボットに代替される可能性が高い
といったデメリットがあり、長期的な視点で見ると、あまりメリットがないかもしれません。
貴重な時間を費やして副業をするのであれば、ただお金を稼ぐだけでなく、それが自分の将来にとって何かしらのプラスになるような仕事を選びたいですよね。
「今の自分にはスキルがないから、まずは簡単なバイトから…」と考えるのも一つの手ですが、もし将来的にキャリアチェンジを考えていたり、より専門的なスキルを身につけたいと思っていたりするなら、少し遠回りになっても、そういった目標に繋がるような副業を探す努力をすべきです。例えば、未経験でもアシスタントから始められる専門職のアルバイトや、スキル習得を目的としたインターンシップのようなものも、視野に入れてみると良いかもしれません。
「時間の切り売り」をするだけの副業では、いつまで経っても現状から抜け出せない、という事態に陥ってしまう可能性があります。
【理由7】人間関係のトラブルと新たなストレス – 副業先の環境にも注意が必要
新しい職場で働くということは、新たな人間関係を築くということでもあります。本業の職場とは異なる環境で、新しい同僚や上司、お客様と関わることになるわけです。これが、時には新たなストレスの原因になることもあります。
- 副業先の人間関係が合わない：本業の職場とは全く違う雰囲気で、馴染めなかったり、気の合わない人がいたりする。
- 指示系統や仕事の進め方の違い：本業とは異なるルールややり方に戸惑い、スムーズに仕事が進められない。
- コミュニケーション不足による誤解や衝突：副業という立場上、十分なコミュニケーションが取れず、誤解が生じたり、他のスタッフとの間で摩擦が起きたりする。
- 理不尽な要求やハラスメント：残念ながら、副業先でも上司からのパワハラやお客様からのカスハラといった問題に遭遇する可能性はゼロではありません。
「お金を稼ぎに行っただけなのに、余計なストレスまで抱え込むことになった…」なんて、本末転倒ですよね。
特に、本業で人間関係に悩んでいる人が、気分転換のつもりで始めた副業でも、また同じような問題に直面してしまうと、精神的にかなり追い詰められてしまうかもしれません。
副業を選ぶ際には、仕事内容や時給だけでなく、その職場の雰囲気や人間関係についても、可能な範囲で事前に情報を集めておくことが大切です。もし働き始めてみて「どうしても合わない」と感じたら、無理に続けるのではなく、早めに辞めるという決断も必要になるかもしれません。
ダブルワークは、あくまで本業があってこそのものです。副業でのストレスが原因で、本業にまで悪影響が出てしまうような事態は、絶対に避けなければなりません。
それでもダブルワークを始めたいあなたへ – 後悔しないための賢い進め方
ここまで、ダブルワークを始める上で注意しておきたいポイントや、「やめとけ」と言われることがある理由について、詳しくお話ししてきました。もしかしたら、「やっぱりダブルワークって大変そうだな…」「自分には無理かもしれない…」と、少し気持ちが萎縮してしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、これらの困難やリスクを理解した上で、それでも「収入を増やして生活を豊かにしたい！」「新しいスキルを身につけてキャリアの幅を広げたい！」という強い意志をお持ちの方も、きっといらっしゃると思います。その前向きな気持ちは、とても素晴らしいものです。
そんな皆さんに向けて、この章では、ダブルワークを始めて後悔しないために、どんな心構えが必要で、どんな賢い進め方をすれば良いのか、具体的なアドバイスをお伝えしたいと思います。
本当にダブルワークが必要か？目的と目標を明確にする
まず、何よりも大切なのは、「なぜ自分はダブルワークをしたいのか？」という目的と、「ダブルワークで何を達成したいのか？」という具体的な目標を明確にすることです。
なんとなく「お金が欲しいから」「時間が余っているから」といった曖昧な理由で始めてしまうと、途中で挫折しやすくなったり、何のために頑張っているのか分からなくなってしまったりする可能性があります。
例えば、
- 目的の例：
- 毎月の生活費の足しにしたい
- 将来のための貯蓄を増やしたい（マイホーム資金、教育資金、老後資金など）
- 特定のスキルを身につけて、将来の転職や独立に役立てたい
- 本業とは違う分野で、自分の可能性を試してみたい
- 社会との繋がりを持ち続けたい（育児中の方やリタイア後の方など）
- 目標の例：
- 毎月コンスタントに3万円の収入を得る
- 1年間でWebデザインの基本的なスキルを習得し、簡単な案件を受注できるようになる
- 半年後までに、副業で得た収入で海外旅行に行く
- 週に2回、3時間ずつ、無理のない範囲で社会貢献活動に参加する
これらの目的と目標を具体的にすることで、どんな種類の副業を選ぶべきか、どれくらいの時間と労力を費やすべきか、いつまで続けるのか、といったことが見えてくるはずです。
そして、その目的は、本当にダブルワークでなければ達成できないことなのか、もう一度考えてみましょう。例えば、本業での昇給を目指したり、節約を徹底したりすることで、ある程度の収入アップは見込めるかもしれません。あるいは、資格取得のための勉強に時間を使った方が、長期的なキャリアアップに繋がる可能性もあります。
ダブルワークはあくまで手段の一つです。目的と目標を明確にし、それが本当に自分にとってベストな選択なのかどうかを、じっくりと考えてみてくださいね。
本業の就業規則を最優先に！会社に迷惑をかけない配慮
【理由2】でも詳しくお話ししましたが、ダブルワークを始める上での大前提は、本業の会社の就業規則を遵守することです。
まずは、ご自身の会社の就業規則を隅々まで確認し、
- 副業が全面的に禁止されていないか？
- もし許可制なら、どのような手続きが必要か？（申請書の提出、上司の承認など）
- 副業を行う上での制限事項はあるか？（同業他社での就労禁止、情報漏洩に関する規定、本業への支障をきたさないことなど）
といった点を、正確に把握しておきましょう。
もし就業規則で副業が認められている場合でも、以下の点には十分に配慮する必要があります。
- 本業の業務時間中に副業を行わない：これは当然のマナーであり、信頼を損なう行為です。
- 本業の会社の情報や機密を漏洩しない：副業先で、本業で得た情報やノウハウを安易に口外しないように、細心の注意を払いましょう。
- 本業の会社の名前や信用を利用しない：副業を行う上で、本業の会社名を無断で使用したり、あたかも会社の事業であるかのように誤解させたりする行為は絶対に避けるべきです。
- 本業の業務に支障が出ない範囲で行う：副業による疲労や時間的制約で、本業のパフォーマンスが低下したり、遅刻や欠勤が増えたりすることがないように、自己管理を徹底しましょう。
「会社にバレなければいい」という考えは捨て、常に本業の会社に対する誠実な姿勢を忘れないことが、トラブルを未然に防ぎ、結果的に自分自身を守ることにも繋がります。
もし就業規則の解釈に迷う点があれば、人事担当者や上司に正直に相談してみるのが良いでしょう。隠し事をするよりも、オープンに相談した方が、理解や協力を得られやすい場合もありますよ。
体力・時間管理の徹底と「無理しない」勇気 – 限界を見極める
ダブルワークを継続していく上で、最も重要な鍵となるのが、徹底した体力管理と時間管理です。そして、時には「無理しない」という勇気を持つことも大切です。
体力管理
- 質の高い睡眠を確保する：睡眠時間を削って副業に充てるのは、最も避けるべきことです。睡眠の質を高める工夫（寝る前のスマホを控える、寝室の環境を整えるなど）をしましょう。
- バランスの取れた食事を心がける：忙しいと食事が疎かになりがちですが、栄養バランスの取れた食事は、体力維持の基本です。
- 適度な運動を取り入れる：軽い運動やストレッチは、疲労回復やストレス解消に効果的です。
- 定期的な休息日を設ける：週に1日は完全に休む日を作るなど、意識的に心身を休ませる時間を作りましょう。
時間管理
- 1日のスケジュールを具体的に立てる：本業、副業、睡眠、食事、プライベートな時間など、1日の時間をどのように使うか、具体的に計画しましょう。
- スキマ時間を有効活用する：通勤時間や昼休みなど、ちょっとしたスキマ時間を副業の作業や情報収集に充てるのも良いでしょう。ただし、無理のない範囲で。
- 優先順位をつける：やるべきことがたくさんある場合は、何が一番重要で、何から手をつけるべきか、優先順 Einwilligungを明確にしましょう。
- 時には「断る」勇気も必要：副業の依頼がキャパシティを超えていると感じたら、無理に引き受けずに断ることも大切です。
そして、どんなに計画を立てていても、体調が悪くなったり、本業が急に忙しくなったりと、予定通りに進まないこともあります。そんな時は、無理をせずに副業のペースを落としたり、一時的に休んだりする勇気も必要です。
「もう少し頑張れば…」という気持ちは分かりますが、自分の限界を超えてしまうと、心身ともに壊れてしまい、本業も副業も続けられなくなってしまうかもしれません。「休むことも仕事のうち」と割り切ることも大切ですよ。
スキルアップ・キャリアアップに繋がる副業を選ぶ視点
せっかく貴重な時間を費やしてダブルワークをするなら、目先の収入だけでなく、それが自分の将来のスキルアップやキャリアアップにどう繋がるのか、という視点も持って副業を選びたいですよね。
スキルアップに繋がる副業を選ぶ際のポイントとしては、
- 本業のスキルを活かせる、あるいは深められる仕事：例えば、本業で営業をしている人が、副業でセールスライティングやプレゼン資料作成の仕事をするなど。本業の経験が副業に役立ち、副業で得たスキルが本業にもフィードバックされるという好循環が生まれる可能性があります。
- 将来的に目指したい分野や職種に関連する仕事：例えば、将来Webデザイナーになりたいと考えている人が、まずは簡単なバナー作成やWebサイトの更新作業といった副業から始めてみるなど。未経験でも実績を積む良い機会になります。
- 新しい知識や技術を習得できる仕事：例えば、プログラミングや動画編集、外国語翻訳など、今後需要が高まりそうなスキルを、副業を通じて実践的に学んでいく。
- コミュニケーション能力やマネジメント能力が磨かれる仕事：例えば、オンラインサロンの運営サポートや、小規模なイベントの企画・運営など。
などがあります。
もちろん、最初は時給が低かったり、なかなか仕事が見つからなかったりするかもしれません。しかし、長期的な視点で見れば、単純作業でお金を稼ぐよりも、将来に繋がるスキルや経験を積む方が、はるかに価値が高いと言えるでしょう。
クラウドソーシングサイト（ランサーズ、クラウドワークスなど）や、スキルシェアサービス（ココナラ、ストアカなど）などを活用すれば、自分のスキルや経験に合った副業を見つけやすくなります。最初は小さな案件からでも、コツコツと実績を積み重ねていくことが大切ですよ。
確定申告や税金の知識を身につける – 専門家への相談も視野に
ダブルワークで一定以上の収入を得るようになると、避けては通れないのが確定申告と納税です。【理由4】でも触れましたが、これは国民の義務であり、正しく行う必要があります。
「難しそう…」「面倒くさい…」と敬遠せずに、まずは基本的な知識を身につけるところから始めましょう。
- 自分の所得の種類を理解する：副業で得た収入が「給与所得」なのか、「事業所得」なのか、「雑所得」なのかによって、確定申告の方法や経費の扱いなどが変わってきます。
- 経費として認められるものを把握する：副業を行うためにかかった費用（交通費、通信費、書籍代、セミナー参加費、材料費など）は、経費として所得から差し引くことができます。何が経費として認められるのか、領収書はどのように保管すべきかなどを、事前に調べておきましょう。
- 確定申告の方法を学ぶ：国税庁のウェブサイトや、確定申告に関する書籍、解説サイトなどを参考に、申告書の書き方や提出方法を学びましょう。e-Taxを利用すれば、自宅からオンラインで申告できるので便利です。
- 青色申告と白色申告の違いを理解する：事業所得や不動産所得がある場合は、青色申告を選択すると、様々な節税メリット（青色申告特別控除など）を受けられる可能性があります。ただし、事前の届出や複式簿記による帳簿付けが必要になります。
これらの知識を身につけるのは大変かもしれませんが、一度理解してしまえば、翌年以降の確定申告もスムーズに行えるようになります。
もし、どうしても自分でやるのが難しい、あるいは時間がないという場合は、税理士などの専門家に相談するという選択肢も考えてみましょう。費用はかかりますが、正確な申告を代行してくれたり、節税に関するアドバイスをもらえたりするメリットがあります。
地域の税務署や商工会議所などでも、無料の相談会が開催されていることがありますので、そういった機会を活用するのも良いかもしれませんね。
納税は義務ですが、正しい知識を身につけることで、不必要なペナルティを避け、賢く節税することも可能になるのです。
【総括】ダブルワークで後悔しないために – やめた方がいい理由の再確認
さて、今回はダブルワーク（副業）について、「やめとけ」と言われることがある理由を中心に、その魅力とリスク、そしてもし挑戦する場合の賢い進め方などをお話ししてきました。
収入アップやスキルアップといった輝かしいメリットの裏には、心身の疲弊、本業への影響、そして時間的な制約といった、厳しい現実も潜んでいることをご理解いただけたでしょうか。
最後にもう一度、ダブルワークへの挑戦を慎重に考えるべき理由をまとめておきますね。
- 理由1：心身ともに疲弊困憊！
本業との両立は想像以上に過酷で、健康を損なうリスクがあります。 - 理由2：本業の会社にバレるリスク
就業規則違反となれば、懲戒処分や信頼失墜に繋がる可能性があります。 - 理由3：思ったより稼げない可能性
時給換算の低さや不安定な収入で、労力に見合わないことも。 - 理由4：確定申告・税金の手続きが面倒
納税義務を怠るとペナルティも。正しい知識と手間が必要です。 - 理由5：プライベートな時間がなくなる
友人関係や趣味、家族との時間などが犠牲になりがちです。 - 理由6：スキルアップに繋がらない単純作業の可能性
時間の切り売りだけでは、将来的なキャリアアップに繋がりにくいです。 - 理由7：人間関係のトラブルと新たなストレス
副業先での人間関係が、新たな悩みの種になることもあります。
これらの点をしっかりと理解し、ご自身の目的や体力、そして本業とのバランスを十分に考慮した上で、それでも「ダブルワークに挑戦したい！」という強い意志と覚悟があるのなら、その一歩を応援したいと思います。その際には、この記事でお伝えしたような賢い進め方や注意点を守りながら、無理のない範囲で取り組んでくださいね。
大切なのは、ダブルワークはあくまで「手段」であり、「目的」ではないということです。何のために働くのか、そしてそのために何を大切にし、何を優先するのか。ご自身の心としっかり向き合い、後悔のない選択をしてください。
この記事が、皆さんのより豊かな人生設計の、ささやかなお手伝いになれば、私も心から嬉しく思います。
