「イラスト専門学校」と聞くと、なんだかキラキラしたイメージがありますよね。好きなイラストを描いて、プロのイラストレーターになる夢を叶える場所…そんな風に考えて、進学を検討されている学生さんや、キャリアチェンジを考えている社会人の方もいらっしゃるかもしれません。
でも、インターネットで検索してみると、「イラスト専門学校 やめとけ」とか「意味ない」なんて、ちょっと気になる言葉もちらほら…。果たして、イラスト専門学校は本当に夢への近道なのでしょうか?それとも、時間とお金を無駄にしてしまう可能性もあるのでしょうか?
この記事では、イラスト専門学校への進学について、その魅力だけでなく、もしかしたら「やめとけ」と言われるかもしれない理由、そしてもし進学するならどんな覚悟が必要なのかを、皆さんと一緒にじっくりと考えていきたいと思います。どうぞ、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
この記事でお伝えしたいこと
- イラスト専門学校で一体どんなことが学べるのか、その基本的な内容と魅力、そして抱かれがちな誤解について
- なぜ「イラスト専門学校はやめとけ」と言われることがあるのか、その具体的な6つの理由
- それでもイラスト専門学校という道を選ぶなら、後悔しないために知っておくべき心構えと具体的なステップ
- イラスト専門学校への進学が、あなたの将来にとって本当に最適な選択なのかを考えるヒント
イラスト専門学校とは?その魅力と抱かれがちな誤解
まずは、イラスト専門学校がどのような場所なのか、基本的な情報から確認していきましょう。そして、多くの人が惹かれる魅力と、もしかしたら少し誤解されているかもしれない点についてもお話ししますね。
イラスト専門学校で学べることの基本
イラスト専門学校は、その名の通り、イラストレーションに関する専門的な知識や技術を学ぶための教育機関です。多くは2年制または3年制のカリキュラムで構成されていて、プロのイラストレーターとして活躍するために必要なスキルを総合的に習得することを目指しています。
具体的に学べる内容は学校によって特色がありますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 基礎画力:デッサン、クロッキー、パース(遠近法)、色彩理論、構成など、絵を描く上での土台となる力を養います。
- アナログ画材:鉛筆、水彩絵の具、アクリル絵の具、コピックマーカーなど、様々なアナログ画材の扱い方を学びます。
- デジタルツール:PhotoshopやIllustrator、CLIP STUDIO PAINTといったペイントソフトやグラフィックソフトの使い方を習得し、デジタルイラストの制作技法を学びます。ペンタブレットの操作も基本から教えてもらえることが多いです。
- 表現技法:キャラクターデザイン、背景美術、マンガ表現、絵本制作、ゲームイラスト、広告イラストなど、目指す分野に応じた専門的な表現テクニックを学びます。
- 業界知識・ビジネススキル:著作権に関する知識、ポートフォリオ(作品集)の作り方、クライアントとのコミュニケーション方法、仕事の進め方など、プロとして活動していくために必要な知識も学びます。
多くの学校では、現役のプロイラストレーターやデザイナーが講師を務めていることも多く、業界の最新情報や実践的なテクニックに触れる機会があるのも特徴の一つです。
また、企業との連携プロジェクトやコンペティションへの参加、インターンシップ制度などを設けている学校もあり、在学中からプロの現場を体験できるチャンスも提供されていることがあります。
イラスト専門学校の魅力とは?
イラスト専門学校には、独学では得がたい多くの魅力があるのも事実です。
- 同じ夢を持つ仲間との出会い:共通の目標を持つクラスメイトと一緒に学ぶことで、お互いに刺激し合い、モチベーションを高め合うことができます。卒業後も続く大切な人脈になることもありますよね。
- プロの講師からの直接指導:経験豊富なプロの講師から、的確なアドバイスやフィードバックを直接受けられるのは大きなメリットです。自分の弱点や改善点に気づきやすくなります。
- 充実した学習環境と設備:デッサン室やPCルーム、液晶タブレット、各種画材など、イラスト制作に必要な設備や道具が整っている環境で学べます。自宅ではなかなか揃えられないものも利用できるのは嬉しいですよね。
- 体系的なカリキュラム:基礎から応用まで、段階を踏んで無理なくスキルを習得できるようにカリキュラムが組まれています。何から学べば良いか分からないという方にとっては、道筋を示してくれる存在になります。
- 就職・デビューサポート:ポートフォリオ指導、面接対策、業界情報の提供、求人紹介など、卒業後の進路に関するサポート体制が整っている学校が多いです。業界との太いパイプを持つ学校もあります。
こうした環境に身を置くことで、効率的にスキルアップし、プロへの道を切り拓けるかもしれない、と期待する方が多いのも頷けます。
しかし現実は甘くない?イラスト専門学校に対する誤解
ただ、こうした魅力的な側面の裏には、いくつか知っておかなければならない現実もあります。「専門学校に行きさえすれば、誰でもプロのイラストレーターになれる」というのは、残念ながら大きな誤解かもしれないのです。
例えば、「充実したサポートがあるから安心」と思っていても、最終的に就職できるかどうかは本人の実力と努力次第です。また、「好きなことだけ学べる」と思って入学しても、厳しい課題や苦手な分野の授業に直面することもあります。
そして何より、専門学校はあくまで「学ぶ場所」であり、「プロにしてくれる場所」ではないということを、しっかりと認識しておく必要があります。
「専門学校って、なんだか楽しそうだし、絵が上手くなれそう!」というイメージだけで飛び込んでしまうと、後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔することになるかもしれません。この後、もう少し詳しく「やめとけ」と言われる理由について、一緒に考えていきましょう。
イラスト専門学校はやめとけ!お勧めできない6つの理由
さて、ここからは本題である「イラスト専門学校はやめとけ」と言われることがある具体的な理由について、一つひとつ掘り下げてご説明していきたいと思います。もちろん、これは全ての専門学校や全ての人に当てはまるわけではありません。ただ、安易な気持ちで進学を決めてしまうと、時間もお金も、そして何より大切なあなたの夢も、無駄になってしまうかもしれない…そんな可能性について、真剣に考えていただきたいのです。
【理由1】高額な学費と時間的投資!本当に見合う価値があるのか?
イラスト専門学校に進学する上で、まず直面するのが「高額な学費」という大きな壁です。これは、決して無視できない問題ですよね。
専門学校の学費は、学校やコース、年数によって大きく異なりますが、一般的に2年制で総額200万円~300万円程度、3年制になると300万円~450万円程度かかることが多いようです。
これに入学金、教材費、施設利用費などが別途必要になる場合もあります。この金額は、学生さんご自身やご家族にとって、かなりの経済的負担になるのではないでしょうか。
奨学金制度を利用する方も多いと思いますが、それはつまり卒業後に返済義務が生じるということです。プロのイラストレーターとして安定した収入を得られるようになるまでには時間がかかることも多く、その間、奨学金の返済が重くのしかかってくる可能性も考えなければなりません。
また、学費だけでなく、「時間的な投資」も大きいです。2年間ないし3年間という貴重な時間を、専門学校での学びに費やすことになります。
その間、アルバイトで学費や生活費を稼ぐ必要が出てくるかもしれませんし、他のこと(例えば、大学進学や別のスキル習得、社会経験を積むなど)に時間を使う機会を失うことにもなります。
問題は、こうした高額な学費と貴重な時間を投資して、それに見合うだけのスキルや知識、そして将来性が本当に得られるのかどうか、という点です。
もし、「卒業したけど、期待したほど絵は上手くならなかった」「就職先が見つからない」という状況になってしまったら、その投資は一体何だったのだろう…と後悔してしまうかもしれません。
実際に、専門学校を卒業したけれど、イラストとは関係のない仕事に就いているという方も少なくありません。もちろん、それが本人の選択であれば問題ありませんが、「イラストレーターになりたかったのに、なれなかった」という結果であれば、その学費と時間はあまりにも大きな代償だったと言えるのではないでしょうか。
進学を考える際には、その学校の卒業生の進路実績を詳しく調べてみることが大切です。ただ「就職率〇%」という数字だけでなく、具体的にどのような企業に、どのような職種で就職しているのか、イラスト関連の仕事に就いている人はどれくらいいるのか、といった内訳まで確認できると良いですね。そして、その学費と時間で得られるものが、本当に自分の将来にとって必要なのか、他の選択肢(例えば、独学やオンライン講座、費用を抑えられる短期スクールなど)と比較して、冷静に考える必要があります。

【理由2】「行けば上手くなる」は幻想!結局は本人の努力と才能?
「専門学校に行けば、プロの先生が教えてくれるから、きっと絵が上手くなるはず!」…そんな風に期待している方も多いかもしれません。確かに、専門学校は絵を学ぶための環境を提供してくれます。
しかし、「学校に行きさえすれば自動的に上手くなる」というのは、残念ながら幻想だと言わざるを得ません。
専門学校は、あくまで「学びの場」であり、「技術を授けてくれる魔法の箱」ではありません。講師がどんなに素晴らしい指導をしてくれても、設備がどんなに整っていても、最終的にスキルを身につけ、上達するかどうかは、本人の努力と、ある程度の素質や才能にかかっている部分が大きいのです。
授業時間以外にどれだけ自主的に練習するか、課題に真剣に取り組むか、講師からのアドバイスを素直に受け止め改善しようとするか…。そういった日々の積み重ねがなければ、いくら専門学校に通っても、期待したほどの成長は見込めないでしょう。
周りには、あなたと同じように夢を抱いて入学してきたライバルがたくさんいます。中には、入学前から高い画力を持っている人や、驚くほどのスピードで上達していく人もいるかもしれません。
そんな環境の中で、「自分は全然上手くならない…」「才能がないのかもしれない…」と劣等感を抱き、モチベーションを維持できなくなってしまう人もいます。
授業についていけず、課題をこなすだけで精一杯になり、「何のために高い学費を払って通っているんだろう」と疑問を感じてしまうケースも少なくないのです。
ある専門学校の元学生さんは、こんな風に語っていました。
「入学前は、専門学校に入ればプロのイラストレーターへの道が開けると思っていました。でも、実際は甘くなかったです。周りは本当に絵が上手い人ばかりで、授業以外にも毎日何時間も練習している。私は課題をこなすのでいっぱいいっぱいで、どんどん差が開いていくのを感じて辛かったです。結局、自分には才能がないんだと諦めてしまいました。」
もちろん、努力次第で才能を開花させる人もいます。しかし、「専門学校が何とかしてくれる」という受け身の姿勢では、厳しい現実を突きつけられることになるでしょう。
結局のところ、専門学校は「環境」を提供するだけであり、それを活かせるかどうかはあなた次第なのです。もし、強い意志と継続的な努力をする覚悟がないのであれば、専門学校への進学は考え直した方が良いかもしれません。
【理由3】厳しい就職戦線!専門卒でもプロになれるのは一握り
イラスト専門学校の多くは、「高い就職率!」とか「有名企業への就職実績多数!」といった言葉で、その実績をアピールしていますよね。それを見ると、「ここに入れば、憧れのイラストレーターとして就職できるんだ!」と期待に胸を膨らませるかもしれません。
しかし、その実態を冷静に見てみると、イラスト業界の就職戦線は非常に厳しいのが現実です。
特に、ゲーム会社やアニメ制作会社、デザイン事務所など、人気の高い企業や職種は競争率が非常に高く、専門学校を卒業したからといって、誰もが簡単にプロのイラストレーターとして就職できるわけではありません。
企業が求めているのは、「専門学校卒業」という肩書きではなく、即戦力となる高い画力と、コミュニケーション能力、そして何よりも魅力的なポートフォリオ(作品集)です。いくら学校の課題を真面目にこなしていても、企業の目に留まるような質の高いポートフォリオが作れなければ、書類選考すら通過できないこともあります。
また、専門学校が公表している「就職率」にも注意が必要です。この数字には、イラストとは直接関係のない業種や職種への就職も含まれている場合があります。
「就職が決まった卒業生のうち、実際にイラストレーターやデザイナーとして希望通りの職に就けたのはどれくらいの割合なのか」という点を、具体的に確認することが大切です。
世の中には、専門学校を卒業しても、
- アルバイトをしながらイラストの仕事を細々と続けている
- 一度はイラスト関連の会社に就職したものの、厳しい労働環境や待遇に耐えられず辞めてしまった
- 結局、全く別の業界に就職した
という方も、残念ながら少なくありません。プロのイラストレーターとして安定した収入を得て生活していくというのは、本当に一握りの人だけが実現できる、狭き門だということを理解しておく必要があります。
もし本気でプロを目指すのであれば、在学中からコンテストに積極的に応募したり、SNSで作品を発信して企業や編集者の目に留まる努力をしたり、インターンシップに参加して実務経験を積んだりと、学校の授業以外での主体的な活動が不可欠です。そして、万が一希望通りの就職ができなかった場合のことも考えて、他のスキルを身につけておくなどのリスクヘッジも考えておくと良いかもしれませんね。
「専門学校に行けば就職できる」という甘い期待は捨て、厳しい競争を勝ち抜くための実力と覚悟、そして戦略が必要なのです。
【理由4】画一的な教育の弊害?個性が潰される可能性と画風の偏り
専門学校では、基礎から応用まで体系的にイラストの技術を学ぶことができます。これは大きなメリットである一方、時としてデメリットにもなり得るということをご存知でしょうか。
多くの専門学校では、特定のカリキュラムや指導方針に沿って授業が進められます。講師にもそれぞれの得意な画風や考え方があり、知らず知らずのうちにその影響を受けてしまうことがあります。
その結果、学生の作品がどことなく似たような雰囲気になったり、流行りの画風に偏ってしまったりすることがあるのです。
もちろん、基礎を学ぶ段階では、ある程度手本を真似ることも必要でしょう。しかし、プロのイラストレーターとして活躍するためには、他の誰にも真似できない「自分だけの個性」や「オリジナリティあふれる画風」を確立することが非常に重要です。専門学校の環境が、時にそうした個性の芽を摘んでしまう可能性も否定できません。
例えば、
- 講師の好みに合わせた作品ばかり描くようになってしまう
- 周りの学生の評価を気にして、自分の本当に描きたいものが描けなくなる
- 学校で教えられる「売れる絵柄」に囚われて、自由な発想ができなくなる
といった状況に陥ってしまうことも考えられます。
あるイラストレーター志望の方は、こんな経験を語っています。
「専門学校に入って、最初は色々な画風に挑戦できて楽しかったです。でも、だんだん先生に褒められる絵柄や、課題で評価されやすいタッチが分かってきて、無意識にそれに合わせるようになってしまいました。卒業する頃には、自分の絵がなんだか他の子と似ている気がして、個性がなくなってしまったように感じました。」
専門学校は、ある意味で「型にはめる」教育が行われる側面もあります。それが基礎固めには役立つ一方で、自由な発想や独自の表現を追求したい人にとっては、窮屈に感じられることもあるかもしれません。
自分の個性を大切にしたい、誰にも真似できない唯一無二の絵を描きたい、という強い思いがある方は、専門学校の画一的な教育が自分に合っているかどうか、慎重に考える必要があるでしょう。
もし専門学校に通うのであれば、学校の課題や授業に真面目に取り組むことはもちろん大切ですが、それと同時に、授業外で自分の好きな絵を自由に描く時間を持ったり、様々なジャンルの作品に触れて視野を広げたりと、意識的に自分の個性を伸ばす努力をすることが重要になります。学校の教えを鵜呑みにするのではなく、常に「自分らしさとは何か?」を問い続ける姿勢が求められるのです。
【理由5】人間関係のストレスと閉鎖的な環境のリスク
「同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨できる」というのは、専門学校の大きな魅力の一つですよね。確かに、お互いに励まし合い、高め合える友人ができれば、それは素晴らしい財産になるでしょう。
しかし、その一方で、人間関係がストレスの原因になることも少なくありません。特に、イラストという「評価」がつきまとう分野では、
- 他人と自分の画力を比較して落ち込んだり、嫉妬してしまったりする
- グループワークで意見が合わず、対立してしまう
- クラス内でグループができてしまい、孤立感を感じる
- 周りのモチベーションの低さに影響されて、やる気を失ってしまう
といった問題が起こりやすい環境とも言えます。
毎日同じメンバーと顔を合わせ、同じ目標に向かって努力する中で、どうしても人間関係の難しさに直面することは避けられないかもしれません。特に、感受性が豊かな人や、周りの目を気にしやすい人にとっては、こうしたストレスが大きな負担になる可能性があります。
また、専門学校という環境は、ある意味で「閉鎖的」になりやすいというリスクも抱えています。毎日学校と家の往復で、社会との接点が少なくなり、視野が狭くなってしまうことも考えられます。
イラスト業界のことばかりに目が行き、世の中の多様な価値観や動きに気づきにくくなるかもしれません。
プロのイラストレーターとして活躍するためには、イラストの技術だけでなく、社会性やコミュニケーション能力、幅広い知識や教養も必要です。閉鎖的な環境に長く身を置くことで、そうした総合的な人間力が育ちにくくなる可能性も考慮しておくべきでしょう。
もちろん、積極的に外部のイベントに参加したり、アルバイトをしたり、様々な分野の本を読んだりすることで、視野を広げることは可能です。しかし、日々の課題や制作に追われていると、なかなかそうした時間を確保するのが難しいという現実もあります。
専門学校に通うのであれば、意識して外部とのつながりを持つことが大切です。学外のイラストコミュニティに参加したり、異業種の人と交流したり、美術館や展示会に足を運んだり…。そうすることで、新しい刺激を受け、自分の世界を広げることができるはずです。人間関係に悩んだ時には、信頼できる先生やカウンセラーに相談することも忘れないでくださいね。
【理由6】独学や他の選択肢でも十分?専門学校に固執する必要性
ひと昔前までは、プロのイラストレーターを目指すなら専門学校に通うのが王道、という風潮があったかもしれません。しかし、現代は情報化社会。イラストを学ぶための選択肢は、専門学校以外にもたくさんあります。
例えば、
- オンライン講座や動画教材:有名なイラストレーターが講師を務める質の高いオンライン講座が、比較的安価な料金で受講できます。自分のペースで、好きな時間に学べるのも魅力です。YouTubeなどにも、無料で有益なテクニック動画がたくさんアップされていますよね。
- 書籍や教本:デッサンや色彩、構図、デジタルツールの使い方など、イラストに関する良質な書籍が数多く出版されています。体系的に知識を学びたい場合に役立ちます。
- SNSやオンラインコミュニティ:Twitterやpixiv、Instagramなどで自分の作品を発信し、他のクリエイターと交流したり、フィードバックをもらったりすることができます。プロの目に留まるチャンスもあります。
- 美術系大学や学部の選択:よりアカデミックな環境で美術全般を学びたい、あるいは幅広い教養を身につけたいという場合は、美術系の大学や学部に進学するという道もあります。
- 一般大学のサークルや独学:一般の大学に通いながら、美術系のサークルで絵を描いたり、独学でスキルを磨いたりすることも可能です。イラスト以外の分野も学ぶことで、視野が広がり、それが作品に深みを与えることもあります。
これらの選択肢は、専門学校に比べて費用を大幅に抑えられたり、時間的な自由度が高かったりするというメリットがあります。特に、独学でプロになったイラストレーターや、オンライン講座だけで十分なスキルを身につけたという人も、今では珍しくありません。
もちろん、独学には強い自己管理能力やモチベーション維持の難しさといったデメリットもあります。しかし、「専門学校に行かなければプロになれない」という考えは、もはや時代遅れと言えるかもしれません。
大切なのは、「どこで学ぶか」よりも「何を、どのように学ぶか」そして「それをどう活かすか」です。専門学校という選択肢に固執せず、自分に合った学習方法や環境を、広い視野で探してみることが重要なのではないでしょうか。
もしかしたら、専門学校に費やすはずだった高額な学費と貴重な時間を、別の経験やスキル習得(例えば、語学学習やプログラミング、マーケティングなど、イラストレーターとしての活動の幅を広げる可能性のあるもの)に充てた方が、あなたの将来にとってより有益な結果をもたらすかもしれませんよ。
専門学校への進学を考える前に、まずは他の選択肢についても十分に調べてみましょう。無料の体験講座に参加してみたり、独学でどこまでできるか試してみたりするのも良いかもしれません。その上で、どうしても専門学校でなければ得られないものがあるのか、冷静に判断することが大切です。
それでもイラスト専門学校へ進学したいあなたへ
ここまで、イラスト専門学校の厳しい側面や、「やめとけ」と言われるかもしれない理由について、詳しくお話ししてきました。もしかしたら、「やっぱり専門学校はやめた方がいいのかな…」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、もしあなたがこれらの現実をしっかりと理解した上で、それでも「イラスト専門学校で学びたい!」「プロのイラストレーターになる夢を諦めたくない!」という強い気持ちをお持ちなのであれば、その情熱は本当に素晴らしいものだと思います。
ここからは、そんなあなたに向けて、後悔しないために知っておいてほしい心構えや、具体的なステップについてお伝えしたいと思います。
覚悟を持って進学するための心構え
まず何よりも大切なのは、「イラスト専門学校は楽園ではない」という現実を受け止め、それでも挑戦する覚悟を持つことです。
- 明確な目標を持つ:「何のために専門学校に行くのか」「卒業までにどんなスキルを身につけたいのか」「将来どんなイラストレーターになりたいのか」といった具体的な目標を、入学前にしっかりと設定しましょう。目標が曖昧なままでは、日々の課題に流されてしまいます。
- 主体的に学ぶ姿勢を貫く:学校はあくまで「環境」です。授業を受けるだけでなく、積極的に質問したり、課題以外の自主制作に取り組んだり、コンテストに挑戦したりと、常に自分から学ぶ姿勢を持ち続けることが重要です。
- 自己責任の意識を持つ:上手くいかないことがあっても、それを学校や先生のせいにするのではなく、「自分に何が足りなかったのか」を考え、改善していく意識を持ちましょう。あなたの夢は、あなた自身が切り拓くものです。
- 時間とお金を無駄にしないという強い意志:高額な学費と貴重な時間を投資する以上、それに見合うだけのものを得るという強い意志を持って、一日一日を大切に過ごしましょう。「なんとなく過ごしてしまった」では、あまりにもったいないですよね。
- 失敗を恐れず、挑戦し続ける:イラスト制作は試行錯誤の連続です。失敗から学び、それを次に活かすことで成長できます。周りの評価を気にしすぎず、自分の信じる表現を追求し続ける勇気を持ちましょう。
「誰かが何とかしてくれる」という甘い期待は捨て、「自分の力で未来を切り拓くんだ!」という強い意志と覚悟を持つことが、専門学校生活を実りあるものにするための第一歩です。
失敗しないための学校選びと入学準備
覚悟が決まったら、次は具体的な学校選びと入学準備です。ここでの選択が、あなたの専門学校生活を大きく左右すると言っても過言ではありません。
- オープンキャンパスや体験入学には必ず参加する:パンフレットやウェブサイトの情報だけでなく、実際に学校に足を運び、雰囲気や設備、授業の様子などを自分の目で確かめましょう。複数の学校を比較検討することが大切です。
- カリキュラム内容を徹底的に比較する:自分の学びたい分野や目指す方向性に合ったカリキュラムになっているか、基礎から応用までバランス良く学べるか、実践的な内容が含まれているかなどを細かくチェックしましょう。
- 講師の質と実績を確認する:現役のプロが教えてくれるのか、どんな実績のある講師がいるのかは重要なポイントです。可能であれば、講師の作品を見たり、直接話を聞いたりする機会を持ちましょう。
- 就職実績を鵜呑みにしない:先ほどもお話ししましたが、「就職率」だけでなく、卒業生が実際にどのような分野で活躍しているのか、具体的な就職先や職種まで詳しく調べましょう。OB・OG訪問ができるなら、ぜひ話を聞いてみてください。
- 在校生や卒業生の「生の声」を聞く:学校の良い面だけでなく、大変なことや不満な点など、リアルな話を聞くことで、より客観的な判断ができます。SNSなどで情報を集めるのも一つの方法です。
- 入学前にできる準備をしておく:デッサンの練習を始めたり、基本的なペイントソフトの使い方を学んだり、イラストに関する知識を深めたりと、入学前から少しでも準備を進めておくことで、スムーズに学校生活をスタートできます。
学校選びは、あなたの将来を左右する重要な決断です。焦らず、時間をかけて情報収集し、自分にとって本当に最適な学校を見つけてくださいね。

イラスト専門学校生活を最大限に活かす方法
晴れてイラスト専門学校に入学したら、その環境を最大限に活かして、夢に近づくための努力を続けましょう。
- 授業には120%の集中力で臨む:一回一回の授業を大切にし、講師の話をよく聞き、積極的に質問しましょう。ただ座っているだけでは何も得られません。
- 課題以外の自主制作にも力を入れる:授業の課題をこなすのはもちろんですが、それ以外にも自分の好きなテーマで作品を制作し、ポートフォリオを充実させていきましょう。
- コンテストや公募展に積極的に挑戦する:自分の実力を試す良い機会ですし、入賞すれば大きな自信になり、業界の目に留まるきっかけにもなります。
- 講師やクラスメイトとの人脈を大切にする:講師は業界の先輩であり、貴重なアドバイスや情報源となります。クラスメイトはライバルであると同時に、将来の協力者になるかもしれません。積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築きましょう。
- ポートフォリオ作成を常に意識する:就職活動で最も重要なのはポートフォリオです。入学当初から質の高い作品を作りためていく意識を持ち、定期的に見直しや更新を行いましょう。
- 業界研究と情報収集を怠らない:イラスト業界のトレンドや、企業が求めている人材像などを常に把握しておくことが大切です。インターンシップに参加できる機会があれば、積極的に活用しましょう。
- 健康管理とメンタルケアを忘れない:制作に没頭するあまり、生活が不規則になったり、ストレスを溜め込んだりしないように注意しましょう。心身ともに健康でなければ、良い作品は生まれません。
専門学校での2年間または3年間は、あっという間に過ぎてしまいます。一日一日を無駄にせず、目標に向かって全力で取り組むことで、きっと道は開けてくるはずです。
イラスト専門学校進学の是非 総括と未来への提言
今回は、「イラスト専門学校はやめとけ」と言われることがある背景や、その具体的な理由、そしてもし進学するならば知っておくべき覚悟やステップについて、詳しくお話しさせていただきました。
最後に、この記事のポイントを改めてまとめさせていただきますね。
- イラスト専門学校は、専門知識や技術を学べる魅力的な環境ですが、高額な学費と時間的投資に見合う価値があるか慎重な判断が必要です。
- 「行けば上手くなる」という幻想は捨て、結局は本人の努力と才能、そして主体的な学びの姿勢が何よりも重要です。
- イラスト業界の就職戦線は厳しく、専門学校卒でもプロになれるのは一握りという現実を理解しておく必要があります。
- 画一的な教育によって個性が潰されたり、画風が偏ったりするリスクも考慮し、自分の個性を伸ばす努力が求められます。
- 人間関係のストレスや閉鎖的な環境に陥る可能性も認識し、意識的に外部とのつながりを持つことが大切です。
- 現代では独学やオンライン講座など、専門学校以外の選択肢も充実しており、専門学校に固執する必要はありません。
- それでも専門学校を選ぶなら、明確な目標と強い覚悟を持ち、学校選びを慎重に行い、主体的に学ぶ姿勢を貫くことが不可欠です。
イラスト専門学校への進学は、あなたの人生における大きな決断の一つです。決して「なんとなく」で選ぶべきではありません。この記事でお伝えしたことが、あなたが後悔のない選択をするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
最終的にどの道を選ぶにしても、大切なのは「自分の夢に対して誠実であること」そして「その夢を実現するために、主体的に努力し続けること」だと、私は思います。イラスト専門学校は、あくまで選択肢の一つ。あなたにとって本当に最適な道は何か、じっくりと考えてみてくださいね。
あなたの未来が、素晴らしいイラストで彩られることを心から願っています。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。