「VBAを覚えれば、Excelの面倒な作業が自動化できて仕事が楽になるって聞いたけど、本当かな?」「プログラミング未経験でもVBAなら簡単だって言うし、ちょっと勉強してみようかな…」そんな風に、VBA(Visual Basic for Applications)に興味をお持ちの学生さんや、日々の業務効率化を目指す社会人の方も、きっとたくさんいらっしゃると思います。
確かに、VBAはExcelやAccessといったMicrosoft Office製品の操作を自動化できる強力なツールであり、使い方次第では大きな効果を発揮しますよね。でも、インターネットで「VBA やめとけ」とか「VBA 将来性ない」なんてキーワードで検索すると、少し不安になるような言葉もたくさん目にすることがあって、「一体どっちを信じたらいいの?」と悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、なぜVBAの学習や安易な活用を、場合によってはおすすめできないのか、その具体的な理由を一つひとつ丁寧にご説明し、皆さんが将来「こんなはずじゃなかった…」「もっと早く知っておけば…」と後悔しないための大切な視点をお伝えしていきたいと思います。皆
さんの貴重な時間と労力が、より有益なスキル習得や業務改善に繋がるよう、少しでもお手伝いができれば、とても嬉しいです。
この記事でお伝えしたいこと
- VBA(Visual Basic for Applications)とは何か、その基本的な仕組みとExcel業務でできること
- なぜ「VBA学習はやめとけ」「VBA活用は危険」という声があがるのか、その具体的な理由7選
- VBAの属人化、保守性の低さ、セキュリティリスク、将来性など、知っておくべきVBAの限界と問題点
- もしVBAを学ぶ、あるいは活用する選択をする場合に、後悔しないために絶対に知っておくべき心構えや賢明な使い方
- VBA以外の業務自動化手段(RPA、Python、Power Automateなど)との比較と、これからの時代に求められるスキル
- VBAとは? まずはその概要とExcel業務における役割を再確認
- ここが危険!VBA学習・活用を安易に勧めない7つの深刻な理由
- それでもVBAを学ぶ・使うあなたへ:後悔しないための心構えと賢明な活用法
- VBA学習・活用「やめとけ」理由の総括と、賢い業務自動化のために
VBAとは? まずはその概要とExcel業務における役割を再確認
まずはじめに、VBA(Visual Basic for Applications)がどのようなもので、ExcelをはじめとするOffice製品の業務において、どのような役割を果たしてきたのか、その基本的なところから一緒に見ていきましょう。VBAの特性やメリットを正しく理解することが、その限界や注意点を考える上での大切な土台になりますからね。
VBAの基本的な仕組みとできること:日常業務を自動化する魔法?
VBAは、Microsoft社が提供するプログラミング言語の一つで、主にExcel、Access、Word、OutlookといったMicrosoft Officeアプリケーションの機能を拡張し、操作を自動化するために開発されました。
皆さんが普段お使いのExcelにも、このVBAを記述・実行するための環境(VBE:Visual Basic Editor)が標準で備わっているんですよ。
VBAを使うと、例えばExcelで以下のようなことができます。
- 定型的なデータ入力や転記作業の自動化:毎日同じような形式で入力している報告書や、複数のシートから特定の情報を集めて一覧表を作成する、といった作業をボタン一つで実行できるようになります。
- 複雑な計算やデータ集計の自動化:大量のデータの中から条件に合うものだけを抽出して集計したり、複雑な計算式を何度も適用したりする作業を自動化できます。
- レポート作成の自動化:グラフの作成、書式設定、PDF出力といった一連のレポート作成業務を自動化し、時間短縮に繋げることができます。
- 複数のOfficeアプリケーション間の連携:Excelで作成したデータをWordの文書に差し込んだり、Outlookからメールを自動送信したりといった、複数のソフトをまたいだ操作も自動化できます。
- カスタムダイアログやユーザーフォームの作成:独自の入力画面や操作メニューを作成し、より使いやすいオリジナルの業務ツールをExcel上に構築することも可能です。
このように、VBAは日常的に繰り返される手作業や、時間のかかる定型業務を自動化することで、大幅な業務効率化を実現できる可能性を秘めているため、一部では「魔法の杖」のように語られることもあるのかもしれませんね。
特にプログラミング経験がない方でも、比較的簡単な構文から始められるため、業務改善の第一歩としてVBAに取り組む方は少なくありません。
VBAが使われる主な場面とメリット:なぜ今もVBAが選ばれるのか
VBAは1990年代に登場して以来、非常に多くの企業や個人の業務で活用されてきました。その背景には、いくつかの明確なメリットがあるからなんです。
まず、特別な開発環境を別途用意する必要がないという手軽さが挙げられます。ExcelやAccessなどのOffice製品がインストールされていれば、すぐにVBAを使い始めることができます。追加のライセンス費用も基本的にはかかりません(Office製品自体のライセンスは必要です)。
次に、インターネット上に豊富な情報やサンプルコードが存在することも、VBAが広く普及した理由の一つです。何か困ったことがあっても、検索すれば多くの解決策やヒントが見つかりますし、VBAに関する書籍も多数出版されています。
これにより、プログラミング初心者でも独学で学びやすい環境が整っていると言えるでしょう。
そして何よりも、ExcelやAccessといった、多くのビジネスパーソンが日常的に利用しているツール上で直接動作するという点が大きな強みです。使い慣れたインターフェースの中で自動化処理を実行できるため、導入のハードルが低く、現場レベルでの「ちょっとした改善」を実現しやすいのです。
例えば、営業部門の担当者が自分たちの業務を効率化するためにVBAで簡単なツールを作ったり、経理部門が煩雑なデータ集計作業をVBAで自動化したりといったケースは、枚挙にいとまがありません。
こうした手軽さや、現場主導での業務改善への貢献が、VBAが長年にわたり多くの企業で活用され続けてきた大きな理由だと言えるでしょう。今でも「VBAでこんなことができて助かった!」という声は、決して少なくないはずです。
VBAを取り巻く現状:RPAやPythonとの比較、そしてVBAの限界
しかし、そんなVBAも、近年ではその立ち位置が少しずつ変化してきています。その背景には、RPA(Robotic Process Automation)やPythonといった、より新しい業務自動化技術やプログラミング言語の台頭があります。
RPAは、主に画面上の操作を記録・再現することで、複数のアプリケーションをまたいだ定型業務を自動化するツールです。プログラミング知識がなくても比較的簡単に導入できる反面、ライセンス費用が高額になる場合があったり、画面デザインの変更に弱いといった側面もあります。
Pythonは、汎用性の高いプログラミング言語であり、データ分析、機械学習、Webアプリケーション開発など幅広い分野で活用されています。Excel操作に関しても、PandasやOpenPyXLといった強力なライブラリが存在し、VBAよりも複雑なデータ処理や大規模な処理を得意とします。学習コストはVBAより高いかもしれませんが、その汎用性や将来性は非常に魅力的です。
また、Microsoft自身も、VBAの後継とも言える「Office Scripts」(TypeScriptベース)や、ローコード・ノーコードで業務自動化を実現する「Power Automate for desktop」といった新しいソリューションを提供し始めています。これらはクラウド連携やAI機能の活用といった点で、VBAにはない強みを持っています。
こうした状況の中で、VBAは「手軽に始められるが、機能や将来性には限界があるかもしれない」という位置づけになりつつあると言えるかもしれません。
依然として多くの現場で現役で活躍しているVBAですが、そのメリットとデメリット、そして限界を正しく理解した上で、他の選択肢と比較検討することが、これからの時代にはますます重要になってくるでしょう。

ここが危険!VBA学習・活用を安易に勧めない7つの深刻な理由
さて、VBAの概要やメリットについてご理解いただけたところで、いよいよ本題です。なぜ「VBA学習はやめとけ」「VBAの安易な活用は危険」という声が、これほどまでに多く聞かれるのでしょうか。それは、VBAが持ついくつかの根深い問題点や、その運用方法に起因するリスクにあります。
ここでは、VBAの学習や活用を検討する際に、特に注意していただきたい7つの深刻な理由を、具体的な事例も交えながら詳しくご説明したいと思います。
【理由1】属人化とブラックボックス化の恐怖:作成者不在で誰も触れないマクロ
VBAで作成されたツールやマクロが抱える最大の問題の一つが、「属人化」と「ブラックボックス化」です。これは、特定の担当者だけがそのVBAコードを理解し、メンテナンスできる状態になってしまい、他の誰も手が出せなくなるという非常に深刻な状況を指します。
「あの人しか分からない」マクロの誕生秘話
VBAは手軽に始められる反面、きちんとしたプログラミングの知識や設計思想なしに、場当たり的に作られてしまうケースが少なくありません。作成者自身は「とりあえず動けばいい」という感覚で、変数名が適当だったり、コメントが全くなかったり、処理の流れが複雑怪奇だったりするコードを書いてしまうことがあります。
その結果、作成者本人ですら、しばらく時間が経つと「どうしてこんなコードを書いたんだっけ…?」と首を傾げるような、解読困難なマクロが誕生してしまうのです。
そして、そのVBAを作成した担当者が異動したり、退職したりしてしまうと、もう大変です。残されたVBAツールは、誰もその中身を理解できず、修正や機能追加はもちろんのこと、エラーが発生しても原因究明すらできない「ブラックボックス」と化してしまいます。
業務はそのVBAツールに依存しているのに、誰もメンテナンスできない…これは、業務継続性の観点からも非常に大きなリスクですよね。
「以前の職場で、退職した先輩が作ったExcel VBAのツールがありました。そのツールがないと日々の集計業務が回らないのですが、ある日突然エラーで動かなくなってしまって…。誰もVBAの知識がなく、コードを読んでもチンプンカンプン。結局、数日間業務がストップし、手作業でなんとか乗り切るという地獄を見ました。あの時のトラウマは忘れられません。」(元経理担当・30代女性の方の体験談より)
このように、「便利だと思っていたVBAが、いつの間にか触れてはいけない『秘伝のタレ』のようになってしまった」という話は、残念ながら多くの企業で実際に起きていることなんです。
引き継ぎの困難さとドキュメント不在の現実
属人化を防ぐためには、詳細な設計書や操作マニュアルといったドキュメントを作成し、後任者への引き継ぎを丁寧に行うことが不可欠です。しかし、日常業務に追われる中で、VBAツールのドキュメント作成まで手が回らない、あるいはその重要性が認識されていないケースが非常に多いのが実情です。結果として、口頭での簡単な説明だけで引き継がれたり、最悪の場合は何の引き継ぎもないまま担当者がいなくなってしまったりするのです。
「あの人が作ったVBAだから大丈夫だろう」という安易な信頼や、「自分がいなくなっても誰かが何とかしてくれるだろう」という無責任な態度は、将来的に大きな問題を引き起こす火種になるということを、肝に銘じておく必要があります。
【理由2】保守性の低さとメンテナンス地獄:解読不能なコードとの戦い
属人化と密接に関連するのが、VBAコードの「保守性の低さ」です。保守性とは、ソフトウェアやシステムが稼働し始めた後に、不具合の修正や機能の改善、仕様変更への対応などを、どれだけ容易に行えるかという度合いを指します。VBAは、この保守性の観点から見ると、いくつかの大きな弱点を抱えています。
スパゲッティコードと可読性の欠如
VBAは、プログラミングの作法を学ばずに書けてしまうため、処理の順序が複雑に入り組んだ「スパゲッティコード」や、変数名や関数名が意味不明で、何をしているのかさっぱり分からない「可読性の低いコード」が生まれやすい傾向にあります。
特に、古いバージョンのExcelで使われていた「マクロの記録」機能で自動生成されたコードを元に、場当たり的な修正を繰り返していくと、あっという間に解読不能なモンスターコードが出来上がってしまうことも…。
こうした保守性の低いコードは、たとえ作成者本人であっても、後から修正したり機能を追加したりするのが非常に困難です。
ちょっとした仕様変更に対応するだけでも、どこをどう直せば良いのか分からず、膨大な時間と労力を費やすことになったり、修正したつもりが別の箇所で新たなバグを生んでしまったりする「メンテナンス地獄」に陥る危険性が高いのです。

バージョン管理の難しさと変更履歴の追跡不能
現代のソフトウェア開発では、Gitのようなバージョン管理システムを使って、誰がいつどこをどのように変更したのかという履歴を管理し、必要に応じて過去の状態に戻したり、複数人での共同開発を円滑に進めたりするのが一般的です。
しかし、Excel VBAの場合、ブックそのものがバイナリファイルであるため、Gitなどのテキストベースのバージョン管理システムとの相性が悪く、変更箇所の差分を分かりやすく管理するのが難しいという問題があります。
「最新版はどれだっけ?」「誰がこの修正を入れたんだっけ?」といった混乱が生じやすく、特に複数人でVBAツールを改修していくような場合には、変更履歴の追跡が困難になり、思わぬトラブルを引き起こすこともあります。
きちんとしたバージョン管理が行われないまま、場当たり的な修正が繰り返されることで、VBAツールはますますブラックボックス化し、保守性が低下していく悪循環に陥ってしまうのです。
【理由3】セキュリティリスクの罠:マクロウイルスと情報漏洩の危険性
VBAマクロは、便利な機能を提供する一方で、悪意のある第三者によって不正なプログラム(マクロウイルス)を仕込まれ、実行されてしまうというセキュリティ上の大きなリスクも抱えています。
これは、VBAの仕組みそのものに起因する問題であり、利用者側の注意だけでは完全に防ぎきれない場合もあるため、非常に厄介です。
マクロウイルスの感染経路と巧妙な手口
マクロウイルスは、主にメールの添付ファイルや、インターネット上からダウンロードしたExcelファイルなどを経由して侵入します。
ファイルを開いた際に、利用者に気づかれないようにVBAマクロを自動実行させ、コンピューター内の情報を盗み出したり、他のファイルに感染を広げたり、あるいはシステムを破壊したりといった悪質な動作を行います。
近年では、正規の通知を装った巧妙な手口で利用者を騙し、マクロの実行を許可させようとするフィッシング詐欺のような攻撃も増えています。
「請求書」「業務連絡」といった件名のメールに添付されたファイルに、一見すると問題なさそうなVBAマクロが仕込まれており、利用者が「マクロを有効にする」ボタンをクリックした瞬間に感染してしまう、といったケースです。
Microsoft Officeには、マクロのセキュリティレベルを設定する機能があり、「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」といった設定が推奨されています。しかし、業務でVBAマクロを日常的に利用している場合、つい安易にマクロを有効化してしまったり、セキュリティレベルを下げたままにしてしまったりする危険性も否定できません。この「便利さ」と「危険性」のトレードオフが、VBAのセキュリティ問題をより複雑にしているのです。
意図しない情報漏洩のリスクと内部不正の可能性
マクロウイルスによる外部からの攻撃だけでなく、VBAのコード内に重要な情報(例えば、データベースへの接続パスワードや、個人情報を含むファイルのパスなど)がハードコーディング(直接記述)されてしまっている場合、そのExcelファイルが意図せず外部に流出したり、悪意のある内部者によって情報が盗まれたりするリスクも考えられます。
また、VBAの知識がある社員が、会社の情報を不正に持ち出すためのマクロを作成し、実行するといった内部不正の可能性もゼロではありません。
VBAは強力なツールであると同時に、使い方を誤れば大きなセキュリティインシデントを引き起こしかねない諸刃の剣であるということを、常に意識しておく必要があるでしょう。
セキュリティ対策としては、OSやOfficeアプリケーションを常に最新の状態に保つ、不審なファイルは開かない・マクロを有効にしない、VBAコード内に機密情報を直接記述しない、VBAプロジェクトにパスワードを設定するといった基本的な対策はもちろんのこと、組織全体としてVBAマクロの利用に関する明確なポリシーを定め、社員教育を徹底することが不可欠です。
【理由4】実行環境の制約と互換性の問題:OfficeバージョンやOSに振り回される
VBAで作成したマクロは、それを利用する人のコンピューター環境(Officeのバージョン、OSの種類、32bit版か64bit版かなど)によって、正常に動作しなかったり、予期せぬエラーが発生したりする「互換性の問題」に悩まされることがあります。これは、特に複数の部署や取引先とVBAマクロを共有して利用する場合に、大きな障害となる可能性があります。
Officeのバージョンアップに伴うVBAの非互換
Microsoft Officeは定期的にバージョンアップが行われますが、新しいバージョンのExcelでは、古いバージョンで作成したVBAマクロが正しく動作しなくなることがあります。
これは、VBAの内部的な仕様変更や、参照しているライブラリ(部品のようなもの)の変更などが原因で発生します。例えば、Excel 2003で完璧に動作していたマクロが、Excel 2019やMicrosoft 365ではエラーが出て動かない、といったケースです。
こうした互換性の問題を解決するためには、VBAコードを修正したり、場合によっては作り直したりする必要が出てきます。しかし、前述したように保守性の低いVBAマクロの場合、その修正作業は非常に困難を極めることがあります。
せっかく業務効率化のために作ったVBAが、Officeのバージョンアップのたびに「動かなくなるかもしれない」という不安を抱え続けるのは、精神衛生上も良くありませんよね。
WindowsとMac、32bitと64bitの壁
VBAは基本的にWindows環境のOffice製品で利用されることを前提としていますが、Mac版のOfficeでも一部の機能は利用可能です。しかし、Windows版とMac版とでは、VBAの仕様や利用できる機能に差異があるため、Windowsで作成したVBAマクロがMacでは正しく動作しない、あるいはその逆といったことが頻繁に起こります。
特に、ファイルパスの扱いや、外部ライブラリの呼び出し、ユーザーインターフェース関連の処理などは、互換性の問題が発生しやすいポイントです。
また、Officeアプリケーションが32bit版か64bit版かによっても、VBAの動作に影響が出ることがあります。特に、Windows API(OSの機能を呼び出す仕組み)を直接利用しているような高度なVBAマクロの場合、32bit版と64bit版とで宣言方法やデータ型を使い分ける必要があり、この対応を怠るとエラーが発生します。
「自分のPCでは動くのに、あの人のPCでは動かない…」そんな互換性の問題は、VBAツールの利用者にとっても、開発者にとっても、大きなストレスの原因となるのです。
【理由5】将来性の不安とスキルの陳腐化:VBAだけで生き残れる?
VBAは長年にわたり多くの場面で活用されてきましたが、その将来性については、近年疑問符が付くようになってきました。 その背景には、よりモダンで汎用性の高いプログラミング言語やツールの登場、そしてMicrosoft自身のVBAに対するスタンスの変化などがあります。
RPA、Python、Office Scripts…代替技術の台頭
前述したように、RPAやPython、そしてMicrosoftが提供するPower AutomateやOffice Scriptsといった新しい技術やツールが、VBAが得意としてきた業務自動化の領域で、急速にその存在感を増しています。これらの新しい技術は、クラウド連携、AI活用、クロスプラットフォーム対応、より高度なプログラミング機能といった点で、VBAにはない多くのメリットを持っています。
例えば、Pythonを使えば、Excel操作だけでなく、Webスクレイピング(ウェブサイトからの情報収集)、データベース操作、機械学習モデルの構築といった、より広範で高度な処理をシームレスに行うことができます。また、Power Automate for desktopのようなRPAツールは、プログラミング知識がなくても、直感的な操作で様々なアプリケーションを連携させた自動化フローを構築できます。
こうした状況の中で、「VBAのスキルだけで、今後もIT業界やビジネスシーンで価値を提供し続けられるのだろうか?」という不安を感じるエンジニアやビジネスパーソンが増えてきているのは、無理もないことかもしれません。
MicrosoftのVBAに対するスタンスとサポートの行方
Microsoftは、現時点ではVBAのサポートを継続するとしていますが、Office Scriptsのような新しいスクリプト言語を導入したり、Power Platform(Power Apps, Power Automate, Power BIなど)への投資を強化したりしていることからも、同社がVBAを将来の主流技術とは考えていない可能性が伺えます。VBAに新しい機能が積極的に追加されたり、大幅な改善が施されたりすることは、今後あまり期待できないかもしれません。
もちろん、既存の膨大なVBA資産がすぐになくなるわけではありませんし、VBAの知識が全く役に立たなくなるということもないでしょう。
しかし、長期的なキャリアを考えた場合、VBAだけに依存するのではなく、より将来性のある技術やスキルを身につけていく努力が不可欠になってくるのではないでしょうか。「VBAしかできない」という人材になってしまうと、市場価値が低下し、キャリアの選択肢が狭まってしまうリスクも考慮しておく必要があります。
「VBAはオワコンなの?」という問いに対して、明確に「はい」と答えるのは時期尚早かもしれませんが、「VBAだけでは厳しい時代が来ている」ということは、多くの方が感じ始めているのではないでしょうか。
【理由6】大規模・複雑な処理への不向き:Excelが悲鳴を上げる限界点
VBAは、ExcelやAccessといったOfficeアプリケーションの機能を拡張するための言語であり、その処理能力や扱えるデータ量には、どうしても限界があります。小規模な定型業務の自動化や、ちょっとしたデータ処理には非常に有効ですが、大規模なシステム開発や、膨大な量のデータを扱うような複雑な処理には、残念ながら向いていません。
パフォーマンスの限界と処理速度の遅さ
例えば、数万行、数十万行といった大量のデータをExcel VBAで処理しようとすると、処理に非常に長い時間がかかったり、途中でExcelがフリーズしてしまったりすることがあります。これは、VBAがインタプリタ言語(一行ずつコードを解釈しながら実行する言語)であることや、Excelのセル操作自体が比較的オーバーヘッドの大きい処理であることなどが原因です。
「ボタンを押してから、コーヒーを一杯飲んで戻ってきても、まだ処理が終わっていない…」そんな経験をしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
処理速度が遅いVBAマクロは、業務効率化どころか、かえって待ち時間を増やし、生産性を低下させてしまう可能性すらあるのです。
複雑なロジックや大規模開発における管理の困難さ
VBAは、もともと大規模なアプリケーションを開発するために設計された言語ではありません。そのため、複雑なビジネスロジックを実装したり、多くの機能を持つシステムを構築したりしようとすると、コードの管理が非常に煩雑になり、開発効率も著しく低下します。
オブジェクト指向プログラミングの機能も限定的であり、現代的なソフトウェア開発の手法を適用しにくいという側面もあります。
「ちょっとしたツールのはずが、機能追加を繰り返しているうちに、気づけば数千行を超える巨大なVBAマクロになってしまい、もう誰も全体像を把握できない…」そんな事態に陥ることも、決して珍しくありません。VBAで「何でもかんでもやろうとする」のは、多くの場合、破綻への第一歩なのです。
大規模なデータ処理や複雑なシステム開発には、データベースシステムや、Python、Java、C#といった本格的なプログラミング言語、あるいは専用の業務システム開発プラットフォームを利用する方が、はるかに効率的で、かつ安定したシステムを構築できるでしょう。
【理由7】デバッグの煩雑さとエラー処理の難解さ:見えないバグとの格闘
VBAでプログラミングを行う上で、多くの人が直面する困難の一つが、デバッグ(バグやエラーの原因を見つけて修正する作業)の煩雑さと、適切なエラー処理の実装の難しさです。これらは、VBAツールの品質や安定性に直結する重要な問題です。
貧弱なデバッグ機能とステップ実行の限界
VBAには、VBE(Visual Basic Editor)という開発環境に、ステップ実行(コードを一行ずつ実行する)、ブレークポイント(特定の位置で処理を一時停止する)、変数の値の確認といった基本的なデバッグ機能は備わっています。
しかし、より高度なプロファイリングツール(処理のボトルネックを見つけるツール)や、詳細なログ出力機能、単体テストの自動化フレームワークといった、現代的な開発環境では当たり前のように利用できる機能は、VBAにはほとんどありません。
そのため、複雑なVBAマクロで予期せぬエラーが発生した場合、その原因を特定するのに非常に手間取ることがあります。「どこで間違っているのか分からない…」「この変数の値がどうしてこうなるんだ…」と、長時間コードとにらめっこし続ける羽目になることも…。特に、他人が書いた可読性の低いコードのデバッグは、まさに苦行と言えるかもしれません。

不親切なエラーメッセージと場当たり的なエラー処理
VBAで発生するエラーメッセージは、時として非常に不親切で、エラーの原因を特定するための具体的な情報を提供してくれないことがあります。「実行時エラー ‘1004’: アプリケーション定義またはオブジェクト定義のエラーです。」といった汎用的なエラーメッセージが表示されただけでは、一体どこで何が問題なのか、見当もつかないということも…。
また、VBAでは「On Error GoTo」や「On Error Resume Next」といったステートメントを使ってエラー処理を記述しますが、これらを適切に使いこなすにはある程度の知識と経験が必要です。安易に「On Error Resume Next」(エラーが発生しても無視して次の処理に進む)を使ってしまうと、エラーの原因が隠蔽されてしまい、後でより深刻な問題を引き起こす可能性もあります。場当たり的なエラー処理は、VBAツールの信頼性を著しく低下させる原因となるのです。
堅牢で安定したVBAツールを作成するためには、丁寧なデバッグと、予期せぬ事態にも適切に対応できるエラー処理の設計が不可欠ですが、VBAの環境ではそれらを実現するのが比較的難しいという現実があることを、理解しておく必要があるでしょう。
それでもVBAを学ぶ・使うあなたへ:後悔しないための心構えと賢明な活用法
ここまで、VBAの学習や活用に関して、多くの注意点やリスク、そして「やめとけ」と言われる理由について、少し厳しい内容も含めて詳しくお話ししてきました。正直なところ、「やっぱりVBAは難しいのかな…」「自分には向いていないかもしれない…」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、これまでの説明は、VBAの全てを否定するものではありません。VBAにはVBAの良さがあり、使い方や目的を間違えなければ、依然として強力な業務効率化ツールとなり得るのです。
もし、これらのリスクを十分に理解した上で、それでも「VBAを学んで、自分の業務を少しでも楽にしたい!」「VBAを使って、身の回りのちょっとした問題を解決したい!」と強く願うのであれば、後悔しないために、ぜひ以下の点を心に留めて、賢明な活用法を模索していってほしいと思います。
VBAを学ぶ目的の明確化と適切な期待値設定:「魔法の杖」ではないことを理解する
まず何よりも大切なのは、「自分は何のためにVBAを学ぶのか」「VBAを使って具体的に何を達成したいのか」という目的を明確にすることです。そして、VBAは決して「何でもできる魔法の杖」ではないということを理解し、適切な期待値を持つことが重要です。
「VBAを覚えれば、あらゆる面倒な仕事から解放されるはず!」といった過度な期待は、後々の失望に繋がりかねません。
例えば、「毎月手作業で行っている数十件のデータ転記作業を自動化して、1時間かかっていた作業を5分に短縮したい」とか、「複数のExcelファイルから必要な情報だけを抜き出して、簡単な集計レポートを自動作成したい」といった、具体的で現実的な目標を設定しましょう。
そして、その目標達成のためにVBAが本当に最適な手段なのか、他のツール(例えばPower QueryやPower Automateなど)の方が適していないか、といった比較検討も行うべきです。目的が明確であれば、学習のモチベーションも維持しやすいですし、VBAの限界が見えてきた時に、潔く他の手段に切り替える判断もしやすくなるはずです。
小規模な定型業務の自動化に特化する:VBAが得意な領域を見極める
VBAは、個人利用や、ごく小規模な範囲での定型業務の自動化といった、いわゆる「野良IT」的な使い方において、その真価を発揮しやすいツールです。
大規模なシステム開発や、組織全体で利用するような基幹業務システムをVBAで構築しようと考えるのは、多くの場合、賢明な判断とは言えません。VBAが得意とする領域と、そうでない領域をしっかりと見極め、無理のない範囲で活用することを心がけましょう。
例えば、以下のようなケースでは、VBAが有効な選択肢となり得ます。
- 自分自身が日常的に行っている、単純な繰り返し作業の自動化。
- 数人程度の小さなチーム内で共有する、ごく簡単な業務補助ツールの作成。
- 他のシステムから出力されたCSVファイルを、Excelで定型的な形に整形する作業の自動化。
- 一時的に発生する、大量のデータ修正作業の効率化(ただし、元に戻せるようにバックアップは必須です)。
こうした「ちょっとした困りごと」を、手軽に解決できるのがVBAの魅力です。「大掛かりなシステムを導入するほどではないけれど、手作業では非効率…」そんなニッチなニーズに応えられるのが、VBAの良いところだと言えるでしょう。
逆に言えば、それ以上の複雑な要求や、高い信頼性・安全性が求められる業務には、VBA以外の専門的なツールや開発言語を検討すべきです。
可読性と保守性を意識したコーディング規約の徹底:未来の自分と他人のために
もしあなたがVBAでコードを書くのであれば、たとえ個人利用の小さなマクロであっても、常に「可読性(読みやすさ)」と「保守性(メンテナンスのしやすさ)」を意識したコーディングを心がけることが、将来の自分自身、そして(もし共有するならば)他の利用者のために、非常に重要です。
「動けばいい」という考えで書かれたVBAコードは、後で必ず後悔の種になります。
具体的には、以下のような点を意識しましょう。
- 適切なコメントの記述:処理の目的や、複雑なロジックの部分には、分かりやすいコメントを記述する。「なぜこのような処理をしているのか」が、後から見ても理解できるように。
- 意味の分かる変数名・関数名の使用:`a` や `b` といった意味不明な変数名ではなく、`customerName` や `calculateTotalPrice` のように、その変数や関数が何を表しているのか、何をするのかが一目で分かるような名前を付ける。
- インデント(字下げ)の徹底:`If`文や`For`ループなどの制御構造に合わせて、適切にインデントを行い、コードの構造を視覚的に分かりやすくする。
- 処理のモジュール化(プロシージャ分割):長い処理は、意味のある単位で複数のプロシージャ(Sub や Function)に分割する。一つのプロシージャが一つの役割だけを持つように心がけることで、コードの見通しが良くなり、再利用性も高まります。
- マジックナンバーの排除:コードの中に直接書かれた意味不明な数値(マジックナンバー)を避け、定数として定義するか、あるいはセルから読み込むようにする。
- エラー処理の適切な実装:予期せぬエラーが発生した場合にも、プログラムが異常終了したり、データを破壊したりしないように、`On Error`ステートメントなどを適切に使ってエラー処理を実装する。
こうしたコーディング規約(ルール)を自分なりに定め、それを守ってVBAを作成する習慣をつけることが、属人化やブラックボックス化を防ぎ、メンテナンス地獄に陥らないための第一歩です。
もしチームでVBAツールを開発・利用するのであれば、チーム共通のコーディング規約を策定し、レビュー体制を整えることが強く推奨されます。
「そんな面倒なことまでやっていられないよ…」と思うかもしれません。しかし、この一手間が、将来の膨大な時間と労力の節約に繋がるのです。美しいコードは、バグを生みにくく、そして修正しやすいということを、ぜひ覚えておいてくださいね。
セキュリティ対策の徹底とマクロ有効化の慎重な判断:危険性を常に意識する
VBAを利用する上で、セキュリティに対する意識を常に高く持つことは、絶対に欠かせません。 マクロウイルスの危険性や、情報漏洩のリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが求められます。
まず、基本中の基本として、出所不明なファイルや、信頼できない相手から送られてきたExcelファイルのマクロは、絶対に安易に有効化しないことです。
Excelのセキュリティ設定で、「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」または「デジタル署名されたマクロを除き、すべてのマクロを無効にする」といった設定にしておき、マクロを実行する必要がある場合のみ、その都度慎重に判断するようにしましょう。「内容の有効化」ボタンを気軽にクリックする癖は、今すぐ改めるべきです。
自身でVBAマクロを作成・配布する場合にも、セキュリティへの配慮が必要です。
- VBAプロジェクトにパスワードを設定し、意図しないコードの閲覧や改変を防ぐ。
- マクロ内にパスワードや機密情報などの重要な情報を直接記述(ハードコーディング)しない。必要な情報は、実行時に入力させるか、安全な場所に別途保管し参照するようにする。
- 信頼できる認証局から発行されたデジタル署名をVBAプロジェクトに付与することを検討する(企業などでVBAを広く展開する場合)。
- VBAマクロの機能を必要最小限に留め、意図しないファイル操作や外部通信などを行わないように注意する。
VBAは便利なツールですが、その利便性の裏には常にセキュリティリスクが潜んでいるということを忘れずに、慎重な取り扱いを心がけてください。「自分だけは大丈夫」という過信は禁物ですよ。
VBA以外の選択肢(RPA、Python、Power Automateなど)も常に視野に入れる
VBAを学ぶこと、あるいはVBAで業務改善を行うことは素晴らしいことですが、それが唯一の選択肢ではないということを、常に意識しておくことが重要です。
VBAの限界を感じたり、より高度な自動化やデータ分析、あるいはOffice製品以外のアプリケーションとの連携が必要になったりした場合には、VBA以外のツールや技術に目を向ける柔軟性を持ちましょう。
例えば、以下のような場合には、VBA以外の選択肢を検討する価値があります。
- 複数のアプリケーションをまたいだ定型業務の自動化:RPAツール(UiPath, Automation Anywhere, Power Automate for desktopなど)が適している場合があります。これらのツールは、画面操作の記録・再現によって、プログラミング知識がなくても比較的簡単に自動化フローを構築できます。
- 大量のデータ処理、高度な統計分析、機械学習:Pythonとその豊富なライブラリ(Pandas, NumPy, Scikit-learnなど)が強力な選択肢となります。Excelでは処理しきれないような大規模データも扱え、より専門的な分析が可能です。
- Webブラウザ操作の自動化、Webスクレイピング:Python (Selenium, Beautiful Soupなど) や、専用のRPAツール、あるいはブラウザ拡張機能などが考えられます。
- クラウドサービスとの連携、ローコード・ノーコードでのアプリ開発:Microsoft Power Platform (Power Apps, Power Automate, Power BI) や Google AppSheet、Google Apps Script (GAS) などが有効です。
VBAの学習と並行して、これらの新しい技術やツールに関する情報収集を少しずつでも進めておくと、将来的にVBAの限界に直面した際に、スムーズに次のステップへ移行できる可能性が高まります。VBAはあくまで「道具箱の中の一つのツール」と捉え、状況に応じて最適な道具を選び取れるようになることが、これからの時代に求められるスキルと言えるでしょう。
「自分にはVBAしかない」と思い込まず、常に広い視野を持ち、新しい学びを続ける姿勢が大切ですね。
VBAの限界を理解し、無理な開発は避ける:適切なツールを選ぶ目
【理由6】でも触れましたが、VBAにはその処理能力や機能において限界があります。
「VBAで何でもできる」と過信し、本来VBAが不得意とするような大規模で複雑な処理を無理やり実装しようとすると、多くの場合、失敗に終わるか、あるいは非常に不安定でメンテナンス困難なモンスターシステムを生み出してしまう結果になります。
VBAで開発を始める前に、「本当にこの要件はVBAで実現可能なのか?」「VBAで実装した場合のパフォーマンスは問題ないか?」「将来的な拡張性や保守性は確保できるか?」といった点を冷静に評価し、もしVBAでは荷が重いと判断したならば、勇気を持って他のツールや開発手法を選択する決断が必要です。
例えば、以下のようなケースでは、VBAでの開発は避けるべきか、少なくとも慎重な検討が必要です。
- 数万件以上の大量のデータを頻繁に処理する必要がある場合。
- 複数のユーザーが同時にアクセスし、データを更新するような共有システムを構築したい場合。
- 高度なセキュリティ要件や、厳密なトランザクション管理(処理の一貫性を保証する仕組み)が求められる業務。
- 頻繁な仕様変更や機能追加が予想される、長期的に運用するシステム。
- Webアプリケーションやスマートフォンアプリとの連携が必須な場合。
「ハンマーしか持っていなければ、全ての問題が釘に見える」という言葉がありますが、VBAしか知らないと、あらゆる業務課題をVBAで解決しようとしてしまいがちです。 そうならないためにも、VBAの得意なこと、不得意なことを正しく理解し、それぞれの課題に対して最も適切なツールを選択できる「目」を養うことが重要です。
時には、「VBAを使わない」という判断が、最良の判断であることもあるのです。
学習リソースの活用とコミュニティへの参加:独学の限界を超えるために
もしVBAを本格的に学ぶのであれば、書籍やインターネット上の情報だけで独学するのには限界があるかもしれません。特に、プログラミング経験が全くない方にとっては、基本的な概念の理解や、エラーの原因究明でつまずいてしまうことも多いでしょう。
そうした場合には、以下のような学習リソースやコミュニティを活用することを検討してみてください。
- VBA専門の学習サイトやオンラインコース:体系的にVBAを学べる教材や、動画で分かりやすく解説してくれるコースが多数存在します。自分のペースで学習を進められるのがメリットです。
- プログラミングスクール:短期間で集中的にVBAを学びたい場合や、講師に直接質問しながら学習を進めたい場合には、プログラミングスクールのVBAコースも選択肢の一つです。費用はかかりますが、効率的にスキルを習得できる可能性があります。
- 企業の研修制度:もし会社でVBA研修が用意されているのであれば、積極的に参加しましょう。業務に即した内容を学べるかもしれません。
- VBAに関する書籍:初心者向けから上級者向けまで、様々なレベルの書籍が出版されています。自分のレベルや目的に合ったものを選び、体系的な知識を身につけるのに役立ちます。
- 技術系Q&Aサイトやフォーラム:teratailやStack Overflowのようなサイトでは、VBAに関する質問をしたり、他の人の質問と回答を参考にしたりすることができます。行き詰まった時の問題解決に役立つでしょう。
- VBAのユーザーコミュニティや勉強会:同じようにVBAを学んでいる仲間と情報交換をしたり、経験豊富な人からアドバイスをもらったりする機会は、モチベーション維持や新たな発見に繋がります。

独学で行き詰まってVBA学習を挫折してしまう前に、こうした外部のリソースやコミュニティの力を借りることも考えてみてくださいね。誰かに教えてもらったり、仲間と一緒に学んだりすることで、独学では得られない気づきや、問題解決への近道が見つかることも多いはずです。
VBA学習・活用「やめとけ」理由の総括と、賢い業務自動化のために
今回は、「VBA学習はやめとけ!Excel自動化の罠と後悔しないための7つの警告」というテーマで、VBAの概要から、その学習や活用をおすすめしない具体的な理由、そしてそれでもVBAと向き合う場合の心構えや賢明な活用法について、詳しくお話ししてきました。
最後に、この記事でお伝えしたかった大切なポイントを、改めてまとめてみたいと思います。
- VBAは、ExcelなどのOffice製品の操作を自動化できる便利なツールですが、その手軽さの裏には、属人化、保守性の低下、セキュリティリスク、実行環境の制約、将来性の不安、大規模処理への不向き、デバッグの煩雑さといった、多くの深刻な問題点が潜んでいます。
- これらの問題を理解せずに安易にVBAの学習や活用に踏み出すと、「こんなはずじゃなかった」と後悔したり、業務に悪影響を及ぼしたり、あるいは自身のキャリアにとってマイナスになったりする可能性があります。
- 「VBAはやめとけ」という声は、こうしたVBAが抱える構造的な課題やリスクに対する警鐘であり、VBAを万能な解決策と過信することの危険性を示唆しています。
- それでもVBAを学ぶ、あるいは活用するのであれば、目的を明確にし、VBAが得意とする小規模な定型業務の自動化に特化し、可読性と保守性を意識したコーディングを徹底し、セキュリティ対策を怠らず、そして常にVBA以外の選択肢も視野に入れるといった、賢明なアプローチが不可欠です。
- VBAはあくまで「数ある業務自動化手段の一つ」と捉え、それぞれの課題に対して最も適切なツールや技術を選択できる「目」を養うことが、これからの時代に求められる重要なスキルです。
- そして何よりも、どのような技術を学ぶにしても、どのようなツールを使うにしても、そのメリットとデメリット、得意なことと不得意なことを正しく理解し、情報を鵜呑みにせず、最終的にはご自身が心から納得できる選択をすることが、後悔のないキャリアと、より良い業務改善に繋がる最も大切な秘訣です。
VBAは、決して「終わった技術」ではありません。今でも多くの現場で、その手軽さとOffice製品との親和性の高さから、なくてはならないツールとして活躍しています。しかし、その一方で、VBAが抱える課題や限界もまた、紛れもない事実です。
この記事が、皆さんがVBAという技術と、そして業務自動化という大きなテーマについて、多角的に深く考えるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。皆さんの日々の業務が、より創造的で、より価値のあるものになることを、心から応援しています。