中古86はやめとけ!スポーツカー購入で後悔しないための7つの致命的失敗

やめとけ

「いつかはスポーツカーに乗ってみたい!」そんな夢をお持ちの学生さんや社会人の方も多いのではないでしょうか。特に、トヨタ86(ハチロク)やその兄弟車であるスバルBRZは、比較的手の届きやすい価格帯でありながら、本格的なFR(フロントエンジン・リアドライブ)の走りを楽しめるピュアスポーツカーとして、若い世代を中心に絶大な人気を誇っていますよね。

新車はちょっと手が出なくても、「中古の86なら憧れのスポーツカーライフが実現できるかも!」と、中古車市場をチェックしている方もいらっしゃるかもしれません。でも、インターネットで「86 中古」と検索してみると、「86 中古 やめとけ」「86 中古 後悔」「86 中古 故障」なんて、少し気になる言葉も一緒に表示されることがあるんです。

「え、そんなに問題があるの?せっかく夢を叶えようと思ったのに…」と、不安に感じてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。一体どうして、そんな声があがってしまうのでしょう?

この記事では、中古のトヨタ86(及びスバルBRZ)について、なぜ一部で「やめとけ」と言われてしまうのか、どんな点に注意しないと購入後に大きな後悔につながってしまうのか、その理由を一つひとつ丁寧に、そして皆さんに分かりやすくご説明していきたいと思います。

もちろん、中古の86には魅力的な個体もたくさんありますし、素晴らしいカーライフを送っているオーナーさんも大勢いらっしゃいます。でも、今回はあえて「やめとけ」と言われる側面から、皆さんが大切な車選びで失敗しないためのお手伝いができれば嬉しいです。憧れの車だからこそ、購入前の下調べはとっても大切ですからね。

この記事でお伝えしたいこと

  • トヨタ86/スバルBRZの基本的な概要と、中古車市場での人気
  • なぜ中古の86が「やめとけ」と言われるのか、その具体的な7つの理由
  • 中古86を購入して後悔しやすいケースや潜在的なリスク
  • それでも中古の86に乗りたいと考えた場合に、失敗を避け、賢明な判断をするための重要な注意点と選び方のコツ
  • ご自身のカーライフの目的や価値観に、中古の86という選択が本当に合っているのかを見極めるためのヒント

  1. 中古86(トヨタ86/スバルBRZ)とは?その概要と人気の背景
    1. トヨタ86/スバルBRZの基本的な紹介
    2. 中古86が人気の理由
    3. 中古86の一般的なメリット・デメリット
  2. 中古86はやめとけと言われる7つの深刻な理由
    1. 【理由①】初期モデル(特に2012年~2013年式)はエンジン・ミッション系トラブルのリスクが高いから
    2. 【理由②】スポーツ走行歴のある個体が多く、見えない部分にダメージが潜んでいるから
    3. 【理由③】修復歴車や粗悪なカスタムが施された車両が多いから
    4. 【理由④】維持費(特に部品代・任意保険料)が予想以上にかかる可能性があるから
    5. 【理由⑤】燃費が悪く、現代のエコカー基準では経済的負担が大きいから
    6. 【理由⑥】実用性が低く、ファミリーユースや日常の足としては不便だから
    7. 【理由⑦】盗難リスクが高く、セキュリティ対策が必須で追加費用もかかるから
  3. それでも中古86に乗りたい!後悔しないための賢い選択と注意点
    1. 【ポイント①】自分のカーライフの目的と、86に本当に求めるものを明確にする
    2. 【ポイント②】信頼できる販売店を選び、整備記録や保証内容を徹底的に確認する
    3. 【ポイント③】試乗は必須!エンジン音、ミッション、足回り、異音の有無などを五感でチェック
    4. 【ポイント④】可能な限り高年式・低走行で、ノーマルに近い状態の個体を選ぶ
    5. 【ポイント⑤】購入後の維持費(特に任意保険料と将来の修理・部品交換費用)を具体的に把握しておく
  4. 中古86購入で後悔しないための「やめとけ」理由総括

中古86(トヨタ86/スバルBRZ)とは?その概要と人気の背景

まずはじめに、「トヨタ86って、そもそもどんな車なの?」「どうして中古車でも人気があるの?」という方のために、86の基本的なところからご説明しますね。その成り立ちや特徴を知ることは、中古車選びのポイントを理解する上でもとても大切なんですよ。

トヨタ86/スバルBRZの基本的な紹介

トヨタ86(ZN6型)とスバルBRZ(ZC6型)は、トヨタ自動車とスバル(当時は富士重工業)が共同開発した、2ドアクーペタイプのFRスポーツカーです。2012年に初代モデルが登場し、「誰もが手軽に走りを楽しめるスポーツカー」というコンセプトで開発されました。

車名の「86」は、1980年代に人気を博したスポーティーな小型FR車「カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)」の愛称「ハチロク」に由来しており、その精神を受け継ぐモデルとして名付けられたんですよ。

この車の最大の特徴は、何といっても「FRレイアウト」と「低重心な水平対向エンジン」の組み合わせです。スバルが得意とする水平対向4気筒エンジン(FA20型、NA:自然吸気で約200馬力)をフロントに低く搭載し、後輪を駆動するFR方式を採用することで、優れたハンドリング性能と、ドライバーの意のままに操れる運転の楽しさを実現しています。

トランスミッションは6速MT(マニュアルトランスミッション)と6速AT(オートマチックトランスミッション)が用意されていて、特にMTモデルはスポーツ走行を好むドライバーから高い支持を得ています。

エクステリアデザインも、低く構えたワイド&ローなフォルムが特徴的で、いかにも「スポーツカー」といったスタイリッシュな外観ですよね。インテリアも、ドライバー中心の機能的なデザインで、運転に集中できる空間が作られています。2+2シーター(前席2名+後席は補助的な2名)のレイアウトですが、実質的には大人2人が快適に乗れるクーペと考えるのが良いでしょう。

初代モデルは2021年まで生産され、その後、2021年からは2代目となるGR86(ZN8型)と新型BRZ(ZD8型)が登場しています。そのため、現在中古車市場で「86」として流通しているのは、主にこの初代ZN6/ZC6型ということになりますね。

中古86が人気の理由

初代86/BRZは、新車販売当時から人気がありましたが、中古車市場においても、その人気は依然として高いものがあります。その理由としては、以下のような点が考えられます。

  • 比較的手頃な価格で本格FRスポーツカーが手に入る:新車価格は200万円台後半から300万円台が中心でしたが、中古車であれば、年式や状態によっては100万円台から見つけることも可能です(ただし、状態には注意が必要です)。本格的なFRスポーツカーとしては、比較的手の届きやすい価格帯と言えるでしょう。
  • 運転する楽しさ:やはり、FRならではの素直なハンドリングや、NAエンジンならではの吹け上がりの良さなど、「運転していて楽しい」と感じさせてくれる車であることは大きな魅力です。
  • 豊富なアフターパーツとカスタマイズの自由度:86/BRZはアフターパーツ市場が非常に活発で、サスペンション、マフラー、エアロパーツ、ホイールなど、多種多様なカスタムパーツが販売されています。自分好みの一台に仕上げる楽しみがあるのも、人気の理由の一つです。
  • モータースポーツのベース車両としても人気:その素性の良さから、サーキット走行やジムカーナ、ドリフトといったモータースポーツのベース車両としても非常に人気が高く、そうした層からの需要も根強いです。
  • スタイリッシュなデザイン:年数が経過しても古さを感じさせにくい、普遍的なスポーツカーのデザインも魅力です。

こうした理由から、特に若い世代の車好きや、手軽にスポーツ走行を楽しみたいと考える方々にとって、中古の86/BRZは非常に魅力的な選択肢となっているんですね。

中古86の一般的なメリット・デメリット

ここで、中古の86/BRZを購入する場合の一般的なメリットとデメリットを簡単に整理しておきましょう。

メリット

  • 新車よりも安価に購入できる可能性がある。
  • 豊富な中古車の中から、予算や好みに合わせて選べる。
  • 既にカスタマイズされた車両が見つかることもある(好みが合えばお得)。
  • FRスポーツカーならではの運転の楽しさを味わえる。

デメリット

  • 車両の状態に個体差が大きく、見極めが難しい。
  • スポーツ走行されていた可能性があり、見えない部分にダメージが蓄積していることも。
  • 初期モデルには特有のトラブルが報告されている場合がある。
  • 維持費(特に修理費や部品代)が国産の一般的な乗用車よりも高くなる可能性がある。
  • 実用性(室内空間、積載性、燃費など)は低い。

これらのメリット・デメリットを念頭に置きながら、なぜ「やめとけ」と言われるのか、その具体的な理由を掘り下げていきましょう。


中古86はやめとけと言われる7つの深刻な理由

さて、ここからが本題です。中古の86/BRZの魅力は十分に理解できるものの、なぜ一部で「中古86はやめとけ」という、購入をためらわせるような声があがってしまうのでしょうか。

その具体的な理由を7つに絞って、詳しくご説明していきたいと思います。これらの理由を知っておくことは、皆さんが中古の86/BRZを購入して後悔しないために、非常に重要になってくるはずです。

【理由①】初期モデル(特に2012年~2013年式)はエンジン・ミッション系トラブルのリスクが高いから

どんな車でも、モデルチェンジ直後や発売初期のモデルには、ある程度の初期不良や設計上の問題点が潜んでいる可能性があります。

残念ながら、初代86/BRZの初期モデル(特に2012年から2013年にかけて生産された車両)においても、いくつかの特有のトラブルが報告されているのです。

その中でも特に注意が必要なのが、心臓部であるFA20型エンジンに関するトラブルです。具体的には、以下のような事例がオーナーの間で話題になることがあります。

  • エンジンオイル漏れ・滲み:ヘッドカバーガスケットやタイミングチェーンカバーなどからのオイル漏れ。
  • バルブスプリングの不具合:特定の生産時期のエンジンにおいて、バルブスプリングが折損するなどのトラブルが報告され、リコールやサービスキャンペーンの対象となったケースもあります。放置するとエンジンブロー(エンジンが壊れること)に繋がる可能性もある重大なトラブルです。
  • アイドリング不調やエンスト:原因は様々ですが、スロットルボディの汚れや、O2センサー、カム角センサーなどのセンサー類の不具合などが考えられます。
  • 水平対向エンジン特有のメンテナンスの難しさ:プラグ交換などが、一般的な直列エンジンに比べて手間や工賃がかかる場合があります。

また、トランスミッションに関しても、初期のMTモデルで特定のギアに入りにくい、あるいは異音が発生するといった不具合が報告されることもありました。ATモデルに関しても、稀に変速ショックが大きいなどの事例があるようです。

もちろん、これらのトラブルが全ての初期モデルで発生するわけではありませんし、メーカーによる対策が施されている場合もあります。しかし、中古車として流通している初期モデルの中には、こうした潜在的なリスクを抱えている個体が含まれている可能性は否定できません。

もし、購入後にこうしたエンジントラブルなどが発生した場合、修理費用は数十万円単位、場合によっては100万円近くかかることもあり得るのです。これは非常に大きな経済的負担ですよね。

「安かったから初期モデルに飛びついたけど、すぐにエンジンが壊れて修理代で結局高くついた…」なんてことになったら、目も当てられません。特に、個人売買や保証の薄い中古車店で購入する場合は、こうしたリスクを十分に理解し、車両の状態を慎重に見極める必要があります。可能であれば、マイナーチェンジ後の2016年式以降のモデル(後期型)を選ぶ方が、こうした初期トラブルのリスクは低減されると言われています。

「中古で買った前期型の86、買って半年でエンジンから異音が…。ディーラーで見てもらったら、バルブスプリングのリコール対象だったけど、有償修理の部分もあって結局20万円くらいかかった。やっぱり初期型は怖いね。」(86オーナーのブログより)

「安物買いの銭失い」にならないためにも、初期モデル、特にその中でもトラブル報告の多い年式の車両には、細心の注意が必要です。

【理由②】スポーツ走行歴のある個体が多く、見えない部分にダメージが潜んでいるから

トヨタ86/BRZは、その成り立ちからして「走りを楽しむ」ための車です。そのため、中古車市場に出回っている個体の中には、サーキット走行やジムカーナ、ドリフトといった、いわゆる「スポーツ走行」を経験してきた車両が少なくありません

もちろん、適切にメンテナンスされ、丁寧に扱われていれば、スポーツ走行をしていたからといって必ずしも状態が悪いとは限りません。しかし、一般的な街乗り中心の車と比べると、以下のようなリスクが高まるのは事実です。

  • エンジンやトランスミッションへの高負荷:高回転域を多用したり、急なシフトチェンジを繰り返したりすることで、エンジンやミッション、クラッチといった駆動系部品の消耗が早まっている可能性があります。
  • ボディやシャシーへの歪み・ダメージ:縁石に乗り上げたり、スピンしたり、あるいは軽い接触事故を起こしたりしていなくても、繰り返される強いG(加速度)や振動によって、ボディやシャシー(車の骨格部分)に目に見えない歪みや金属疲労が蓄積していることがあります。これは、将来的に車の直進安定性に影響したり、異音の原因になったりする可能性があります。
  • サスペンションやブレーキ周りの消耗:ハードなブレーキングやコーナリングは、ブレーキパッドやローター、サスペンションのブッシュ類、ショックアブソーバーなどの消耗を早めます。これらの部品は交換すると比較的高価なものが多いです。
  • 隠れた修復歴:サーキット走行などでクラッシュし、修復されているものの、その事実が巧妙に隠されている(あるいは販売店も把握していない)ケースも考えられます。

問題なのは、こうした「見えないダメージ」は、外観を綺麗に仕上げられていたり、巧妙に隠されていたりすると、素人目にはなかなか見抜くのが難しいということです。

試乗しただけでは分からないことも多いでしょう。「見た目はピカピカで、走行距離もそこそこだったのに、購入後に次々と不具合が出てきた…実は前のオーナーがサーキットで酷使していたらしい…」なんて話も、残念ながら耳にすることがあります。

特に、極端に車高が低くされていたり、派手なエアロパーツが付いていたり、ロールケージが組まれていたりするような、いかにも「走っていました」という雰囲気の車両は、そのリスクを十分に理解した上で検討する必要があります。もちろん、そうしたカスタムが好みで、それを承知で購入するなら問題ありませんが、単に「カッコいいから」という理由だけで安易に手を出すのは危険です。

「中古のBRZ、試乗では快調だったのに、買ってしばらくしたらミッションから異音が…。整備工場で見てもらったら、どうやら前のオーナーがかなりハードに走ってたみたいで、シンクロがダメになってた。ミッション載せ替えで結局40万円くらいかかったよ…。」(中古車購入者のSNS投稿より)

スポーツ走行歴のある個体全てがダメというわけではありませんが、そうした過去を持つ可能性が高い車種であるという認識を持ち、より慎重な車両選びが求められることは間違いありません。

【理由③】修復歴車や粗悪なカスタムが施された車両が多いから

中古の86/BRZを探していると、相場よりも明らかに安い価格で販売されている車両を見かけることがあります。しかし、そうした「格安物件」には、修復歴(事故などで車の骨格部分を修復した経歴)があったり、あるいは素人による粗悪なカスタマイズが施されていたりするケースが少なくありません。

修復歴車は、たとえ綺麗に直されていたとしても、以下のようなリスクを抱えています。

  • 走行安定性の低下:フレームに歪みが残っていると、まっすぐ走らなかったり、高速走行時に不安定になったりすることがあります。
  • 耐久性の低下:修復箇所から錆が発生しやすかったり、ボディ剛性が低下していたりする可能性があります。
  • 再修理時の問題:再度事故を起こした場合、修復歴があることで修理が困難になったり、保険の査定額が低くなったりすることがあります。
  • 売却時の査定額の大幅ダウン:次に売却する際に、修復歴があるというだけで査定額が大幅に下がってしまいます。

また、86/BRZはカスタマイズが人気な車種だけに、中古車市場にも様々なカスタムが施された車両が出回っています。プロショップが手がけた質の高いカスタムであれば問題ないこともありますが、中には、

  • 車検に通らない違法改造:マフラーの音量が大きすぎる、最低地上高が低すぎる、タイヤがフェンダーからはみ出しているなど。
  • 安全性や耐久性を損なうような粗悪なパーツの取り付けやDIYカスタム:配線処理が雑でショートの危険性がある、足回りの取り付けが不適切で走行中に脱落する恐れがあるなど。
  • 元に戻すのが困難な、あるいは非常に高額な費用がかかるカスタム:エンジン内部にまで手が入っているが、その詳細が不明な場合など。

といった、いわゆる「ハズレ」のカスタム車も紛れ込んでいる可能性があります。「見た目がカッコいいから」「パワーアップしてそうだから」と安易に飛びつくと、購入後に車検に通らなかったり、次々とトラブルが発生したり、あるいは元に戻すのに多額の費用がかかったりして、結局高くついてしまうことになりかねません。

中古車販売店は、修復歴がある場合にはその旨を表示する義務がありますが、その表示が適切に行われていなかったり、あるいは販売店自身も把握していない「隠れ修復歴」があったりする可能性もゼロではありません。また、カスタム内容についても、全てを正確に把握しているとは限りません。

「ネットで見つけた激安の86、現車確認もそこそこに契約しちゃったんだけど、納車後に整備工場で見てもらったら『これ、フロント結構ひどく事故ってるよ』って言われた。修復歴ありとは聞いてなかったのに…。安いのにはやっぱり理由があるんだね。」(中古車購入経験者の声)

特に、相場よりも極端に安い車両や、個人売買、信頼性の低い販売店から購入する場合は、修復歴の有無やカスタムの状態を、専門家の目も借りながら徹底的にチェックすることが不可欠です。「安物買いの銭失い」の典型的なパターンに陥らないように、細心の注意を払いましょう。

【理由④】維持費(特に部品代・任意保険料)が予想以上にかかる可能性があるから

「スポーツカーは維持費が高い」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、中古の86/BRZも、残念ながらその例に漏れません。

国産車ではありますが、一般的なコンパクトカーやセダンなどと比較すると、様々な面で維持費が高くつく可能性があります。

特に注意したいのが、以下の項目です。

  • 部品代:86/BRZは専用設計の部品も多く、また、スポーツ走行を前提とした高性能な部品(ブレーキパッド、クラッチ、サスペンションなど)が使われている場合があるため、これらの消耗品を交換する際の部品代が、一般的な乗用車よりも高くなる傾向があります。また、万が一エンジンやミッションにトラブルが発生した場合の修理費用も、前述の通り高額になりがちです。
  • 任意保険料ここが大きなポイントです。86/BRZは、スポーツカーであり、事故率が比較的高いと見なされることや、盗難リスクが高い(後述します)ことなどから、車両料率クラスが高く設定されていることが一般的です。その結果、任意保険料、特に車両保険の保険料が、同程度の価格帯の他の国産車と比較して、かなり割高になるケースが多いのです。若い世代の方が加入する場合や、車両保険の補償内容を手厚くすると、年間で数十万円の保険料になることも珍しくありません。
  • タイヤ代:スポーツ走行に適した高性能なタイヤ(ハイグリップタイヤなど)を装着している場合が多く、これらのタイヤは一般的なエコタイヤなどと比べて価格が高く、また摩耗も早い傾向にあります。タイヤ交換の頻度や費用も考慮に入れておく必要があります。
  • ガソリン代:FA20型エンジンはハイオクガソリン指定ではありませんが(レギュラーガソリン対応)、より性能を引き出すためにハイオクを入れているオーナーもいます。また、スポーツ走行をすれば当然燃費は悪化します。燃費性能自体も、最新のエコカーと比べると見劣りします(後述)。
  • 税金:自動車税(種別割)は2.0Lクラスなので標準的ですが、年式が古くなってくると(初度登録から13年経過など)、自動車税や自動車重量税が重課される対象になってきます。

購入時の車両価格が安くても、こうした維持費が毎月、あるいは毎年かさんでくると、トータルで見た場合のコストは決して安くはない、ということに気づかされるでしょう。

「車は買えたけど、維持費が高くて乗れない…」なんてことになったら悲しいですよね。

中古の86/BRZの購入を検討する際には、車両価格だけでなく、これらの維持費についても事前にしっかりとシミュレーションし、ご自身の経済状況で無理なく維持していけるのかを冷静に判断することが大切です。特に、任意保険料については、複数の保険会社から見積もりを取ってみることを強くお勧めします。

「念願の86中古で買ったけど、任意保険の見積もり取ったら、車両保険つけると年間20万円超えだって言われてビックリ!こんなに高いなんて思ってなかった…。学生にはちょっと厳しいかな。」(20代学生さんの声)

「憧れ」だけでは乗り越えられない、現実的なお金の問題があることを忘れてはいけません。

【理由⑤】燃費が悪く、現代のエコカー基準では経済的負担が大きいから

トヨタ86/BRZのFA20型エンジンは、NA(自然吸気)ならではの気持ちの良い吹け上がりとレスポンスの良さが魅力ですが、その一方で、燃費性能については、現代の車、特にハイブリッドカーや最新のダウンサイジングターボ車などと比較すると、残念ながらあまり良いとは言えません

カタログ燃費(JC08モード)で見てみると、MT車で12.4km/L~13.0km/L程度、AT車で11.8km/L~12.8km/L程度(グレードや年式により多少異なります)となっています。

しかし、これはあくまで理想的な条件下での数値であり、実際の市街地走行などでは、これよりも低い数値(例えば、リッターあたり8km~10km程度)になることが多いようです。もちろん、運転の仕方や走行状況によって大きく変わりますし、スポーツ走行をすればさらに悪化します。

ガソリン価格が高騰している昨今、この燃費の悪さは、日常的に車を使う方にとっては、毎月のガソリン代という形で、直接的に家計を圧迫する要因となります。

「毎日の通勤で使いたい」「週末は長距離ドライブを楽しみたい」と考えている方にとっては、この経済的な負担は決して小さくありません。

「スポーツカーなんだから、燃費を気にするのは野暮だ」という意見もあるかもしれません。確かに、走りの楽しさを追求した車ですから、燃費性能が最優先事項ではないことは理解できます。しかし、現実問題として、燃料代は車の維持費の中で大きな割合を占めるものです。

特に、予算に限りがある若い世代の方や、長期間乗り続けることを考えている方にとっては、この燃費性能は無視できないポイントとなるでしょう。

もし、あなたが車の経済性を重視するのであれば、あるいは環境への配慮も気になるというのであれば、86/BRZは少し期待外れになるかもしれませんね。毎回の給油のたびに、「またこんなに減っちゃった…」とため息をつくのは、あまり楽しいカーライフとは言えませんから。

「86、運転はめちゃくちゃ楽しいんだけど、やっぱり燃費がね…。街乗りだとリッター10km切ることもザラだし、ハイオクじゃないのが救いだけど、それでもガソリン代が結構かかる。エコカーに慣れてると、ちょっとビックリするかも。」(86オーナーのレビューより)

購入前に、ご自身の年間走行距離や、現在のガソリン価格などを考慮して、年間のガソリン代がどの程度になるのかを試算してみることをお勧めします。その負担を許容できるかどうかが、一つの判断基準になるでしょう。

【理由⑥】実用性が低く、ファミリーユースや日常の足としては不便だから

トヨタ86/BRZは、2ドアクーペというスタイリングからも分かる通り、実用性よりも走りの楽しさやデザインを優先して作られた車です。そのため、日常的な使い勝手という点では、いくつかの不便さを感じる場面があるかもしれません。

  • 後部座席の狭さ:2+2シーターレイアウトですが、後部座席は非常に狭く、大人が長時間座るのはほぼ不可能です。小学生くらいまでのお子さんなら短時間なら何とかなるかもしれませんが、足元も頭上も窮屈です。実質的には「荷物置き場」と割り切るか、緊急用と考えるのが現実的でしょう。チャイルドシートの取り付けも、スペース的にかなり厳しいと言われています。
  • 荷室(トランク)の容量不足:トランク容量もあまり大きくありません。日常の買い物程度なら問題ありませんが、大きなスーツケースやゴルフバッグ(1つなら何とか積めることもありますが、形状によります)、ベビーカーなどを積むのは難しい場合が多いです。後部座席を倒せばある程度の長尺物は積めますが、それでも積載性はミニバンやハッチバック、セダンなどには遠く及びません。
  • 乗り降りのしにくさ:車高が低く、ドアも大きいため、狭い駐車場などでは乗り降りに気を使うことがあります。また、シートの座面も低いので、腰痛持ちの方や高齢の方には少し辛いかもしれません。
  • 視界の悪さ:低いドライビングポジションと、太いAピラーやCピラーのため、特に斜め前方や後方の視界が良いとは言えません。運転に慣れが必要な場合があります。

「スポーツカーなんだから、実用性を求める方がおかしい」というご意見もごもっともです。しかし、もしあなたが、この車を唯一の「ファミリーカー」として使おうと考えていたり、日常的に多くの荷物を運んだり、頻繁に人を乗せたりすることを想定しているのであれば、この実用性の低さは大きなストレスになる可能性があります。

「カッコいいから買ったけど、家族からは不評で、結局ほとんど乗らなくなってしまった…」なんてことになったら、非常にもったいないですよね。

もし、あなたが実用性も重視するのであれば、86/BRZを購入する前に、ご自身のライフスタイルや車の使い方をもう一度よく考え、本当にこの車で満足できるのか、あるいは他に選択肢はないのか(例えば、もう少し実用性のあるホットハッチなど)を慎重に検討することをお勧めします。憧れだけで突っ走ると、後で不便さに気づくかもしれません。

【理由⑦】盗難リスクが高く、セキュリティ対策が必須で追加費用もかかるから

残念ながら、トヨタ86/BRZは、その人気の高さゆえに、車両盗難や車上荒らしのターゲットになりやすい車種の一つとして知られています。特に、海外でも人気があるため、不正輸出を目的とした組織的な窃盗団に狙われるケースも報告されています。

日本損害保険協会が発表している「自動車盗難事故実態調査結果」などを見ても、スポーツカータイプは盗難被害に遭いやすい傾向があり、86/BRZもそのリストに名前が挙がることがあります(参考:自動車盗難にご注意! – 日本損害保険協会)。

もし、大切な愛車が盗まれてしまったら…そのショックは計り知れませんし、金銭的な損失も非常に大きいです。車両保険に加入していればある程度の補償は受けられますが、それでも購入価格全額が戻ってくるわけではありませんし、何よりも愛車を失った悲しみは癒えません。

そのため、中古の86/BRZを購入した際には、標準装備のセキュリティ機能だけでは不十分と考え、追加の盗難防止対策を施すことが強く推奨されます。例えば、

  • 高性能なカーセキュリティシステム(アラーム、イモビライザーなど)の取り付け
  • GPS追跡装置の設置
  • ハンドルロック、タイヤロックといった物理的な盗難防止グッズの使用
  • 防犯カメラ付きの駐車場や、シャッター付きガレージへの保管
  • 車両保険への加入(盗難補償付き)

といった対策が考えられます。しかし、これらの対策には、当然ながら追加の費用がかかります。高性能なセキュリティシステムであれば、取り付け工賃も含めて数十万円かかることもありますし、月極の防犯性の高い駐車場を借りるとなれば、毎月の固定費も増えます。

「まさか自分の車が狙われるなんて…」と油断していると、取り返しのつかないことになりかねません。

中古の86/BRZを所有するということは、こうした盗難リスクと常に向き合い、そのための対策費用も覚悟しなければならない、ということなのです。この点も、購入前にしっかりと認識しておくべき重要なポイントと言えるでしょう。

以上が、「中古86はやめとけ」と言われることがある主な7つの理由です。どれも、中古のスポーツカーならではの、あるいは86/BRZという車種特有の、注意すべき点ばかりですね。これらのリスクを理解せずに購入してしまうと、後で大きな後悔をすることになりかねません。


それでも中古86に乗りたい!後悔しないための賢い選択と注意点

ここまで中古の86/BRZの注意点やデメリットについて詳しくお話ししてきましたが、「うーん、やっぱり中古の86はリスクが多そうだから、諦めた方がいいのかな…」と、購入をためらってしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、お待ちください! 中古の86/BRZが全てダメな車というわけでは決してありません。その魅力的なスタイリングや、FRスポーツならではの運転する楽しさは、多くの車好きを虜にしてきました。そして、デメリットをしっかりと理解し、ポイントを押さえて賢く選べば、きっと素晴らしい86ライフを送ることができるはずです。

大切なのは、中古86の「良い面」と「注意すべき面」の両方を正しく認識し、ご自身の価値観やカーライフ、そして予算と照らし合わせて、本当に自分に合っているのかを冷静に見極めることです。

ここでは、それでも中古の86/BRZに乗りたい!という情熱をお持ちの皆さんのために、後悔しないための賢い選択方法と、購入時の注意点をいくつかご紹介しますね。

【ポイント①】自分のカーライフの目的と、86に本当に求めるものを明確にする

まず何よりも大切なのは、「なぜ自分は中古の86/BRZに乗りたいのか?」「86の何に一番魅力を感じているのか?」そして「自分のカーライフにおいて、この車に何を一番求めるのか?」を自問自答し、明確にすることです。

  • 走りの楽しさが最優先?:ワインディングロードや、たまにはサーキットでスポーツ走行を楽しみたいのか。それとも、街乗りでのキビキビとしたフィーリングを味わいたいのか。
  • スタイリングや所有する満足感?:あのカッコいいデザインの車を所有し、眺めたり、磨いたりするだけで幸せを感じられるのか。
  • カスタマイズを楽しみたい?:豊富なアフターパーツで、自分だけの一台を作り上げることに情熱を燃やしたいのか。
  • 実用性はある程度割り切れる?:荷物があまり積めなくても、後部座席が狭くても、燃費が悪くても、それを上回る魅力があると感じられるか。
  • 予算はどのくらい?:車両本体価格だけでなく、購入後の維持費(保険料、税金、ガソリン代、メンテナンス費用、修理費用、カスタム費用など)まで含めて、どの程度の予算を考えているのか。

これらの点を自分の中で整理することで、どの年式のどのグレードが自分に合っているのか、どの程度のコンディションの車両なら許容できるのか、といった具体的な選択基準が見えてきます。

例えば、「とにかく安く手に入れて、ガンガン走り込みたいし、自分でイジるのも好きだ」という方なら、多少走行距離が多めの初期モデルを、ある程度の修理覚悟で購入するという選択肢もあるかもしれません。

しかし、「安心して長く乗りたいし、トラブルは避けたい」という方なら、多少価格が高くても、高年式の低走行車で、整備記録がしっかりしたノーマルに近い個体を選ぶべきでしょう。自分の軸をしっかりと持つことが、後悔しないための一番の近道です。

【ポイント②】信頼できる販売店を選び、整備記録や保証内容を徹底的に確認する

中古の86/BRZを購入する上で、どこで買うか、つまり「信頼できる販売店を選ぶ」ことは、車両そのものの状態と同じくらい、あるいはそれ以上に重要だと言っても過言ではありません。

特に、スポーツカーという特性上、車両の状態を見極めるのは素人には難しい場合が多いですから、プロの目でしっかりと点検・整備され、適切な情報開示をしてくれる販売店を選ぶことが大切です。具体的には、以下のような販売店が候補として考えられます。

  • トヨタ系・スバル系の正規ディーラー中古車店:メーカー系の安心感があり、比較的状態の良い車両が多く、保証も手厚い傾向にあります。価格はやや高めになることが多いですが、信頼性は高いと言えるでしょう。
  • 86/BRZ専門店やスポーツカー専門店:これらの車種に関する専門知識や整備ノウハウが豊富で、良質な車両を扱っていることが多いです。購入後のメンテナンスやカスタムの相談もしやすいでしょう。ただし、中には利益優先で状態の悪い車を売る悪質な店も存在する可能性があるので、お店の評判や実績をよく調べる必要があります。
  • 大手中古車販売チェーン店:全国規模で展開しており、保証制度が充実している場合が多いです。豊富な在庫の中から選べるメリットもあります。ただし、店舗によって整備レベルやスタッフの知識にばらつきがある可能性も。

そして、販売店が決まったら、候補となる車両について、以下の点を徹底的に確認しましょう。

  • 整備記録簿(メンテナンスノート)の有無と内容:いつ、どこで、どんな整備や部品交換が行われてきたのか、その履歴が詳細に記録されているかを確認します。定期的なオイル交換や点検がきちんと行われている車両は、状態が良い可能性が高いです。
  • 修復歴の有無:必ず確認し、もし修復歴がある場合は、どの部分をどのように修復したのか、その内容を詳しく説明してもらいましょう。軽微な修復であれば問題ない場合もありますが、フレームにまで影響が及ぶような大きな修復歴のある車は避けるのが無難です。
  • 保証の有無と内容:購入後の保証が付いているか、その期間や保証範囲(エンジン、ミッションなどの主要部品が含まれているかなど)を必ず確認します。保証が手厚いほど安心ですが、その分価格に反映されていることもあります。
  • 走行距離と年式のバランス:極端に走行距離が多い、あるいは逆に年式の割に走行距離が少なすぎる車両は、何か理由があるのかもしれません。適切なバランスかを確認しましょう。

契約前には、見積書の内容(諸費用が不当に高くないかなど)や、契約書の条項(キャンセル条件、保証内容など)もしっかりと確認し、不明な点は全て解消してからサインするようにしましょう。「安さ」だけで選ぶのではなく、「安心」と「信頼」を重視することが、中古86選びの鉄則です。

【ポイント③】試乗は必須!エンジン音、ミッション、足回り、異音の有無などを五感でチェック

中古の86/BRZを購入する際には、必ず試乗をさせてもらい、ご自身の五感で車の状態を確かめることが絶対に必要です。カタログスペックや販売店の説明だけでは分からない、多くの情報が試乗を通じて得られます。短時間でも、意識してチェックすれば、その車のコンディションの一端が見えてくるはずです。

試乗の際には、以下のような点に特に注意して確認しましょう。

  • エンジン
    • 始動性:スムーズにエンジンがかかるか。異音(ガラガラ、キンキンなど)はないか。
    • アイドリング:安定しているか。不自然な振動や回転数のムラはないか。
    • 吹け上がり:アクセルを踏み込んだ時のエンジンの反応はスムーズか。息つきやもたつきはないか。異音や白煙・黒煙は出ていないか。
  • トランスミッション(MT車の場合)
    • クラッチ:ペダルの重さや繋がりは適切か。滑っている感じや異音はないか。
    • シフトフィール:各ギアにスムーズに入るか。引っかかりや渋さはないか。異音(ガリガリなど)はないか。
  • トランスミッション(AT車の場合)
    • 変速:DレンジやRレンジに入れた時のショックは大きすぎないか。走行中の変速はスムーズか。変速ショックや滑っている感じはないか。
  • 足回り・ステアリング
    • 直進安定性:まっすぐ走るか。ハンドルが左右に取られる感じはないか。
    • コーナリング:ハンドルを切った時の車の反応は自然か。異音(コトコト、ギシギシなど)はないか。ロール(車体の傾き)は大きすぎないか。
    • 段差を乗り越えた時:不快な突き上げや異音はないか。ショックアブソーバーが抜けているようなフワフワ感はないか。
  • ブレーキ
    • 効き具合:しっかりと制動するか。キーキーといった異音はないか。ペダルを踏んだ時のフィーリングは自然か。
  • その他
    • 異音・異臭:走行中や停車中に、車内や車外から不自然な音や臭いがしないか。
    • エアコンの効き:冷暖房がきちんと機能するか。
    • 電装品(パワーウィンドウ、オーディオ、ライト類など)の動作:全て正常に作動するか。

少しでも「おかしいな?」と感じる点があれば、遠慮せずに販売店の担当者に質問しましょう。納得のいく説明が得られない場合や、不安が解消されない場合は、その車両の購入は見送る勇気も必要です。試乗は、あなたとその車との最初の対話です。その感覚を大切にしてくださいね。

【ポイント④】可能な限り高年式・低走行で、ノーマルに近い状態の個体を選ぶ

中古の86/BRZを選ぶ際に、故障のリスクを少しでも減らし、安心して長く乗りたいと考えるのであれば、やはりできるだけ年式が新しく、走行距離が少ない、そして過度なカスタマイズが施されていないノーマルに近い状態の個体を選ぶのが賢明です。

  • 高年式であることのメリット
    • 初期モデルで報告されていたような不具合が対策されている可能性が高い(特に2016年7月以降の後期型)。
    • 部品の経年劣化が少ない。
    • メーカー保証やディーラー保証が残っている場合がある。
    • 最新に近い装備やデザインである。
  • 低走行であることのメリット
    • エンジンやミッション、足回りといった主要部品の消耗が少ない。
    • 内外装の状態が良い場合が多い。
    • 故障のリスクが相対的に低い。
  • ノーマルに近い状態であることのメリット
    • 前のオーナーによる無理な改造や、それに伴う不具合のリスクが少ない。
    • 車検に通りやすい。
    • メーカー本来のバランスの取れた性能を味わえる。
    • もしカスタマイズしたい場合でも、ベース車両として最適。
    • 売却時の査定額も、極端なカスタム車よりは安定しやすい。

もちろん、高年式・低走行・ノーマルに近い車両は、中古車市場でも人気が高く、価格もそれなりに高くなる傾向があります。

しかし、購入後の予期せぬトラブルや修理費用、あるいは元に戻すための手間や費用などを考えると、初期投資が多少高くても、結果的にはその方が安くつくというケースも少なくありません。「安物買いの銭失い」を避けるためには、ある程度の予算を確保し、質の良い個体を選ぶことが大切です。

特に、初めてスポーツカーに乗る方や、車のメンテナンスにあまり詳しくない方、そして安心して長く乗りたいと考えている方には、この「高年式・低走行・ノーマルに近い」という条件は、強くお勧めしたいポイントです。無理して安い過走行車や初期型、あるいは派手なカスタム車に手を出すよりも、少し予算を上げてでも、より状態の良い個体を探す努力を惜しまないでくださいね。

【ポイント⑤】購入後の維持費(特に任意保険料と将来の修理・部品交換費用)を具体的に把握しておく

中古の86/BRZを購入する際には、車両本体価格だけでなく、購入後に継続的にかかってくる維持費についても、事前にしっかりと把握し、ご自身の予算内で無理なく支払い続けられるのかを具体的にシミュレーションしておくことが、後悔しないためには絶対に必要です。

特に、以下の費用は、国産の一般的な乗用車よりも高くなる可能性があるので、注意が必要です。

  • 任意保険料:前述の通り、86/BRZは車両料率クラスが高いため、保険料が割高になる傾向があります。特に若い世代の方や、等級が低い方、車両保険を付ける場合は、年間の負担額が予想以上に大きくなることがあります。必ず複数の保険会社から見積もりを取り寄せ、比較検討しましょう。
  • 税金(自動車税、自動車重量税):2.0Lクラスなので標準的ですが、13年超の重課なども考慮に入れておきましょう。
  • ガソリン代:燃費性能があまり良くないため、走行距離が多い方はガソリン代もかさみます。
  • タイヤ代:スポーツタイヤは高価で摩耗も早めです。
  • 定期的なメンテナンス費用:オイル交換(水平対向エンジンはオイル管理が重要と言われます)、ブレーキパッド交換、その他消耗品の交換費用。
  • 車検費用:ディーラーで受けるか、専門工場で受けるかによっても異なりますが、交換部品が多くなれば高額になることも。
  • 将来的な修理・部品交換費用これが最も予測しづらく、かつ大きな出費となる可能性のある項目です。中古車である以上、いつ、どんな部品が故障したり、寿命を迎えたりするかは分かりません。特に、エンジンやミッション、エアコンといった主要部品が故障した場合の修理費用は高額になりがちです。
    また、年式が古くなってくると、部品の供給が終了したり、価格が高騰したりする可能性も考慮に入れておく必要があります。「いつか来るかもしれない大きな修理」のために、ある程度の資金を別途積み立てておくくらいの心構えが必要かもしれません。

これらの維持費をリストアップし、月々、あるいは年間にどれくらいの費用がかかるのかを計算してみましょう。そして、その金額が、ご自身の収入や貯蓄状況から見て、本当に無理なく支払い続けられるのかを冷静に判断してください。

「憧れの86を買ったはいいけど、維持費が払えなくて結局手放すことになった…」という悲しい結末は、絶対に避けたいですよね。

これらのポイントを押さえて、慎重に情報収集と比較検討を行い、そして何よりも「自分はこの車とどう付き合っていきたいのか」という明確なビジョンを持てば、中古の86/BRZを選んだとしても、きっと後悔することなく、その魅力を存分に味わい、楽しいカーライフを送ることができるはずです。

大切なのは、メリットだけに目を向けるのではなく、デメリットやリスクもしっかりと理解し、全てを納得した上で決断することなんですね。


中古86購入で後悔しないための「やめとけ」理由総括

さて、ここまで中古のトヨタ86/スバルBRZについて、「やめとけ」と言われてしまう理由や、それでも中古の86に乗りたい場合に後悔しないための賢い選択と注意点など、詳しくお話ししてきました。

最後に、今回の内容をまとめて、皆さんがこの魅力的なFRスポーツカーの中古車選びで失敗しないために、本当に心に留めておくべきことは何なのか、おさらいをしておきましょう。

今回の記事でお伝えしてきた、「中古86はやめとけ」と一部で言われることがある主な理由は、以下の7点でしたね。

  • 理由①:初期モデルはエンジン・ミッション系トラブルのリスクが高い
    特に2012年~2013年式の車両は、バルブスプリング問題など、高額修理に繋がる可能性のある不具合に注意が必要です。
  • 理由②:スポーツ走行歴のある個体が多く、見えないダメージが潜んでいる
    エンジンや駆動系、ボディへの負荷が大きく、外観だけでは判断できない消耗や歪みが隠れていることがあります。
  • 理由③:修復歴車や粗悪なカスタムが施された車両が多い
    相場より安い車には理由があり、購入後のトラブルや車検不適合、価値の低下といったリスクを伴います。
  • 理由④:維持費(特に部品代・任意保険料)が予想以上にかかる可能性がある
    スポーツカー特有の部品代の高さや、盗難リスクなどによる保険料の割高感は無視できません。
  • 理由⑤:燃費が悪く、現代のエコカー基準では経済的負担が大きい
    気持ちの良い走りと引き換えに、ガソリン代はかさみがちです。
  • 理由⑥:実用性が低く、ファミリーユースや日常の足としては不便
    後部座席や荷室の狭さは、使い方によっては大きなデメリットになります。
  • 理由⑦:盗難リスクが高く、セキュリティ対策が必須で追加費用もかかる
    人気車種ゆえに盗難被害に遭いやすく、万全な対策とそれに伴う費用が必要です。

これらの理由だけを並べて見てしまうと、「やっぱり中古の86は、手を出すのが怖いな…」と、購入をためらってしまうかもしれません。でも、どうか忘れないでください。

これらの厳しい側面は、中古の86/BRZという車が持つ、純粋な運転の楽しさや、手の届きやすい本格スポーツカーとしての大きな魅力の裏に潜む、注意すべき現実であるということを。

どんな中古車にも、新車とは異なるリスクが伴います。そして、スポーツカーというカテゴリーの車であれば、そのリスクがより顕在化しやすいのは、ある意味で仕方のないことなのかもしれませんね。

中古の86/BRZを購入して後悔しないために最も重要なのは、インターネット上の誰かの「やめとけ」という言葉や、あるいは「最高のFRだ!」という熱狂的な声にただ流されるのではなく、

  1. まず、ご自身が「なぜ中古の86に乗りたいのか」「この車でどんなカーライフを送りたいのか」という、心の底からの「憧れ」と「具体的な目的」を明確にすること。
  2. 次に、中古の86/BRZという車の特性、メリットとデメリット、そして潜在的なリスクについて、信頼できる情報源(自動車専門誌、オーナーレビュー、整備工場の意見など)から、時間をかけて多角的に、そして真摯に学ぶこと。
  3. そして、そこで得た知識と、ご自身の価値観(何を重視するか)、運転スキル、予算(車両価格だけでなく維持費も含む)、そして現実的な使用環境を冷静に照らし合わせ、本当に自分にとって「買うべき一台」なのか、覚悟を持って判断すること。
  4. 最後に、もし購入すると決めたならば、信頼できる販売店を選び、車両の状態を徹底的に確認し(試乗は必須!)、納得のいく保証を付け、購入後のメンテナンス計画や万が一の際の備えまで含めて、全てを理解・了承した上で契約に臨むという強い意志を持つこと。

これらのステップを一つひとつ丁寧に、そして誠実に行うことが、後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔することを避け、ご自身にとって本当に満足のいく、そして長く愛せる中古の86/BRZとの出会いを実現するための、何よりの道しるべになるのだと、私は思います。

中古の86/BRZは、確かに手軽に本格的なスポーツドライビングを楽しめる、非常に魅力的な車です。

そして、適切な知識と慎重な選び方、そして愛情を持ったメンテナンスを心がければ、きっとあなたのカーライフを豊かでエキサイティングなものにしてくれるでしょう。

「やめとけ」という言葉は、時に私たちを臆病にさせ、夢を諦めさせてしまうことがあります。しかし、その言葉の裏にある「なぜ?」を深く掘り下げ、そのリスクを理解した上で、「それでも自分はこの車に乗りたいんだ!」と心から思えるのであれば、その声はもはや障害ではなく、むしろより賢明に、より安全に夢を叶えるための貴重なアドバイスへと変わるのではないでしょうか。

この記事が、皆さんのトヨタ86/スバルBRZという素晴らしいスポーツカーに対する理解を少しでも深め、そして何よりも、皆さんお一人おひとりが、ご自身の価値観に合った後悔のない中古車選びをするための一助となれたなら、これほど嬉しいことはありません。皆さんの憧れが、最高の形で実現することを、心から応援しています!

UTA

会社員。営業職で着実に成果を上げ、年収は本業と副業合わせて1,X00万円。副業は投資とライティング。妻と小学生の娘と3人暮らし。休日は家族サービスと自己研鑽に励む。趣味は映画鑑賞。

UTAをフォローする
やめとけ