こんにちは。皆さんは「定時制高校」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?「夜間に働きながら通える」「学び直しができる場所」といった、ポジティブな側面を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
全日制高校とは異なる学びの場として、様々な事情を抱えた方が高校卒業資格を得るために選ぶ道ですよね。ですが、インターネットで「定時制高校」と検索すると、「やめとけ」「後悔」「きつい」といった、少し気になる言葉が一緒に表示されることがあります。これは一体、どうしてなのでしょうか?
この記事では、定時制高校のメリットの裏に隠されたリアルな現実や、「やめとけ」と言われる具体的な理由を、皆さんの大切な学びの機会と未来を守るために、心を込めて丁寧に解説していきます。安易な気持ちで足を踏み入れる前に、ぜひ知っておいていただきたいお話です。
この記事でお伝えしたいこと
- 定時制高校とは?その特徴と全日制との違い
- なぜ定時制高校は「やめとけ」と言われるのか?7つの具体的な理由
- それでも定時制高校を選ぶ場合に後悔しないための心構え
- 定時制高校という選択肢を考える上での総括
定時制高校とは?その特徴と全日制との違い
まず、「定時制高校」がどのような教育機関なのか、基本的なところからご説明しますね。全日制高校との違いを理解することで、その特性が見えてくるはずです。
定時制高校の基本的な仕組み
定時制高校は、学校教育法に基づく高等学校の一種で、主に夜間や、午前・午後の二部制で授業が行われる学校です。全日制高校が朝から夕方まで授業を行うのに対し、定時制高校は比較的短い時間で授業が行われます。
主な特徴は以下の通りです。
- 通学時間帯:夕方から夜間にかけて授業を行う「夜間定時制」が一般的ですが、午前中のみ、午後のみの「昼間定時制」を設けている学校もあります。
- 生徒の多様性:年齢層が非常に幅広く、中学生を卒業したばかりの若い方から、社会人として働きながら学び直したい方、子育て中の主婦の方、一度高校を中退した方など、様々な背景を持った方が学んでいます。
- 学習スタイル:多くの学校が「単位制」を採用しており、必修科目と選択科目を組み合わせて、必要な単位を取得すれば卒業できます。自分のペースで学習を進めやすいのが特徴です。
- 修業年限:全日制が3年間で卒業するのに対し、定時制は通常4年間で卒業します。しかし、学校によっては、働きながら3年間で卒業できる「三修制」や、昼間と夜間の授業を組み合わせることで最短で卒業できる制度を設けているところもあります。
このように、定時制高校は、多様な生徒がそれぞれのライフスタイルに合わせて高校卒業資格を目指せるよう、柔軟な学びの場を提供しているんです。

なぜ定時制高校は魅力的に見えるのか
多くの人が定時制高校に魅力を感じるのは、主に次のような理由からだと思います。
- 働きながら学べる:日中にアルバイトや仕事ができるため、経済的な自立を目指しながら高校卒業資格を取得したい方にとっては大きなメリットです。
- 学び直しの機会:一度学校から離れてしまった方や、全日制高校に馴染めなかった方にとって、改めて学び直せる貴重な機会となります。
- 多様な出会い:年齢や背景が異なる様々な人々と出会い、交流できるため、多様な価値観に触れることができます。
- 少人数制:全日制に比べて生徒数が少ない傾向があるため、先生の目が行き届きやすく、きめ細やかな指導が受けられると期待されます。
- 入学しやすい:全日制高校に比べて、学力試験のハードルが低い場合が多く、入学しやすいと感じる人もいるでしょう。
こうして見ると、たしかに良いことずくめに思えますよね。しかし、これらのメリットが、実はデメリットと表裏一体の関係にあるということを、この先で詳しくお話ししていきたいと思います。
定時制高校はやめた方がいい!勧められない7つの厳しい理由
ここからがこの記事の本題です。なぜ、多様な学びの機会を提供する定時制高校が「やめとけ」とまで言われてしまうのでしょうか。その理由を7つに分けて、詳しく見ていきましょう。入学後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、ぜひ知っておいてほしい現実です。
【理由①】想定外の学習ペースと自己管理の難しさ
定時制高校は、自分のペースで学べると言われますが、これは裏を返せば「全て自己責任」ということでもあります。全日制に比べて授業時間が短いため、限られた時間で効率的に学習を進める自己管理能力が強く求められます。
例えば、日中に仕事やアルバイトをしている場合、疲れた体で夜間に集中して勉強を続けるのは、想像以上に大変なことです。
- 授業進度のギャップ:全日制と同じ内容を短時間で学ぶため、授業が駆け足になりがちで、ついていくのが大変だと感じる人もいます。
- 予習・復習の負担:授業だけで全てを理解するのは難しく、自宅での予習・復習が不可欠です。しかし、これがなかなか習慣化できない人も多いんです。
- モチベーション維持:自分を律して毎日机に向かうのは、強い意志が必要です。周りに流されず、コツコツと努力し続けることが求められます。
「いつでもやり直せる」という甘い考えで入学すると、結局自己管理ができず、単位を落としてしまい、卒業が延びたり、最悪の場合は中退してしまったりするリスクがあるんです。
学び直しには強い意志と、それを継続する能力が不可欠なんです。

【理由②】年齢層の広さゆえの人間関係の複雑さ
定時制高校の魅力の一つに「多様な年齢層との出会い」が挙げられますが、これは同時に人間関係の複雑さという側面も持ち合わせます。
10代の学生から、20代、30代、あるいはそれ以上の社会人まで、様々なバックグラウンドを持つ人が同じ教室で学びます。年齢や価値観、生活環境が全く異なるため、全日制高校のように一斉に友達ができる、という雰囲気ではないことが多いんです。
- 話題のギャップ:10代の学生と社会人では、話が合う話題が少なく、共通の趣味を見つけにくいことがあります。
- 価値観の違い:学校生活への意識や、友人関係に求めるものが異なるため、すれ違いが生じることもあります。
- 居心地の悪さ:特に、若い学生が年上の生徒の中に馴染むのに苦労したり、逆に年長者が若い学生のノリについていけなかったりすることもあります。
「最初は『いろんな人と話せるかな』と期待していましたが、いざ入学してみると、グループができていたり、それぞれ自分の世界を持っていたりして、なかなか輪に入れませんでした。自分だけ浮いているような気がして、学校に行くのが憂鬱な時期もありました。」(元定時制高校生 Hさん)
全日制のような「青春」や「一体感」を求めて入学すると、この人間関係のギャップに戸惑い、孤独を感じてしまう可能性が高いんです。

【理由③】通学とアルバイト・仕事の両立の壁
定時制高校の大きなメリットである「働きながら学べる」は、言うは易し行うは難し、という現実があります。学業と仕事の両立は、想像以上に大きな負担となるんです。
- 時間の制約:授業が終わってからアルバイトに行ったり、仕事が終わってから学校に来たりすると、使える時間は限られてきます。睡眠時間を削ったり、趣味の時間を犠牲にしたりしなければならないことも。
- 体力の消耗:日中の仕事で疲弊した体で、夜間の授業に集中し続けるのは、並大抵のことではありません。集中力が続かず、授業内容が頭に入ってこない…なんてことも。
- モチベーションの維持:疲れやストレスが溜まると、「もう休んでしまおうかな」という誘惑に負けやすくなります。それが続くと、欠席が増え、単位を落とすことにも繋がりかねません。
- 仕事と学業の板挟み:仕事が忙しくなると学業がおろそかになり、学業に集中すると仕事に支障が出る…といった板挟みになり、どちらも中途半端になってしまうジレンマを抱えることもあります。
「働きながら学ぶ」というのは、非常に強い意志と、体力を伴う挑戦なんです。この厳しさを知らずに入学すると、心身ともに疲弊し、どちらも投げ出したくなってしまう可能性が高いですよ。
【理由④】大学進学のハードルと選択肢の狭さ
定時制高校から大学への進学は、全日制高校に比べて決して簡単な道ではありません。選択肢も限られてくるのが現実です。
- 受験科目の対策:多くの大学入試では、幅広い科目の学力が必要とされます。定時制高校のカリキュラムは、基礎学力の定着に重点を置いていることが多く、受験対策に特化した授業が少ない場合があります。
- 受験情報の不足:全日制高校のように、大学受験に関する情報やノウハウが豊富に提供されるわけではありません。自分で積極的に情報収集をする必要があります。
- 推薦入試の限界:指定校推薦などの推薦入試の枠が少ない、あるいは条件が厳しい場合があります。
- 一般入試の難易度:全日制高校の受験生と学力面で差がある場合、一般入試での合格は非常に難しい挑戦となります。
定時制高校から大学進学を目指す場合、卒業後に予備校に通う、あるいは通信制大学や専門学校への進学を視野に入れるなど、全日制高校卒業生とは異なる、プラスアルファの努力や計画が必要になります。
もし大学進学が明確な目標であるなら、そのハードルの高さを事前にしっかり認識し、具体的な対策を立てておくことが不可欠です。

【理由⑤】「定時制」という学歴への世間の偏見
残念ながら、社会の中にはまだ、定時制高校に対して偏見や誤解を持っている人がいるのも事実です。全日制高校と比べて、「なんとなく学力が低い」「問題がある生徒が行く場所」といった、ネガティブなイメージを持たれてしまうことがあります。
- 就職活動での不利:企業によっては、履歴書を見た際に「定時制」というだけで、先入観を持たれてしまうことがあります。面接でその背景をしっかり説明し、誤解を解く努力が必要になります。
- 人間関係での偏見:友人や知人、親戚などから、「なんで定時制なの?」と詮索されたり、心ない言葉をかけられたりすることがあるかもしれません。
- 自己肯定感の低下:こうした偏見に触れることで、自分自身が「劣っている」と感じてしまい、自己肯定感が下がってしまう人もいます。
もちろん、定時制高校で真面目に努力し、素晴らしい実績を上げている方もたくさんいらっしゃいます。しかし、世間の持つイメージと、そこからくる潜在的な偏見は、時に私たちの心を傷つけ、前に進む意欲を奪ってしまうことがあります。この目に見えない壁の存在を、知っておくべきだと思います。

【理由⑥】孤独感とモチベーション維持の難しさ
定時制高校は、生徒一人ひとりの背景が異なるため、全日制高校のようにクラス全体で盛り上がるイベントや、部活動に熱中する雰囲気は少ない傾向にあります。そのため、学校生活において孤独を感じやすいという側面があります。
- クラスメイトとの距離感:年齢やライフスタイルの違いから、授業以外で深い交流が生まれにくいことがあります。
- 部活動・課外活動の少なさ:全日制に比べて、部活動の種類が少なかったり、活動時間が限られていたりするため、学校外でのつながりを見つけにくいです。
- 進路の多様性:卒業後の進路も、大学進学、専門学校、就職、フリーターなど様々で、同じ目標を持つ仲間が見つかりにくいこともあります。
こうした状況の中で、日々淡々と授業を受け、一人で勉強を続けるのは、精神的にかなりタフなことなんです。目標を見失ったり、モチベーションが下がったりした時に、相談できる相手や、支え合える仲間がいないと、挫折してしまうリスクが高まります。
特に、一度全日制高校を経験した人にとっては、この「孤独感」が想像以上に辛く感じられるかもしれません。「みんなで頑張る」という経験が少ない分、一人で困難に立ち向かう力が求められるんです。
【理由⑦】卒業後の進路が想像以上に険しい現実
定時制高校を卒業することは、高校卒業資格を得るという意味で非常に大きな意味があります。しかし、それが「すぐに明るい未来が待っている」というわけではないのが現実です。
- 就職先の選択肢:大手企業や有名企業への就職は、全日制高校卒や大卒と比べて、やはりハードルが高くなります。選択肢が限定的になり、給与水準も低い傾向があります。
- 正社員としての雇用:非正規雇用(アルバイト、パート)で働きながら卒業したとしても、そこからすぐに正社員として安定した職に就けるとは限りません。
- 学び続ける必要性:高卒資格はあくまで基礎であり、専門的なスキルや知識がなければ、社会で活躍し続けるのは難しい時代です。卒業後も、さらなる学びやスキルアップが必要となることが多いです。
定時制高校は、社会人としての「再スタート」の機会を与えてくれますが、その後の道のりは、自分自身の努力と工夫にかかっています。ただ卒業しただけで満足してしまっては、「結局、何のために高校に行ったんだろう」と後悔することになりかねません。
卒業後の具体的なキャリアプランを、入学前からしっかりと考えておくことが非常に大切なんです。
それでも定時制高校を選ぶあなたへ|後悔しないための心構え
ここまで、定時制高校という学びの場の厳しい現実をたくさんお話ししてきました。もしかしたら、イメージが大きく変わってしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、もし、これらの困難を理解した上で、それでも「定時制高校で学びたい」という強い意志があるのなら、その思いは本当に素晴らしいものです。そんなあなたが後悔しないために、ぜひ心に留めておいてほしいことを3つお伝えします。

【心構え①】「なぜ定時制高校なのか」という目的を明確にする
「全日制に馴染めなかったから」「なんとなく働きながら高卒資格が欲しいから」といった、漠然とした理由だけでは、先ほどお話ししたような困難にぶつかった時に、乗り越えるのが難しくなります。
「将来〇〇の仕事に就くために、高卒資格が必要だ」「〇〇という分野の基礎を学び直したい」「自己成長のために、諦めていた高校卒業を目指したい」というように、自分自身が何を最も重視し、何を達成したいのかを明確にしてください。
その目的が明確であればあるほど、辛い勉強や人間関係の悩み、仕事との両立の壁を乗り越える力になります。誰に聞かれても、自分の言葉で情熱的に語れる目標を見つけることが、成功への第一歩なんです。
【心構え②】入学前に「学校説明会」や「体験入学」に必ず参加する
パンフレットやウェブサイトの情報だけでは、学校の本当の雰囲気や、生徒の年齢層、授業の進め方などを正確に把握することはできません。必ず、複数の定時制高校の学校説明会や体験入学に足を運び、実際に自分の目で見て確認することを強くおすすめします。
- 授業見学:実際に授業を受けている生徒の様子や、先生の教え方を見て、自分に合うかどうかを確認しましょう。
- 生徒の雰囲気:廊下や休憩時間中の生徒の様子、年齢層などを観察し、自分が馴染めそうか、どんな人がいるのかを肌で感じてください。
- 設備:教室の雰囲気、図書館、PCルーム、食堂などの設備を確認しましょう。
- 先生への質問:カリキュラムの進度、進路指導の状況、生徒サポート体制、卒業後の進路実績など、具体的な質問をしてみましょう。
可能であれば、実際に通っている生徒や卒業生のリアルな声を聞く機会があれば、さらに参考になるはずです。入学前にできる限りの情報を集め、現実をしっかりと把握することが、後悔しないための重要なステップなんです。

【心構え③】「支えとなる人」や「息抜きの場」を見つける努力をする
定時制高校での学びは、孤独な戦いになりがちだとお話ししました。だからこそ、自分を支えてくれる人や、心身を休ませるための息抜きの場を意識的に見つける努力をすることがとても大切です。
- 学校内で:気の合うクラスメイトや、親身になってくれる先生を見つけ、積極的に交流を図りましょう。授業内容で分からないことがあれば、一人で抱え込まずに質問することも大切です。
- 学校外で:家族や友人、職場の同僚など、自分の悩みを打ち明けられる相手を見つけてください。趣味の時間を設けたり、適度な運動を取り入れたりして、ストレスを上手に発散することも忘れずに。
一人で抱え込まず、周りに助けを求めること。そして、頑張りすぎずに適度に休憩を取ることが、長く学び続けるための秘訣なんですよ。自分の心を大切にしてくださいね。
定時制高校はやめとけと言われる理由の総括
今回は、定時制高校という学びの場について、その魅力の裏にある厳しい現実と、「やめとけ」と言われる理由を詳しく解説させていただきました。
定時制高校を安易に勧めることができない理由のまとめ
- 理由①:自己管理能力が強く求められる学習ペースと、それに伴う予習・復習の負担に苦しむ可能性が高いから。
- 理由②:生徒の年齢層や背景が多様なため、全日制のような人間関係は築きにくく、複雑さや孤独感を感じやすいから。
- 理由③:学業とアルバイト・仕事の両立は想像以上に体力を消耗し、モチベーション維持が困難になることがあるから。
- 理由④:大学進学を目指す場合、受験対策の情報やサポートが少なく、全日制高校生よりもハードルが高い現実があるから。
- 理由⑤:社会にはまだ「定時制」という学歴への偏見が根強く、就職活動や人間関係で不利に働く可能性があるから。
- 理由⑥:学校生活で孤独を感じやすく、モチベーションが低下した時に支えとなる仲間を見つけにくいことがあるから。
- 理由⑦:卒業後の就職先の選択肢が限られたり、正社員雇用への道のりが厳しかったりするなど、想像以上に険しい現実が待っているから。
定時制高校は、一度は学びの道を諦めた人や、働きながら学びたい人にとって、確かに貴重な再チャレンジの機会を与えてくれる場所です。
しかし、「なんとなく行けそう」「楽そう」という漠然としたイメージだけで安易に決めてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまう可能性がとても高いんです。特に、学費や時間を費やすわけですから、慎重に選んでほしいと思います。
この記事が、あなたがご自身の状況や目的、そして覚悟を冷静に見つめ直し、後悔のない学びの選択をするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。あなたの未来が、実り多く、輝かしいものになりますように。
